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韓国人の生活行動に大きな変化が見られる。中国の新型コロナウイルス感染を恐れ、外出を控えているためだ。地下鉄乗客は減り、百貨店売り上げが前年比30%減少という「ウイルス不況」に直撃されている。

 

『朝鮮日報』(2月10日付)は、「中国0%台成長の見通し、韓国デパート売り上げ30%減の非常事態」と題する社説を掲載した。

 

(1)「世界的なシンクタンクは今年13月期の中国の経済成長率が0%台に低下するとの見通しを示している。衝撃的だ。最も直撃を受ける国は貿易の25%を中国に依存する韓国だ。過去の新型肺炎(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)の際には成長率が0.20.25ポイント低下した。武漢肺炎による衝撃はそれを上回る見通しだ。昨年ようやく2%台を達成した韓国の成長率が今年は1%台に低下する可能性は排除できない

 

今回の新型コロナウイルスによる世界全体の経済的損失は、SARS(2003年)の100倍との説が出ている。理由は、中国経済の世界に占める比率が現在、15%に上がっていること。グローバル化の波で人々の行動範囲が拡大して、感染率が上がっていること、などである。中国政府が、ウイルス発症初期対応を誤り隠蔽したこと。WHO(世界保健機関)が、中国政府の圧力で「異常事態宣言」を遅らせたこと、も見逃せない。

 

今回の感染者激増は、明らかに「人災」である。感染者数が、SARS時よりも格段の増加を見せていることが、それを証明している。韓国市民が、極端に外出を控えているのはMERS(2015年)の時に38人と多数の死者が出た記憶が強い結果であろう。これが、韓国人の生活パターンを変えさせている。個人消費の減少は当然であろう。今年上半期のGDPは、マイナス成長に落込む。

 


(2)「既に国内消費が凍りつき始めた。量販店や従来型の市場、飲食店、映画館などの複合施設の利用客が急減し、ソウル地下鉄の乗客も15%以上減少した。ロッテ、新世界など百貨店の売り上げは前年同期比で30%減少。全国の映画館における1月の観客数は旧正月が1月だった2017年に比べ28%減少した。特定の中国製部品の供給が止まり、現代・起亜自動車の工場が全面ストップするなど、製造業の生産障害も現実となっている。反企業・反市場政策で経済の活力が低下した状況で、中国発のショックが輸出、消費、生産に全面的に及べば、予想外の状況に陥りかねない」

 

下線部のように大きな影響が出ている。人々が外出を控えている以上、落込みが大きいのはやむを得ないことだ。韓国人の行動が極端に変化している中に、「感情8割・理性2割」というパターンが顕著に表れている。

 


(3)「韓国政府は、「新型コロナウイルスで不安になる必要はない」と言う。行き過ぎた不安は合理的とは言えない。個人の衛生は徹底するが、日常生活をそのまま営むことが韓国社会全体にとって好ましい。そのためには政府から不安がってはならない。現在基本中の基本であるマスク問題すら解決できていない。品薄と価格急騰は変わっていない。政府は防疫体制を再チェックすると同時に、経済政策の基調転換で経済主体に希望を与える必要がある」

 

下線部では、韓国人の行き過ぎた不安心理を指摘している。一つの現象に引っ張られるのは、反日不買で一斉に象徴的な日本製品排斥に動き出す心理と似通っている。その点で興味深いのだ。

 

ウイルス感染を防ぐには、手洗いを励行すれば効果的と指摘されている。こういう原則を守って「正しく恐れ、合理的に行動する」ことが大事であろう。韓国人の「ウイルス恐怖症」は、家庭でのテレビ視聴率を高めている。

 

韓国の家庭でこの週末、テレビの視聴時間が伸びたことが分かった。新型コロナウイルスの感染を避けるため、外出を控え、家で過ごした人が多かったようだ。

視聴率調査会社のTNMSが10日、全国3200世帯を対象にした調査結果を発表した。それによると、9日のテレビ視聴時間は平均10時間35分で、1年前の日曜日(2019年2月10日)に比べ27分長かった。『聯合ニュース』(2月10日付)が報じた。