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下記の目次でけさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

現代自は部品不足で操業中止

中国は信用不安が一気に襲う

韓国は慢性的な「低圧経済」

韓国GDPは今年0.5%増も

 

中国武漢市を発症地とする「新型コロナウイルス」は、死者2000人(2月18日)を越す大惨事である。ウイルス発症を隠蔽する、という初動ミスがもたらしたものだ。日本にも飛び火しており改めて、「情報隠蔽」による被害の大きさを示している。現時点で、韓国の感染者は少ないが、経済面で深刻な影響を受けるのは不可避である。

 

現代自は部品不足で操業中止

韓国の被害は、次のような面から受けている。詳細は、後で触れる。

(1)中国向け輸出の減少。中国企業が操業中止で韓国の供給する中間財輸出が停滞。

(2)中国からの部品輸入杜絶。中国の部品供給に依存しており、国内企業は操業休止。

(3)国内消費の減退。市民は、コロナウイルス感染を恐れて外出を控え、消費が低迷。

 

韓国の貿易構造(2018年 JETRO調査)の国別構成比は、次のようになっている。

    輸 出   輸 入

中国 26.8%  19.9%

米国 12.0%  11.0%

日本  5.0%  10.2%

 

これを見ると、韓国は輸出入において中国と密接不可分の関係にある。韓国は、対外投資の3分の1は中国である。地理的に近いというほかに、韓国国内で労組による猛烈な賃金攻勢に遭遇して、中国へシフトする形となってきた。本来であれば、韓国で設備投資する企業が、韓国労組の賃上げ攻勢を恐れて中国へ工場を移転した形だ。中国が、新型コロナウイルス発症で身動きできない事態になると、韓国がその影響を最も強く受けるのは致し方ない。

 


以上によって、韓国と中国との経済的な結びつきを見てきた。今後の動向において、カギを握るのは中国のコロナウイルス感染症の沈静時期がいつかにかかってくる。

 

中国国家衛生健康委員会は、中国本土のコロナウイルス感染者が18日に1749人増えたと発表した。新たな感染者は17日の1886人から減少、1月29日以来の低水準となった。中国本土での感染者は累計で7万4185人、死者は計2004人に達した。死者の約4分の3は武漢市で確認された。

 

震源地の湖北省で18日に確認された新たな感染者数は、2月11日以来の低水準となった。この沈静化状態が今後も続くかどうかである。仮に、2月中にピークを確認できれば、若干の希望も持てるだろう。それでも「終息宣言」が出るのは、はるか先のことだ。世界中で新規感染者が出なくなった2ヶ月後である。それまでは、警戒体制が続く。韓国経済が「一陽来復」となるまでには夏場に入るであろう。

 

韓国企業の中で、中国からの部品輸入に最も依存しているのは自動車産業である。現代自動車は、部品供給の中国依存度が8割ときわめて高い。その高依存度による欠陥が、今回の新型コロナウイルス感染で全面的に出ている。

 

現代自動車グループが19日、新型コロナウイルスの余波で休業を延長した。原因は、自動車の神経網の役割をする中国製ワイヤーハーネス供給が不安定なためだ。休業期間延長により現代自動車グループは、生産面で2兆ウォン(約1900億円)近い支障が出ると予測されている。

 

韓国経済への影響は、このように中国の動向にかかっている。習近平国家主席は最近、国営テレビで今年の経済成長率は目標を達成すると強気発言をした。つまり、「6%前後」の成長率を達成するというのだが、誰もこういう超楽観論に耳を傾ける者はいない。達成できるような客観情勢にないからだ。



中国は信用不安が一気に襲う

『ブルームバーグ』(2月18日付)は、次のよう報じている。

 

エコノミストらは今年1~3月(第1四半期)の中国GDP伸び率予想を引き下げている。

1月31日発表からこれまでにエコノミストらが示した予想の中央値は4%と、1月22日調査の5.9%を下回った。4%のGDP伸び率になれば、1990年以来最低水準になる。2020年の伸び率見通しも5.5%前後と、1月の5.9%から引き下げられている。

 

1~3月期の中国GDPについて、世界の著名機関が発表している予測値(中央値)は、4%である。中央値とは、数値を大きい順に並べてその中央の値である。平均値とは異なる。中立的な数値という意味で、1~3月期のGDP成長率が4%となれば、経済環境は激変と呼ぶ状況だ。いわゆる、ショックと言えるほどの急減速である。中国経済は、この衝撃に耐えられるかが問題になる。(つづく)