テイカカズラ

   

けさ、下記の目次で発行しました。

 

世銀が予測する中国ゼロ成長

「一帯一路」債務が時限爆弾

米中分断が現実化するリスク

韓国を襲うマイナス成長危機

 

世界銀行はこれまで、なぜか中国経済について楽観的な予測をしてきた。世銀幹部に中国人が送り込まれてきたので、その影響もあるのだろうと推測してきた。中国は、意図的に国際機関の上層部に中国人を入れて根回し、中国へ有利な判断を引き出してきたからだ。

 

WHO(世界保健機関)の事務局長は、中国人でないが息のかかった人物を据えて、裏で操縦しているのは明らかである。今回の新型コロナウイルスで、WHOが中国寄りの発言を繰返して批判を浴びている。「スポンサー」中国の意向を代弁したものと見られている。

 

世銀についても、WHO同様の傾向が見られた。現在の世銀総裁は、トランプ米国大統領の強力支援で就任したいきさつもある。従来のような「中国寄り」姿勢を変えて、厳正中立な立場から中国経済を分析する姿勢が滲み出ている。

 


世銀が予測する中国ゼロ成長

その世銀が、今年の中国経済について厳しい見方を発表した。

 

世界銀行は3月30日、新型コロナウイルスによる景気悪化で、中国のGDP成長率が2020年は2.%に減速するとの見通しを示した。マイナスだった1976年以来44年ぶりの低水準に落込む予想である。コロナ感染が深刻化する前の1月時点の5.%から大幅に引き下げた。悲観的なシナリオとしては0.%に急減速する可能性も指摘した。

 

このように、今年の中国経済が急変するのは、もちろん新型コロナの影響である。人やモノの移動が制限された結果である。

 

中国では、厳しい都市封鎖が行なわれてきた。コロナの震源地になった武漢市は、4月8日に解除される見込みである。ただ、中国国内では武漢市を含む湖北省全体への警戒心がきわめて強い。武漢市を除く湖北省の封鎖解除は、3月25日に行われた。これに対して、隣接の江西省側は警官を配置して湖北省住民の入境を阻止し、両省の警官が乱闘する事態となった。この様子は、SNSで報じられ日本でその様子を見ることができるほど。

 

こうした殺伐とした下で、消費や生産など経済指標は軒並み悪化している。世銀は中国が企業活動を「すぐに再開できるかどうかは分からない」と指摘。中小企業は「今も困難な状況にある」と説明した。19年は6.%だった経済成長率が前述の通り、今年2.1%成長ないし最悪事態で0.1%と「ゼロ成長」に落込めば、中国自体が大変な事態に陥るのは避けられない。また、アジア地域の新興国など、「過度な債務を抱える国は金融不安に陥るリスクが高い」と警戒感を示すほどだ。

 


中国は、例年3月に開催する全人代(日本の国会に相当)で、その年の経済成長率目標を発表してきた。今年は、コロナ騒ぎでこの全人代が開催できずにいる。開催のメドは立っていないのだ。今年の中国は現在も、経済成長率目標が未発表の状態である。

 

馬駿・中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員が、中国は今年の成長率目標を設定すべきでない、との認識を示した。同委員は4~5%の成長率でさえも困難だと述べた。後になって非現実的だと判明するような成長率目標の達成に向けて、最終的に「怒涛のような景気刺激策」を打たなければならなくなる事態は避けるべきだとした。『ロイター』(3月31日付)が伝えた。

 

中国経済が、世銀予測のような事態になれば、世界経済は推進力を失う形だ。さしずめ韓国の輸出にとっては、ブレーキになる。韓国の輸出の約4分の1は中国向けである。それが大きく落込めば、輸出という屋台骨が傾く事態を迎える。これまで、中国のGDP成長率の低下幅の半分が、韓国のGDP成長率を引き下げると言われてきた。

 

仮に、中国のGDP成長率がゼロとなれば、韓国はどうなるか。昨年の中国成長率6.1%がゼロとなれば、低下幅は6.1%ポイント。その半分である3%ポイントを韓国経済の成長率から差し引く計算である。韓国は、昨年のGDPが2.1%である。これから3%ポイントを引けば、今年はマイナス0.9%成長に落込む計算になる。こういうラフな計算で、韓国経済を予測するのは乱暴な話だ。後で詳細に詰める予定である。(つづく)