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韓国は、新型コロナウイルス感染者の激増によって、各国から韓国人の入国を制限される事態になっている。感染源である中国からの入国で、厳しい制限を課さなかったことが原因と指摘されている。中国には100万人以上の朝鮮族が存在し、日常的に韓国との往来が多い。このことから、韓国は早期に中国との人的流れを制限しなければ、感染者の急増をもたらすと懸念されてきた。それが、不幸にも的中した形である。

 

ほかの国でも、新型コロナウイルスの急激な感染拡大で当惑している国がある。欧州のイタリアと中東のイランだ。イタリアは欧州で感染者が最も多く、イランは死者の数が世界で中国に次いで多い。韓国感染者は中国の次に多い。

 

韓国・イタリア・イランの3カ国は、中国と政治的に密接な関係にあるか、中国に対する経済依存度が高いため、初期の防疫過程で全面的な入国禁止措置を取るのが難しく、事態を拡大させたという指摘がされている。

韓国の中央防疫対策本部は25日、この日午前9時から午後4時までに新たに84人の感染が確認されたと発表した。午前中に発表された60人を合わせると、1日で感染者は144人増えた。韓国での感染者数は計977人となった。感染者から新たに1人の死者が出た。韓国での死者は10人に増えた。

 

(1)「イタリアは感染者が急増した。21日の一日だけで新たに16人の感染者が確認され、従来の3人から19人に増えた後、23日には感染者が156人(死者3人)に急増した。イタリアは先月31日(現地時間)、ローマにいた60代の中国人観光客2人が初めて新型コロナ陽性判定を受けると、国家非常事態を宣言し、欧州の国では初めて4月まで中国本土と香港・マカオ・台湾を行き来する直航路線の運航を全面中断すると発表した。しかしほかの欧州の国を経由して陸路や航路で入国する中国人観光客は防がなかった」

 

イタリアは、観光立国である。新型コロナウイルス感染者が出るや、国家非常事態宣言を出すほど神経質に対応したものの抜け穴があった。他の欧州の国を経由して、多くの中国人観光客が入国していた。

 

(2)「イタリアは昨年3月の中国の習近平国家主席の国賓訪問当時、主要7カ国(G7)のうち初めて中国の「一帯一路」(陸・海上シルクロード)に参加することにした。これに対し中国は両国修交50周年の今年を「中国・イタリア文化・観光の年」に選定し、米国の代わりにイタリア旅行を推奨する雰囲気だった。イタリアの観光産業は、2019年基準で国内総生産(GDP)の13%を占めるほど国の主要収入源となっている。イタリアが全面的な中国人観光客入国禁止措置を取ることができなかった理由だ

 

イタリアのインバウンド所得は、GDPの13%にも達している。また、中国と「一帯一路」で経済的な関係を深めていた関係上、中国を粗略に扱えなかったという弱点もある。中国への厳しい措置が取れなかった理由である。

 


(3)「イランは新型コロナ感染者に対する死者の比率(18.6%)が最も高い国だ。19日に初めて2人の死者が確認されたイランでは、24日に死者が計12人、感染者は47人に増えた(イラン政府発表基準)。イランは自国で感染者が出る前の先月31日、中国発または中国行き航空便を中断するという決定を下した。イランは、米国の制裁を乗り越えるために友邦の中国との関係を強化してきた。イランは昨年7月からは中国人観光客を誘致するため3週間滞在できるノービザ入国を認めたりもした。イラン国内の死者急増には、米国の経済制裁で医薬品などの輸入が難しい点も作用した

 

イランも、経済制裁立直しで中国人観光客誘致に力を入れてきた。それが、裏目に出た。

 

(4)「韓国にとって中国は最大の貿易国だ。人口1億人の広東省だけでも韓国との貿易はほかの多くの国との貿易規模を上回る。韓国政府が中国との外交・通商摩擦を懸念して中国に対する全面的な入国禁止措置に消極的だったという指摘が出る理由だ。韓国は4日から中国湖北省からの入国を禁止し、中国のほかの地域と香港・マカオから来る人々は強化された検疫を受けるようにした。入国禁止地域を中国全域に拡大すべきだという青瓦台(チョンワデ、大統領)国民請願に76万1000人が参加したが、政府は中国人入国者が大幅に減少したため、現在の水準の維持が妥当だという立場を固守している」

 

韓国大統領府の国民請願には、76万人余が中国全域からの入国禁止措置を求めていた。結果的に、この請願は受入れられなかった。そこへ、今回の大量感染者増加である。政府は、苦しい弁明を迫られる。今もなお、中国との「門戸」は開けられたままである。中国の習近平国家主席の早期訪韓を熱望している結果だ。

 

4月15日に迎える総選挙で、国民はどのような判断を下すのか。厳しい選択が下されことは不可避であろう。