ムシトリナデシコ
   


韓国民主化の旗手と自認する与党「共に民主党」が、言論の自由を圧迫しかねない振る舞いを続けている。共に民主党が、「選挙で民主党以外に投票すべき」という内容のコラムを、日刊紙に投稿した大学教授と新聞社を公職選挙法違反の疑いで検察に告発したからだ。

 

韓国与党は、4月15日の総選挙前に劣勢を意識したのか、なり振り構わずに「与党批判」を封じる動きを見せている。「共に民主党」が野党時代、ことあるごとに政権党を批判しまくってきた。今度は、自らが批判される立場になると検察に告発する。何とも見苦しい動きである。

 

『ハンギョレ新聞』(2月14日付)は、「新聞の寄稿まで告発した民主党、『表現の自由を萎縮』批判」と題する記事を掲載した。

 

『ハンギョレ新聞』は、文政権支持を鮮明に打ち出しているメディアである。その『ハンギョレ新聞』が、与党の目に余る行動に批判の刃を向けた。

 

(1)「政権与党が最近になって告訴・告発を乱発し、選挙を前に表現の自由を萎縮させる傲慢な態度を示しているという批判が出ている。民主党が告発したコラムは、129日付「京郷新聞」掲載の、高麗大学韓国史研究所のイム・ミリ研究教授の「民主党以外に」と題する文章だ。民主党はイム研究教授がこのコラムで「キャンドル政権を自任しながら、国民の熱望より政権の利害に没頭」している民主党を批判し、「『民主党以外に』投票しよう」とした内容を問題視した。イム教授と京郷新聞の関係者が公職選挙法58条の2(投票参加勧誘活動)条項に違反したというのだ」

 

本来ならば、与党支持であっておかしくない大学教授が、公然と「与党批判」に回って来た。文政権の党利党略政治に絶望した結果である。文大統領は「国民第一」でなく、「与党勢力拡大主義」が見破られたからであろう。経済政策は、労組への露骨な支援を明確にしている。それによる経済の歪み拡大に無関心だ。こういう政権は、早く引き下ろさなければならない。日本人の私ですら、義憤を覚えるほどである。日本の国益にも反する政権なのだ。

 

(2)「この条項は、公式の選挙運動期間ではない時期における投票への勧誘を口実とした選挙運動によって選挙秩序を乱す行為を禁止・処罰するための条項だ。民主党のホン・イクピョ首席報道官はこの日、ハンギョレの電話取材に対し、「選挙の時期に民主党以外に投票せよと堂々と見出しをつけ、コラムを掲載した。市民団体も落選運動をしてはならないことになっているのではなかったか」と主張した。イム教授はこの日、ハンギョレに対し「こうしたコラムまで出せなくしたら、我々は何も言えなくなる」とし、「かつての民主化運動から誕生した民主党が、司法府の力を借りて表現の自由を萎縮させる行動を示したというのは、公党の資格がない証拠」と批判した」

 

与党は、二口目には国民の「ロウソク・デモ」から生まれた民主的政権と自慢してきた。現実は、権力を恣(ほしいまま)に操り、自治体選挙に干渉する。検察や裁判官を与党派に塗り替えて、反対派を「積弊一掃」という名で追放する。余りにも、やりたい放題の「天を恐れぬ」不遜な政権である。志のある者ならば、国民から「天誅」を加えるべきという怒りに燃えた寄稿をして当然なのだ。

 

(3)「民主党の告発は選挙法の条項の立法趣旨とは程遠い上、表現の自由を深刻に萎縮させる可能性があるという批判が出ている。ソウル地方弁護士会長を務めたキム・ハンギュ弁護士(法務法人共感)は「自分の考えを述べたイム教授のコラムを、選挙法が懸念する『選挙秩序を乱す行為』と見なせるかは疑問」とし、「今回の告発は、総選挙を2カ月後に控え、与党批判をできなくさせようという事前警告ではないかと憂慮される」と述べた」

 

民主党は、反対派をすべて葬り去るという全体主義に通じる、「敵―味方論」に立つ危険な思考の政党である。総選挙では、この与党に対して厳正な批判を浴びせなければならない。

 

(4)「フェイスブックなどのSNS上では、同コラムの見出しでもある「#民主党以外に」というハッシュタグとともに、民主党を批判する「私を告発せよ」運動が広がっているKさんはフェイスブックに「#民主党以外に」のハッシュタグとともに「今回の告発で常識ある民主党支持者の多くが背を向けるだろう」とし、Yさんは「イム・ミリさんのコラム、私も共有した。私も告発せよ」と主張した。また別のKさんは「イム・ミリ教授のコラムに全面的に同意するわけではないが、このようなコラムを書いたと告発する所業は、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権でもなかったこと」と指摘した」

 

SNS上で、「#民主党以外に」が出てきたことは、総選挙でいかに不利であるかを予告している。政権を握って31ヶ月でここまで批判を浴びることになった。文氏が大統領に当選できたのは「フロック」ということになろう。韓国にとって、また日本にとっても、「はた迷惑」な大統領が飛び出てきたものである。不幸な日韓時代を演出した大統領である。