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韓国の新型コロナウイルス感染が止まらない。韓国は26日、前日の午後4時からこの日午前9時までの17時間で、新たに169人が感染したと発表。1時間当り約10人という恐怖の感染拡大である。これで感染者数は合計1146人となり、1月20日に初めて感染者が確認されてから1カ月余りで1000人を上回った。

 

韓国政府・与党は、新型コロナウイルス感染対策で必死である。集団感染地の大邸(デグ)に首相を常駐させて陣頭指揮を執るという非常事態に陥っている。こうした状況下で、政府が「大邸を封鎖する」と発言して、大きな混乱を招いている。地元は一斉に反発し、「中国人の入国を認めておきながら、自国民をないがしろにする政府があるか」という怒りが噴き上がっている。

 

確かに、韓国政府は中国に対して極度に神経を使い、入国制限は「武漢経由」に限定してきた。他地域に拡大させず、国民の批判を浴びてきたのだ。その挙げ句に、「大邸封鎖」では話が逆という国民の批判は当然であろう。

 

『朝鮮日報』(2月26日付)は、「憤怒した大邱、『中国は阻止せず自国民の封鎖をうんぬん、これが国なのか』」と題する記事を掲載した。

 

青瓦台(大統領府)と政府、そして与党・共に民主党が25日、武漢コロナ対策として「大邱・慶北地域を特別管理地域に指定し、通常の遮断措置を超える最大限の封鎖政策を施行する」と発表し、激しい反発を受けた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2度「地域封鎖ではない」と釈明したが、大邱・慶尚北道の住民らは「入国阻止を求めている中国人の入国は阻止しないまま、自国である大邱の封鎖に言及するとは、これが国なのか」と憤怒した。最大野党・未来統合党だけでなく、与党からも「遮断と言えばよいものを、なぜ封鎖と言うのか。配慮がない」との批判が出ている。

 

(1)「この日午前、与党・共に民主党、青瓦台(大統領府)、政府の各高官による会議直後、共に民主党の洪翼杓(ホン・イクピョ)首席スポークスマンはブリーフィングで大邱・慶北地域について「最大限の封鎖措置を施行することにした」と発表した。記者たちが「封鎖措置」の意味を尋ねると「政府としても頭を痛めているが、移動などの部分について一定程度の行政力を活用することを検討中」と回答した。これに「該当地域の出入りそのものを禁止するという意味」との解釈が出ると波紋が広がった。共に民主党は公式メッセージの中で「地域封鎖ではない」と釈明したが、文大統領訪問前に現地では地域封鎖への懸念が手の施しようのないほど広まった」

 

中国では、武漢市などが封鎖されている。そのイメージが、「大邸封鎖」に重なり合ったのであろう。地元民が怒るのは当然だ。新型コロナウイルス感染で楽観論を流してきた韓国政府が、国民への警戒を呼びかけずに起こった集団感染である。しかも、中国人の入国は、ほぼ認めてきたという落ち度がある。

 


(2)「文大統領は大邱市庁を訪問し、直接「今朝、高位党政協議会の結果を説明するブリーフィングで『最大限の封鎖政策を施行する』という表現があったが、地域的な封鎖を意味するのではなく『伝播(でんぱ)と拡散を最大限遮断する』という意味であることを明確にする」「誤解の余地があったようなので、いま一度改めて説明した」と述べた。与党の関係者は「大統領が大邱を訪問し、首相が大邱に常駐して現場を指揮するのに、『封鎖』発言が問題を大きくした」とコメントした。

 

「大邱封鎖」発言の波紋が広がると、文大統領が直接説明に乗り出した。文大統領はこの日午前、青瓦台の報道官に「『最大限の封鎖政策』とは地域的封鎖を意味するのではなく、コロナ19の伝播(でんぱ)・拡散を最大限遮断する意味であることを明確にせよ」と指示した。午後には大邱でも「誤解の余地があったようなので、いま一度説明したい」「最大限の封鎖政策は『伝播と拡散を最大限遮断する』という意味であることを明確にする」と説明した。1日に2度説明を行った形だ。

 

文大統領が、窮地に立たされている証拠である。事態は、首相を現地に常駐させるまでに悪化している。韓国政府の初動ミスが招いたものである。