ムシトリナデシコ
   

韓国は、現在の「コロナ禍」後の景気回復で、世界で一番の乗りするという超楽観論が飛び出してきた。理由は、コロナ検査体制が世界一であり、財政的にゆとりがある。また、国民が協調的というのだ。いささか、本欄とは見解を異にしているので、取り上げることにした。

 

韓国は、コロナ感染者の検査数が多いことを自慢にしている。だが、死者は多いのだ。仮に、韓国のコロナ沈静化が早かったとしても、海外からの人間の移動を制限せざるを得ない。輸出も世界がコロナ沈静に成功しなければ、数量的な増加は困難だ。国民は協調的と指摘するが、与野党で鋭い対立で国論が分裂したままである。

 

何よりも重要なことは、今回のコロナ禍で欧米経済が大きな打撃を受けていることだ。コロナ禍=売り上げ「ゼロ」=資金流動性低下という、従来にない経済環境に追い込まれている。そもそも今回は、世界経済のV字型回復が不可能という、過去の経済危機と諸条件が異なっているのだ。そういう認識が欠如している。

 


もう一つ追加すれば、韓国の潜在成長利率を左右する「生産年齢人口比率」の低下である。2014年の73.41%がピークであった。15年以降は、減少しており「人口オーナス期」となっている。14年までは、「人口ボーナス期」と呼ばれ、潜在成長率は右肩あがりであったのだ。過去の経済危機は、いずれも「人口ボーナス期」に起こっており、その克服にはそれほどの苦労をしないでも可能であった。

 

だが、現在は「人口オーナス期」である。潜在成長率は下がっている。その中で、韓国経済は「コロナ禍」と戦わなければならない。安易な楽観論が、通用する経済環境にないことを認識すべきであろう。

 

『中央日報』(3月25日付)は、「積極的な金融緩和を、危機克服後にはチャンスがくる」と題するコラムを掲載した。筆者は、ビョン・ヤンホ元財政経済部金融政策局長である。

 

(1)「経済危機はこれまでにも発生してきた。今回は以前とは違うため危機はないはずという見解はいつも嘘になった。しかし発生した経済危機は結局、すべて克服された。1997年のアジア通貨危機も深刻だったが、2008年のグローバル金融危機当時はぞっとした。対応できないようだった。すべてが地獄に落ちると感じられた。しかし米国など先進国を中心に天文学的な資金を供給して結局は解決した」

 

余りにも他力本願である。二度の通貨危機は、「米国など先進国を中心に天文学的な資金を供給して結局は解決した」と楽観している。先進国には今後、日本は入らないだろう。余りの「反日運動」で日本が日韓通貨スワップ協定を結ぶのは困難である。

 

韓国が、「人口オーナス期」入りしていることも不利な条件になった。潜在成長率が低下する中で、「コロナ禍」を克服するのは容易ではない。



(2)「今回の新型コロナウイルス事態もワクチンと治療剤が開発されてこそ根源的に終わるだろうが、それまでは結局、防疫とお金で解決するしかない。うまく防疫すればそれだけ資金を投じる理由がなくなる。まずは防疫に注力し、残りはお金で解決しなければいけない。それで各国は防疫を強化しながら莫大な資金支援計画を発表している。防疫とお金の問題と見る場合、韓国はどの国より有利な位置にいる。最高の防疫能力を保有していて、財政はどの国よりも健全であるからだ。韓国より防疫が優秀な国もなく、韓国より財政が健全な国もあまりない。さらに韓国国民は非常に協調的だ

 

最高の防疫能力ならば、これだけ感染者を出すはずもないし、死亡者も増えなかったであろう。防疫能力が高いのでなく、検査キットを多く配置していただけのこと。治療能力の高さ自慢は、死亡者数を減らして初めて言えることである。財政は、急速に悪化している。文政権になって失業者が急増し、その対策で国費採用のアルバイトが増えている。財政負担増の要因になっている。このままだと、財政悪化は不可避である。


(3)「韓国がこの事態を最もうまく克服できるというのは異論の余地がない。我々が失敗しなければ、だ。韓国が危機克服に最も有利だという点は未来の競争で大きな意味がある。結局、危機後まで生き残った企業を中心に世界経済が再編されるからだ。サプライチェーンなどネットワークが崩れるはずだが、ダメージが少ない企業であるほど危機後により大きな機会をつかむことになるだろう。韓国企業ができるだけ多く生き残るようにすべき理由はここにある」

韓国企業は、格付け会社から今年すべての企業が、格下げ通告を受ける惨憺たる状況に陥っている。新産業が存在しない点も痛手だ。今回の「コロナ禍」で、韓国企業の多くが深傷を負うと見られる。従来の2回の通貨危機とは、取り巻く状況が大きく変わった。このコラムには、そういう慎重論が全くない点で異色と言うべきだ。