あじさいのたまご
   


韓国にとって輸出は命綱である。3月の輸出は、前年比0.2%減とほぼ横ばいを維持できた。だが、3月を上旬、中旬、下旬に分けて増減率を見ると、時間の経過とともに落込み幅が大きくなっていることが判明。この調子では、4月の輸出が大きく落込むことは必至の情勢だ。韓国では貿易赤字に転じれば、経常収支もマイナス方向へ引っ張られるだけに、ウォンが売られるのは不可避となろう。

 

『韓国経済新聞』(4月2日付)は、「1カ月ぶりに落ち込んだ輸出、4月に本当の危機近づく」と題する記事を掲載した。

 

(1)「4月の輸出が心配になる」。韓国政府と貿易業界の一貫した懸念だ。新型コロナウイルスが先月中旬から米国や欧州などで急速に感染が拡大したためだ。主要市場の生産・消費・流通がまひ同然となり4月の輸出は10~20%急減する可能性があるとの警告が出ている」

 

4月からの輸出が、正念場を迎えることは確かである。ここでは4月の輸出が前年比10~20%減と控え目に見ているが、その程度の減少に止まるまい。それは、3月下旬の輸出が前年同月比15%も落込み、下方傾向を強めているからだ。多分、20%以上の減少は不可避と見られる。貿易収支が赤字になれば、経常赤字問題が出て来てウォン安に拍車をかける場面が予想される。その意味で、4月の貿易収支は注目の的である。

 


(2)「産業通商資源部が1日に発表した「3月の輸出入動向」によると先月の輸出は469億1000万ドルで前年同期比0.2%減少した。2018年12月の1.7%減から今年1月まで14カ月連続で減った輸出は2月に4.3%増と瞬間的にプラスに転じたが1カ月でまた減少した。操業日数を考慮した1日平均輸出額は19億5400万ドルで、前年同期比6.4%減少した。3月の輸入は0.3%減った418億7000万ドルだった。貿易収支は50億4000万ドルの黒字を記録した。国際原油価格が下落し輸入減少幅がさらに大きくなったと分析される」

韓国では、操業日数当りの輸出動向を分析するという具合に、輸出への関心がきわめて強い。日本に比べれば、「異常」と言うほどの入れ込みようである。輸出で生きている、という実感が強い国であるからだ。下線の通り、3月は、操業1日平均輸出額が前年同期比6.4%減少している。当然、4月が気になる動きである。

 

 

(3)「主要20品目のうち11品目の輸出が前年同期比で減少した。国別に見ると、最大の輸出市場である中国への輸出が5.8%減少した。中南米向け輸出も前年同期比25.8%減った。これに対し米国向けは17.3%、日本向けは13.9%、欧州連合(EU)向けは10.0%など輸出が増えた」

 

韓国の3月地域別輸出動向では、発展途上国向けが減少して先進国向けが増えている。これは、新型コロナウイルスの影響が、先進国にはまで出ていないことを示している。だが、4月以降になると、先進国もすべて新型コロナウイルスの影響を受けて、急減が予想される。予断を許さない状況となろう。

 



(4)「今月の輸出はさらに問題だ。新型コロナウイルスの衝撃がさらに悪化しているからだ。輸出実績を10日単位で区切ってみると、3月上旬の1日平均輸出額は前年同期比2.5%減、中旬は2.2%減だったが、下旬には15.0%の急減となった。4月に入ってから世界的な需要不振にともなう衝撃が本格化するだろうという危機感が広まっている。米国や欧州など主要輸出相手国で新型コロナウイルスが手の付けられないほど感染が拡大しているためだ」

 

3月を上中下の3旬に分けると、1日平均輸出額は次のような減少率(前年比)となった。

上旬  2.5%減、

中旬  2.2%減

下旬 15.0%減

下旬の落込みが急激である。これを見れば、4月が冒頭に挙げた15~20%減に止まらないだろう。20%以上の落込みと見るのが妥当であろう。

「(4月は)操業日数の側面でも不利だ。4月の操業日数は22日で、前年同月の24日より2日少ない。ベース効果を期待するのも難しい。昨年4月は輸出が前年同期比2.1%減少するのにとどまった。高麗(コリョ)大学経済学科のカン・ソンジン教授は、「3月だけでも新型コロナウイルスが本格化する以前という点で4月の実績ははるかに衝撃的だろう。輸出企業が最大限耐えられるよう現金支援拡大など『人工呼吸器』を付けなければならない」と助言した」

 

今年の4月は、操業日数で昨年4月よりも2日少ない。さらに、減少カーブが大きく右に傾いている以上、減少率は20%をはるかに上回るであろう。「輸出企業が最大限耐えられるよう現金支援拡大など『人工呼吸器』を付けなければ」という悲観的な意見も聞かれる。

ウォン相場の楽観は禁物である。