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韓国の自営業は、風前の灯である。元々、自営業の比率が20%と高いなど、産業構造は進化途上にある。十分に進化できないところで、連続して大きな嵐に遭遇しているから、ひとたまりもないのだ。最低賃金の大幅引上げ(2018~19年で約29%アップ)、週52時間労働制、それに加えてトドメを刺されたのが今回の「新型コロナウイルス」襲来である。世にも気の毒な巡り合わせに苦しんでいる。

 

『中央日報』(2月21日付)は、「韓国自営業者97.6%、売上減った、不況に最低賃金上昇に『三重苦』」と題する記事を掲載した。

 

20日午前ソウル、明洞(ミョンドン)。観光客の足が絶えなかった通りは閑散としていた。目で見ても数えられるほどの人しか行き来していなかった。韓国料理店を経営するAさんは「冬休みなので客は増えなければならないが、新型コロナ事態以降、外国人はもちろん韓国人の客までほとんど来ない」とし「景気低迷で売上は減り、最低賃金上昇で人件費は上がり、週52時間の実施で夕方の会食客は減少する渦中に大きな悪材料がもう一つ大きくなったといえる」と訴えた。

 

(1)「自営業者が、新型コロナウイルス感染症(コロナ19)事態でノックダウン危機に直面している。景気不振と人件費・賃貸料の上昇などですでに追い詰められている状況で、新型コロナという「強烈なパンチ」まで食らったのだ。小商工人連合会のチェ・スンジェ会長は「外食業、在来市場、一般商店などを問わず客足が減り、少なくて半分、多くて9割近くの売り上げが減少したというのが現場の声」と話した」

 

ソウルの明洞(ミョンドン)というメインストリートが、人通りも少なく閑散としているという。東京の銀座に人影が消えた状況を想像すれば、韓国の景気低迷感がどれだけ強いか分かるだろう。外食業、在来市場、一般商店などいずれも売上が半分から9割も減っている現実は、韓国経済が音を立てて崩れていく感じだ。

 

この状況では、与党が4月15日の総選挙勝てる見込みは一段と小さくなっている。最近の世論調査では、「自分を革新・保守どちらと見るか」で、保守派が増加傾向になっている。政府系シンクタンクの韓国行政研究院が、2月20日公表した「2019年社会統合実態調査」の結果によると、韓国国民のうち自身の思想傾向を保守的と認識する人の割合は前年よりも上昇した。進歩(革新)的と考える人の割合は低下したのだ。具体的には、次のような構成である。

 

自身の思想傾向について、保守的との回答は前年比3.5ポイント上昇の24.7%を占めた一方、革新的との回答は同3.4ポイント低下の28.0%となった。革新的と回答した割合から保守的と回答した割合を引いた差は3.3ポイントと、前年の10.2ポイントから大きく縮小している。以上は、『聯合ニュース』2月20日付が報じた。

 

こういう結果から見ると、与党が総選挙に勝てるかどうか予断を許さない状況になっている。経済状況が、総崩れの様相を呈してきただけに、勝利はどちらへ転がり込むか分からないのだ。

 

(2)「自営業者の事業所得は、景気不振の影響で昨年10-12月期まで歴代最長である5四半期連続で減少した。統計庁の「2019年10-12月期家計動向調査(所得部門)結果」によると、昨年10-12月期における全国2人以上の一般世帯の事業所得は89万2000ウォンで前年同期比2.2%減となった。2018年10-12月期から5四半期連続で減少したが、これは関連統計を作成し始めた2003年以来、最長となる。中東呼吸器症候群(MERS)の余波が続いていた2014年10-12月期~2015年7-9月期(4四半期連続)時よりも長い。統計庁社会局のウン・スンヒョン局長は「業況不振が影響を及ぼしたとみられる」と話した」

 

家計動向調査(所得部門)によれば、昨年10~12月期まで5四半期連続で減少している。これは、MERS(2015年)の4四半期連続減少記録を上回っている。新型コロナウイルス禍が加わって、今後も減少継続は必至の状況である。韓国の個人消費は、かってない落込みとなる。

 

(3)「先月から拡散した新型コロナは、「泣きっ面に蜂」だ。観光・旅行・余暇活動が急激に萎縮して各種イベントの中止が相次いだ中で、一般の人々の正常な経済活動まで萎縮して自営業者がダイレクトに打撃を受けているためだ。実際、小商工人連合会が13~19日に小商工人1000人余りを対象に実態調査を実施した結果、新型コロナ事態後、売上が減少したという回答比率が97.6%に達した。訪問客減少比率は「50%以上減少」が45.7%で最も多く、「30~50%減少」が27.5%だった。チェ・スンジェ会長は、「小商工人の保証融資や税制支援のような政府政策では力不足」と話した」

 

韓国の自営業は、新型コロナ事態後に売上減少比率が97.6%に達した。店頭客が50%以上も減った比率は、45.7%とほぼ半分に達している。客が来ないのでは、商売にならないのだ。

 


(4)「自営業者がさらに心配しているのは事態の長期化だ。1-3月期を越えて4-6月期まで続くなら、連鎖閉店につながるかもしれないというのが小商工人連合会の説明だ。韓国流通学会副会長のチョン・ヨンスン檀国(タングク)大学経営学部教授は「新型コロナ事態以降、オンライン取引が増えて、無人店舗が普遍化するなど、消費習慣と流通方式も非対面中心に再編されている」とし、「自営業の構造調整ペースが加速することになるのではないか懸念される」と話した」

 

「新型コロナウイルス」ショックが、4~6月期まで続く事態になると、連鎖倒産は避けられなくなるという。コロナウイルス特効薬が、登場するか否かという瀬戸際に来ている。