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米投資銀行JPモルガンは、韓国での新型コロナウイルス感染者が、3月20日に最大で1万人発生するとの見通しを発表した。現状よりもさらに悪化するという予測だ。これは、韓国にとってきわめて憂慮すべき事態を予告しているものである。

 

韓国当局は、沈静化の自信があれば当然、反論すべきところだが「沈黙」している。こうなると、半ばJPモルガンの発表を認めたような形である。この「1万人説」が一人歩きする危険性もあろう。

 

韓国当局が反論できないのは、2月20日以降の感染者がうなぎ登りであるからだ。

2月21日  204人(+100人)

  22日  433人(+229人)

  23日  602人(+169人)

  24日  833人(+231人)

  25日  977人(+144人)

  26日 1261人(+284人)

 

6日間で平均して1日192人も増加している。この調子で感染者が増え続ければ、10日間で2000人、20日間で4000人、30日間で6000人となる。こう見てくると、3月中に1万人の患者数という予測も、荒唐無稽とは言えなくなる。それほど、爆発的な増加であるのだ。

 


『中央日報』(2月26日付)は、「韓国政府、JPモルガンの1万人新型コロナ感染説、追加比較と分析しなくてはならない」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中央災害安全対策本部の金剛立(キム・ガンリプ)第1総括調整官(保健福祉部次官)は26日、政府世宗(セジョン)庁舎で記者説明会を開き、「JPモルガンの発表は政府も読んで議論はした。だが、まだその判断を信頼するには、中国側が発表した伝播力に対する統計等の様々な数値を比較分析しなければならない時点」としながら「防疫対策本部で検討と分析が追加で行われている」と話した」

JPモルガンのシナリオは、大邱市の住民約240万人のうち3%が一次感染者と想定。2次感染率については中国でのウイルスの経験に基づいて推定したものという。要するに、疫学モデルにしたがって推計した。韓国政府が、そのデータをチェックすれば、JPモルガンの予測が正しいかどうかについて発言できるはずだ。それを、沈黙しているところに「同意」を示唆しているのかも知れない。

 

(2)「続いて、「地域伝播が起きれば感染が広がる経過が初期一週間で非常に急激に増加するため、この時期に防疫的な措置を強く講じなければ急速に拡散する」と付け加えた。金調整官は「政府も分析しているが、政府がこのような内容を公式に申し上げるには、その分析に差が生じた時の副作用まで予想しなければならなくなる」とし「防疫対策本部で追加的な検討と分析が行われているので、ある程度安定した予測が出てきて政府が公式に発表できる時期が来れば確認してお伝えする」と説明した」

 

予測を発表した相手が、著名な世界的投資銀行である。充実した研究スタッフを揃えている。韓国政府以上の陣容かも知れない。JPモルガンは、顧客の資産運用も手がける。予測が間違えれば、沽券(こけん)に関わる問題だ。こういうJPモルガンの実力を考えれば、信憑性は高いと言うべきだろう。韓国政府が、妙な批判をすればたちどころに反論される相手である。

 

韓国で、1万人の感染者が出るとすれば、韓国経済は混乱のルツボに追い込まれる。この事態を受けて、韓国政府は総選挙(4月15日)を繰り延べて、不利な条件を先延ばしする口実に使うだろう。また、与野党が大揉めすることは明らかだ。