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新型コロナウイルスが、欧米で猛威を振るうとともに、世界経済の先行きは時々刻々と悪化の度合いを深めている。世界経済の要の欧米が、コロナウイルスに「占領」されてしまい動きがとれなくなった。IMF(国際通貨基金)は、最新の予測で2020年の世界経済が「少なくとも2008年並み」と発表した。

 

2008年と言えば、リーマンショックである。米国で端を発する金融危機であった。今年の世界経済は、良くて08年並みで悪ければそれ以下という厳しい内容だ。世界経済の落込みは即、韓国経済の命綱である輸出減に直結する。韓国経済は、きりもみ状態に巻き込まれるリスクを増している。

 

『ブルームバーグ』(3月24日付)は、「世界経済、今年は少なくとも金融危機と同程度落ち込む-IMF」と題する記事を掲載した。

 

(1)「国際通貨基金(IMF)は、今年の世界的なリセッション(景気後退)を見込む。10年以上前の金融危機と少なくとも同じくらいの落ち込みを予想するが、来年は回復するとみる。3月23日に開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁による緊急の電話会議後に発表した声明で、ゲオルギエワIMF専務理事は、すでに多くの国が打ち出した緊急財政措置をIMFとこれまで80カ国近くがIMFに緊急融資を要請してきたと説明して強く支持し、主要中央銀行の金融緩和策を歓迎する意向を示した」

 

IMFへ80ヶ国近くが緊急融資を申し込むほど、世界経済は逼迫化してきた。ドル重要が高まっており、FRB(米連邦準備制度理事会)が韓国など9ヶ国と通貨スワップ協定を結んだ背景でもある。

 

今年の世界経済は2008年のリーマンショックと、同等ないしそれ以下の伸び率に落込むと見られる。これは、世界の輸出規模の縮小を意味する。輸出依存度の高い国には手痛い打撃を与えるはずだ。

 

(2)「専務理事は声明で、「これらの大胆な取り組みはそれぞれの国の利益にかなうばかりでなく、世界経済全体に寄与する」と評価し、「特に財政を活用した、さらなる措置が必要になるだろう」と続けた。IMFは協調した強力な対応を提供するため、他の国際金融機関と緊密に連携しているとし、1兆ドル(約110兆円)に上る融資能力の全てを活用する用意があるとあらためて表明した」

 

IMFは、1兆ドルの緊急融資に応じる方針を示した。あえて、この融資総額を明示するほど、世界経済の資金繰りが苦しくなっている証拠だ。

 

(3)「来年の回復について専務理事は、「新型コロナウイルスの封じ込めと保健制度の強化に全ての国・地域で優先的に取り組むことが極めて重要だ」と指摘。「経済的な影響は現時点で深刻であり、先行きもそうなるだろうが、感染拡大阻止が早ければ早いほど、急速で強い回復が実現するだろう」と呼び掛けた。

 

下線部では、感染拡大阻止が早ければ早いほど、回復時期が速まるとしているがそうだろうか。2008年は金融危機である。不良債権を生み出してその処理に時間はかかった。今回の危機は、公衆衛生に関わる「生命リスク」である。供給断絶と需要断絶が同時に起こっている。しかも、所得断絶を伴った需要断絶であるから、必然的に「債務増加」を伴っている。これは、過去の経済危機のパターンと異なる。

 

つまり、生命リスクが消えて生産活動が正常化しても、得られる所得は先ず、所得断絶期に生じた負債返済に充当される。それゆへ、爆発的な消費の増加は生まれにくいはずだ。この事実を見誤ると誤算を招く。「経済の早期回復」にはつながらないであろう。

 

こうした新しい視点で韓国経済を眺めると、安易な予測はできなくなろう。

 


『朝鮮日報』(3月24日付)は、「SP、『韓国は今年マイナス成長』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「世界的な信用格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(SP)は23日、新型コロナウイルスによる感染症による影響で韓国が今年はマイナス成長に陥るとし、予測値を当初の1.1%からマイナス0.6%へと大幅に下方修正した。主な経済シンクタンクでは、英キャピタル・エコノミクスが最近、韓国の経済成長率をマイナス1.0%と予想しているが、3大信用格付け会社で韓国のマイナス成長を予測したのは初めてだ」

 

S&Pは、3大信用格付け会社で初めて韓国のマイナス1.0%成長を予測した。これは、いずれ、他の2社の格付け会社へも波及するであろう。

 

(2)「SPは今月5日にも韓国の成長率予測を1.6%から1.1%へと0.5ポイント下方修正したばかりだが、今回はさらに下方修正した格好だ。SPは今年の韓国の消費者物価上昇率をマイナス0.4%、失業率を4.2%と見込んだ。このほか、韓国の今年末時点の政策金利を現在より0.25%低い0.5%と予想した。SPは韓国以外にも香港(マイナス1.7%)、シンガポール(マイナス0.8%)、日本(マイナス1.2%)がマイナス成長にとどまると予想した。中国の成長も2.9%まで鈍化すると分析した」

 

S&Pは、韓国GDPの成長率予測で矢継ぎ早の引下げを行なっている。それだけ、韓国を取り巻く環境が急速な悪化をしている証拠である。今月5日に1.6%から1.1%へ引下げたばかりだ。それが、今回さらにマイナス1.0%の下方修正である。この調子では、近くまた引下げ場面が予想される。

 

(3)「政府、銀行、企業、家庭が負担することになる経済的損失は、現在約6200億ドルと推定されるとした上で、アジア太平洋地域の平均成長率は2.7%になると予想した。SPとともに3大格付け会社に数えられるフィッチ、ムーディーズは最近、韓国の今年の成長率をそれぞれ0.8%、1.4%と予想している」

 

フィッチとムーディーズの格付け会社も、韓国経済の最新予測を発表するであろう。マイナス成長になるのは必至だ。問題は、そのマイナス幅である。