あじさいのたまご
   

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、米国から相当な批判を浴びている。最初から中国を庇う姿勢が明白であったからだ。米下院では、新型コロナウイルスを巡る中国非難決議案が上程されている。この決議案には、テドロス事務局長の中国寄り姿勢の原因究明が含まれているほど。

 

テドロス氏の中国寄り姿勢が、「新型コロナウイルス」対策で初動ミスを冒し、世界中に感染させる結果を招いた。そのテドロス事務局長が、自戒を込めて次のような発表をした。

 

『ブルームバーグ』(3月26日付)は、「各国は時間浪費すべきでない、WHOが警告ー最初の機会は無駄に」と題する記事を掲載した。

 

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月25日、各国・地域は新型コロナウイルス(COVID19)の感染拡大を阻止する最初の機会を逸したが、これ以上貴重な時間を無駄にすべきでないと警告した。

 

(1)「テドロス事務局長は、「われわれは最初の機会を無駄にした」とし、「行動すべき時期は実際、1カ月余りまたは2カ月前だった」と語った。その上で、世界には第2の機会があるとして、150カ国・地域では感染報告が100件未満で、準備する時間がまだあると指摘した。封鎖措置を命じた国はウイルスの封じ込めに向けて積極的な措置を講じる時間を稼げたが、封鎖を継続する期間は各国が感染拡大の終息に向けてその間に実施する措置に左右されるとした」

 

テドロス氏は、中国の支援でWHO事務局長に就任できたという恩義に縛られている。100%、中国へ顔を向けた見苦しいほどの政策決定であった。事態がここまで悪化して、ようやく目が覚めて、正論に戻って来たようだ。初動ミスの代償は、余りにも大きい。

 


現在のWHOは、全世界が新型コロナウイルスに感染するという前提で対策を検討している。最初からこういう慎重さで対応すれば、ここまで事態を悪化させることもなかっただろう。中国を庇って、「大した感染症でないように装った」罪は重い。

 

下線部分は重要である。地域封鎖をする場合、封鎖解除後に感染者が増加しても対応可能な治療体制を完備してから封鎖を解けと指摘している。これは、地域封鎖しても一時的な効果に過ぎず、「完治」でないと言っているに等しい。

 

(2)「テドロス事務局長は、封鎖措置によって社会と経済には大きな負担がかかるが、「いかなる国においても最悪なのは、学校や経済活動を再開した後に感染拡大の再燃で再び閉鎖する事態になることだ」と強調した。WHOの緊急事態プログラム責任者マイク・ライアン氏は「世界はパンデミック(世界的大流行)への備えがない」とし、その例として、一部の国からしか調達されないゴムで製造される医療用手袋の供給がサプライチェーン寸断で危うくなる恐れを指摘した

 

さしずめ武漢市が、4月8日に都市封鎖を解除すると発表している。WHOの指摘では、解除後に、感染者の増加が起こるという危惧である。ロンドンも封鎖したが、解除後の対応が完備していなければ、解除はできないことになろう。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月26日付)は、「新型コロナは長期戦へ、身構える各国政府」と題する記事を掲載した。

 

新型コロナウイルスの感染が世界に広がる中、各国政府や科学者は短期決戦で勝利を目指すよりも、長期の包囲作戦に備えている。これには戦略転換に加え、経済的な混乱が長引く可能性がつきまとう。

 

(3)「ニューヨークからサンフランシスコ、ミラノ、パリ、マニラ、クアラルンプールに至るまで、強力な移動制限や前例のない封鎖措置が講じられ、感染の拡大ペースは抑えられるかもしれない。だが、感染を完全に阻止できる公算は小さいと専門家は語る。シンガポールや香港では、早期の感染封じ込めで成功しても、新たな感染の波がそれを台無しにしかねないことが認識されている。各国当局は今後数週間から数カ月、感染が再拡大するリスクを避けつつ、規制措置を緩和する安全な時期やその程度を決めるという難題に取り組むことになる。各国はどれほどの経済的な打撃に耐える用意があるのか――」

 

SARS(2003年)では、発症から終息宣言まで8ヶ月で事態は収拾した。今回の「新型コロナウイルス」は、ここまで感染地域が拡大した以上、終息宣言まで2~3年を覚悟する必要があるようだ。事態は、悪化している。その間、経済的にどこまで耐えられるかが勝負となった。

 


(4)「科学者は、ワクチンの登場もしくは集団免疫の実現のうち、どちらか一方を通じて感染が終息する可能性が高いとしている。集団免疫とは、人口の大部分――半分かそれ以上――が感染から回復し、ウイルスへの免疫がついた状態をいう。有効な治療法も、感染スピードの抑止とリスク低減に役立つ。 この3つはいずれも問題を抱えている。集団免疫が実現するまでには、何百万人もが感染しなければならず、その過程で多くの死者が出ると専門家は指摘する。スクリップス・リサーチの免疫学者クリスチャン・アンダーセン博士は、ワクチンの開発と普及には1年よりはるかに長い時間がかかる可能性が高いとみている。新薬開発も容易ではない」

 

一口に、新薬開発というが簡単ではない。ワクチン開発と普及には、1年をはるかに上回る期間が必要である。こうなると、妙案はない。ひたすら、感染者を急増させないという管理しか方法はなさそうだ。

 

(5)「アンダーセン博士は、「この先何年も、われわれが正常と考える生活が戻ることはないだろう」と語る。「今後3年間に社会として機能する方法を見いだす必要がある」。多くの国の政府はウイルスの感染状況を手掛かりとして、断続的に厳しい措置を講じる準備を進めている。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、「感染の連鎖は低水準に抑制される状態が続いた後で、人との距離を置く措置の解除とともに再発する可能性がある」と述べた」

 

ここでは、楽観論をすべて否定している。

    この先何年も、われわれが正常と考える生活が戻ることはないだろう

    今後3年間に社会として機能する方法を見いだす必要がある

    感染の連鎖は低水準に抑制される状態が続いた後で、解除とともに再発する可能性がある

 

東京五輪は、来年夏の開催に延期されたが、上記の結論に従えば楽観できないことになる。再延期がないとすれば中止だ。大変な事態が到来しそうである。今から、その回避策を練っておくべきだろう。