a0960_004876_m
   

韓国大統領府は、4月15日の総選挙を控えて苦悩している。「新型コロナウイルス」による輸出不振が、経済を圧迫しているほか、「チョ・グク問題」や大統領府の地方自治体選挙への干渉事件など、不利な材料が山積している。そこで大統領府が、究極の反日爆弾であるGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄案を検討しているという。

 

この破棄論は、大統領府の「若手秘書官」とされている。総選挙で与党が敗北すれば、次期大統領選でも進歩派は落選濃厚となり、いずれ秘書官は失職する。こういう思惑から、国益や日米韓三ヶ国の防衛ラインへの悪影響など無視し、「保身の術」によるGSOMIA破棄論が出て来たのであろう。

 

『中央日報』(2月12日付)は、「4月総選挙控えてGSOMIA廃棄論、青瓦台で急浮上」と題する記事を掲載した。

 

日本政府の輸出規制措置強化をめぐる韓日両国間の協議が、3カ月間にわたりこれといった進展がない中で、韓国青瓦台(チョンワデ、大統領府)内部から「韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了」論が再浮上していると政府消息筋が11日、伝えた。これに伴い、韓日はもちろん韓米間で防衛費分担金交渉に続きGSOMIAイシューによる外交葛藤が再演される可能性もあるとの指摘が出ている。外交部内には青瓦台の方針を懸念する雰囲気も一部あり、一歩間違えれば政府内葛藤に広まるおそれまである。



(1)「韓日および韓日米関係に明るい消息筋は、この日中央日報の電話インタビューで「最近、青瓦台内部から『このような状況なら、昨年11月に韓日産業当局間の交渉再開を理由に終了を猶予したGSOMIAを再び終了させるほかはないではないか』という主張が強く出てきており、青瓦台外交安保ラインを通じて外交部上層部に伝えられた」と明らかにした。
この消息筋は「今月6日の内信記者会見で出た康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の強硬発言も、このような青瓦台内部の雰囲気から影響を受けたもの」と付け加えた」

半導体3素材をめぐる輸出手続きの規制強化問題は、すでに韓国企業が手続きに馴れてきた。その後は、順調に手続きが進むようになっている。「ホワイト国問題」は、徴用工賠償に関する韓国での立法が実現しなければ不可能である。韓国は、この旨を承知しながら再び「GSOMIA破棄論」を持ち出す、不可解な動きを始めた。

 

(2)「これに関連して、青瓦台関係者は「日本の態度変化を引き出しながら『予告された日』が来る前に良い方向で解決しようという脈絡で協議中であると承知している」と明らかにした。「予告された日」に関連して、この関係者は「三一節(独立運動記念日)にどんな形になろうと対日メッセージが出てくるはずだが、遅くとも3月中にはGSOMIA終了するかどうかを最終決定すべきだという雰囲気」と伝えた

 

独立運動記念日(3月1日)のイベントで、韓国政府は反日メッセージを出すのか注目される。日本は、この手の脅しにすっかり馴れてしまった。「また、例の病気が始まった」という程度の受取り方であろう。これにより、総選挙を戦おうという魂胆にしても、日韓関係を悪化させて経済的メリットは何もないことを承知のはず。玉砕戦法と見る

 

(3)政府がGSOMIA終了を最終決定した場合、韓日関係だけでなく韓米関係に及ぼす影響が大きいため、外交部内外からは懸念の声も出ている。実際、先週米国ワシントンを訪問した金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長は交渉が終盤を迎えている韓米防衛費分担金交渉の他に、GSOMIA終了問題も米ホワイトハウス側と話し合ったことが伝えられた」

 

韓国は、GSOMIA破棄について米国と話合ったという。米国の強い拒絶にあっているはずだ。韓国が、外交的立場で不利になることを承知の「自爆作戦」であろう。

 

(4)「韓国政府消息筋は「日本から譲歩を引き出すための戦略・戦術的次元ならいざしらず、実際にGSOMIA終了まで辞さないという考えなら、昨年11月韓国の『GSOMIA終了猶予』宣言を事実上『GSOMIA維持』と受け取っている米国を相手に行うべき外交的費用は相当なものになるだろう」と憂慮した。また、青瓦台の方針通り、3月中にGSOMIA終了イシューが再浮上する場合、結果的に4月総選挙の核心争点になる見通しだ」

 

韓国国民は、野党中心にGSOMIA維持の立場も多い。総選挙でこの問題を持出して、与党支持派を固める目的であろう。チョ・グク氏を法相に強行任命した裏事情は、支持派固めであった。

 

(5)「政府消息筋は「青瓦台内部でGSOMIA終了主張を主導しているグループは、外交安保および政務ラインの若手の参謀だと承知している」とし「4月の総選挙を控えているという点で、日本に対する強硬論に再び始動がかかる可能性がなくはない」と懸念した。青瓦台関係者はこれに関連して、「新型コロナウイルスへの共同対応や7月東京オリンピック(五輪)など、韓日間の協力事項が多い状況で、日本側が輸出規制に前向きな立場を取ってほしい」としながら「総選挙を控えて反日雰囲気を利用するというわけでは全くない」と説明した」

 

下線部分は、大統領府の政治模様を顕著に見せている。安保関係者は民族派であり、文大統領と強く結びついている。若手秘書官は、総選挙敗北→大統領選敗亡→失職という悪循環を恐れている。国益でなく「私益」優先である。嘆かわしい現象である。