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米議会上院では、中国の新型コロナウイルスから受けた損害賠償を求める法案が上程された。下院では、中国政府を非難する決議案が上程されるなど、米議会の中国に対する怒りが立法化されようとしている。一方、民間でも損害賠償訴訟が始まった。

 

『大紀元』(3月26日付)は、「米弁護士ら、武漢ウイルス研究所などを提訴、損害賠償20兆ドル」と題する記事を掲載した。

 

米国弁護士らは、中国湖北省武漢発の肺炎ウイルスの流行の責任を追及するため、中国政府、武漢ウイルス研究所、同所長に対して少なくとも20兆ドルの損害賠償を求める集団訴訟をテキサス州の連邦裁判所に提出した。

 

原告は、テキサス州で写真撮影を行う企業バズ・フォト。そして、保守系で元司法省検事ラリー・クレイマン弁護士、同氏の運営するグループ「フリーダム・ウォッチ」。クレイマン氏は、影響力ある保守運動団体ジャジカル・ウォッチ創設者。

 

(1)「317日付の訴状によると、バズ・フォトは肺炎ウイルスの流行により、経営危機に陥ったとして、損害賠償を求めている。フリーダム・ウォッチのクレイマン氏は、中国政府は違法に生物兵器を備蓄しており、武漢ウイルス研究所が市内へのウイルス漏えい防止を怠り、さらには米国への感染拡大につながったと訴えている。同氏はさらに、これらの行為は人口密集地に拡散させた大量破壊兵器に等しく、反社会的であり、米国法の国際テロに相当すると指摘する。また、こうした「冷酷で無謀な無関心と悪意のある行為」のために、中国政府に対して少なくとも20兆ドルの損害賠償を請求している」

 

突如、襲って来た「新型コロナウイルス」による甚大な被害に対して、米国民は泣き寝入りせず、中国の責任を追及する姿勢だ。20兆ドルという金額は、中国政府といえども簡単に支払えない巨額なものだ。被害者には何らの落ち度もなく、中国から一方的に被せられた損害である。精神的な慰謝料を含めれば、20兆ドルは妥当な線であろう。

 

(2)「「米国の納税者が中国政府によって引き起こされた途方もない被害の代償を払わなければならないとの理由はない」「中国人は善良な国民だが、彼らの政府はそうではない」とクレイマン氏は訴訟に関する声明に書いている」

 

中国は、SARS(2003年)でも、感染症を発症させている。二度までも、世界的な感染症を引き起こした責任は重い。

 

中国では、外交部広報官のSNSによって、コロナ禍が米国から持込まれたという説を信じて、米国政府を訴える訴状が出された。中国司法の扱いが、興味深くなってきた。駐米中国大使は、インタビューで前記のSNSを前面否定したからだ。

 

湖北省武漢市江安区の弁護士事務所所長は20日までに、武漢裁判所に、トランプ米大統領や米国疾病管理予防センター(CDC)所長、マーク・エスパー国防長官らを相手取る民事訴訟を届け出た。

 


(3)「湖北光良法律事務所・梁旭光氏は、4人に対して新型コロナウイルスの流行による経済的、精神的損害により20万元の賠償を求めている。訴状によると、2019年から20203月にかけて、米国で流行したインフルエンザは、未知の肺炎ウイルスであったことを隠ぺいして、公衆衛生情報を偽ったという。この情報の拠点は示されていない。同期間、米国ではインフルエンザにより3600万人が感染し、22000人が死亡した。また、トランプ大統領が使用する「中国ウイルス」という言葉が原告に対する名誉毀損だとして、謝罪を求めている」

 

米国の訴状に比べれば、中国側の訴状は米国に対抗するために出した訴状という印象が強い。米国の訴状が3月17日、中国の訴状が3月20日であり3日間のズレがあるからだ。

 

中国裁判所は、この訴状をどのように扱うのか。米国に罪があるという判決が出れば、米中対立の火に油を注ぐ事態になる。中国としては、ウヤムヤにしてしまうのが無難という判断を下すであろう。

 

ここで再び、米国側で提訴されている中国への賠償請求が、現実に賠償金として取り立てられるのか、という問題が浮かび上がる。

 

『大紀元』(3月25日付)は、「米超党派議員、伝染病対応の失策で中国に賠償求める議案を提出」と題する記事を掲載した。

 

(4)「海軍兵学校の海法・政策教授ジェームズ・クラスカ氏は23日、ソーシャルサイトで、「中国の怠慢が、武漢肺炎の流行の原因であることは間違いない」と主張した。クラスカ氏によれば、義務怠慢の責任は武漢の現地役人から習近平主席にまで及ぶ。中国は、国連国際法委員会による「国際違法行為に対する国家の責任(RAWA)」に基づく法的義務を怠ったと指摘した。 また、同法第31条では、加盟国は、国際的に不当な行為によって生じた心身両面の損害を完全に賠償しなければならないと規定している

 

下線のように、「国際違法行為に対する国家の責任(RAWA)」の罪で責任を追及できるとしている。

 

(5)「ワシントンの人権団体・公民力量の創設者である楊建利氏は、米国が起訴すれば、中国政府は「主権免責法」によって保護され、米国に登録された中国政府の財産を特定して追跡することは困難であるという。しかし、戦争賠償の方法ならば、各国は中国が国家安全保障上の脅威であるという観点から請求することや、国連安全保障理事会が、同憲章第7章に基づき「世界の平和と安全を回復」のために、中国に対して責任を追及できるかもしれないとした

 

このパラグラフでは、国連憲章第7章に基づき「世界の平和と安全を回復」に違反するとして、責任を問えるという。法律問題であるので、私は軽々な判断を慎まなければならない。だが、新型コロナウイルスによる訴訟は、米上院に上程されたので、その審議の行方と絡んで来る。いずれにしても、損害賠償問題が提起されたことで、中国政府にとって新たな問題が発生したことになる。