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韓国経済界は、金融危機から22年ぶりの「マイナス成長」の危機に直面、生き残りに向け本格的に声を出し始めた。韓国経済界は文政権による「反企業主義」で、規制強化を加えられてがんじがらめにされて来た。このままでは、コロナ禍で韓国経済は息の根を止められると、最後の叫び声を出している。規制緩和すれば、財政資金ゼロで経済活性化が実現する。試験的に2年間行い、無害であれば恒久的な規制緩和を実施するように求めているのだ。悲痛な声である。

 

世界経済は、規制緩和へ大きく舵を切っている。文政権は、社会主義的思考に縛られ、企業は悪という固定観念に囚われる希有の政権である。ここへ1929年の世界恐慌以来という「コロナ禍」の襲来である。経済界は、韓国が大損害を被るという危機感を強めている。

 

『中央日報』(3月26日付)は、「韓国経済にパーフェクトストーム『特段の非常措置が必要』全経連、危機克服で緊急提言」と題する記事を掲載した。

 

「売り上げゼロの状況にまで追いやられた小商工人や自営業者だけでなく深刻な資金逼迫を体験している韓国企業を生き返らせられる期間はそれほど長くない」。韓国は、コロナ禍によってすでに大きなダメージを受けている。文政権に認識を変えて欲しいという悲痛な叫びが出ている。

 

(1)「全国経済人連合会は25日に許昌秀(ホ・チャンス)会長が、直接ソウルの全経連会館で記者会見を行い、「新型肺炎経済危機克服に向けた経済界緊急提言」を発表した。許会長は「韓国経済が実体と金融の複合危機であるパーフェクトストーム(超大型経済危機)の真ん中に置かれているだけに特段の非常経済措置が必要だ」との考えを明らかにした。危機克服に臨む企業の責任も明らかにした。「経済危機状況だが雇用を守り、計画された投資も支障なく推進するよう努力する」

 

パーフェクトストーム(超大型経済危機)とは、過去の経済危機よりも大きいという意味であろう。過去2回の経済危機と比べて、現在の韓国経済は人口高齢化の進行に表われているように活力を失っている。人口は、今年に入って「自然減」(出生数よりも死亡数が多い)社会になっている状態だ。経済政策もこれに合せて弾力化しなければならない。



(2)「全経連は緊急提言で、▽一時的規制猶予導入▽企業活力法(ワンショット法)の対象拡大▽株式反対売買一時停止などを含め15大分野54件の課題を提示した。許会長は「生き残りの岐路に立たされた企業現場の声が込められている」とした。全経連は最も緊急な課題として一時的規制緩和を挙げた。資金を使わなくても経済を生き返らせられる道であるためだ。最小2年間規制を猶予し、猶予期間終了後に副作用がなければ恒久的にこれを廃止しようと提案した」

 

文政権は、労組と市民団体の顔を見て政策決定している。これが、硬直的な政策を実行している背景だ。下線部分のような規制緩和を実行すれば、韓国経済が水面へ出られると必死の訴えである。ともかく、労組に支配された政権であるゆえ、硬直的で融通が利かず、このままではパーフェクトストームに飲み込まれる運命だ。

 

(3)「全経連の権泰信(クォン・テシン)副会長は、「規制改革は財政負担なく企業投資を促進して内需を生かすことができる最も効果的な方法であるだけに、一定期間規制効力を停止したり執行を猶予すべき」と話した。彼は韓国経済を「基礎疾患を抱える高危険群」に例えた。昨年韓国から抜け出た海外直接投資は618億ドルと過去最大で、外国人の対韓投資と国内設備投資がいずれも減少する「病んだ状況」で新型コロナウイルスで崖っぷちに立たされたと表現した。権副会長は「未曾有の危機状況であることを考慮し、国民と企業が体感できるよう果敢な規制猶予を願いたい」と話した」

 

韓国企業は、国内の規制が厳しいので海外で投資せざるをえないという矛楯を抱えている。最低賃金法、週52時間労働制などの労働規制が施行までの余裕もなく行なわれている。理想ではあるが、それをスムースに実現させるには、規制緩和を行なうなどのクッションも必要である。そういう配慮がゼロである。韓国企業は、規制ずくめで窒息状況に追いやられている。



(4)「一例として、新型肺炎により生活必需品の需要は急増しているが大型マートは休日営業規制により店舗営業だけでなくオンライン配送もできない。生産にも支障が出ているが企業も週52時間労働規制により弾力的な対応が難しい。52時間労働の例外を拡大すれば人材運用の障害をなくすことができる」

 

このパラグラフは、文政権の矛楯した政策の限界を表わした実例である。

(5)「企業が自発的に事業再編ができるいわゆる「ワンショット法」(企業活力法)の適用対象もすべての業種と企業に拡大してほしいという提案もあった。ワンショット法は企業が先制的・自発的に事業再編をする際に手続きを簡素化し規制を猶予するなどの特例を与える制度だ。現在は対象が供給過剰業種に制限されており、新型肺炎の直撃弾を受けた航空・運送業や石油精製業界もワンショット法を活用できない」

 

企業が、事業再編を行なうのは自由に行使できる経営権の問題である。これすら縛りを入れているのは、労組の圧力によるものだろう。雇用を守るのは、一つの企業レベルで行なうことでなく、韓国全体で行なうテーマである。具体的には、新規部門立上げを自由にする=規制緩和、によって労働力流動化を促進させることだ。日本もバブル崩壊後に、企業が過剰労働力を抱えて動きが取れず、「失われた20年」の遠因になっている。


(6)「このほか株価が下がった時に金融機関が担保にした顧客の株式を強制的に売ってしまう反対売買を一時的に中止することや、日本などとも通貨スワップを拡大して通貨危機の可能性を遮断しようという提案もあった。また、現在3624人に達する事業所の医療陣を活用して医師がいる企業の社内診療所を新型肺炎診断のための選別診療所として活用することも提案した」

こういう問題点が一つ一つ指摘されると、韓国はなんと無駄なことをやっているのかと驚く。固定観念に縛られ、そこから一歩も外に出られない点は、儒教文化の悪しき例を見る思いがするのだ。