テイカカズラ
   


新型コロナウイルス対策では、まだ決め手になる特効薬がない。日本の「アビガン」は、軽症者の早期治療で、7割が7日間で健康を取り戻せるという。だが、感染者激増の段階に入った現在、「治療薬があるから」と言った軽い認識では、治療崩壊を起こしかねない危機を招くことが明白になってきた。

 

『大紀元』(4月3日付)は、「CDC、発症前13日間にウイルス伝播の可能性を警告」と題する記事を掲載した。

 

米疾病対策予防センター(CDC)の最新研究では、新型コロナウイルスに感染した患者について、発熱やせき、息切れなどの症状が現れる前の数日間に、ウイルスを伝播する可能性があると示された。

 

(1)「毎週、研究報告を公開しているCDC41日、同ウェブサイトで最新報告を発表した。同報告は、123日~326日までシンガポールで確認された感染者243人を対象に行った調査をまとめた内容だ。同調査では7つのクラスター(感染者集団)を確認した。また、243人のうち、157人はシンガポールの現地で感染したという。157人の中の少なくとも10人は、「発症前の伝染」によって感染した。研究報告は、「感染時期を確認できた4つのクラスターに関して、発症前の伝播者は、症状がみられる前の13日間に、ウイルスを同じクラスターの他の人に拡散させた」とした」

 

シンガポールでは、海外からの渡航者が持込むウイルス菌の遮断をしているが、最近再び増加に転じている。その理由は、このパラグラフで明快に説明されている。「243人のうち、157人はシンガポールの現地で感染した」ことだ。ウイルス菌が、いったん持込まれると、そこで「自然増殖」することが明確になっている。

 

(2)「CDCの研究者は報告において、「発症前の伝染の可能性から、感染者と直接接触した人々を追跡する際、感染者が症状が出る前に接触した人も含めて考慮しなければならない」と提案した。同時に、発症前の伝染は「COVID-19(新型コロナウイルス)のパンデミックを抑制する上で、人混みを避けるといった社会的な距離が重要な役割を果たしていることを再認識させられた」と強調した」

 

「発症前の伝染の可能性」が、シンガポールの感染者データ分析で明らかになった。それゆえ、ウイルス菌の自然増殖を防ぐには、人混みを避けることしか方法はなさそうだ。この原始的な方法が、最善の防疫対策とは21世紀の現在、嘆かわしいこと。だが、それしか方法がないというのも「新型コロナウイルス」の恐ろしさである。遺伝子配列が組み替えられている。科学者からこう指摘されている以上、最悪ケースが想定される。

 

(3)「CDCは、「症状の有無に関わらず、誰もがこのウイルスの病原体保有者である可能性がある」とし、「症状のある人だけが他人との接触を制限するのでは、パンデミックを阻止するのに不十分だ」と指摘した」

 

「症状の有無に関わらず、誰もがこのウイルスの病原体保有者である可能性がある」という指摘は、重苦しいが事実である。このままでは、経済活動は窒息してしまう。これを救うのは、血液による抗体検査の実現である。抗体検査を実施して、抗体あり=免疫ありという判断になれば、中国のように「健康証明書」保持で、経済活動が可能になろう。窮屈だが、そういうバリアーをつくって守るしか方法はあるまい。抗体検査の実現は、早くて夏以降である。それまでは、「厳戒体制」が続く。

 

日本の抗体検査への挑戦は、3月31日のブログで「日本、『夢のコロナ対策』抗体検査が脚光、横浜市大が患者血清から検出『今夏にも試薬』」と題する記事で取り上げた。その一部を再掲する。

 

『化学工業日報』(3月10日付)は、「横浜市立大、新型コロナウイルス抗体、患者血清から検出」と題する記事を掲載した。

 

(4)「横浜市立大学の梁明秀教授と竹内一郎教授らは3月9日、横浜市内で会見し、新型コロナウイルスの抗ウイルス抗体を検出する技術を開発したと発表した。ELISA法とイムノクロマト法を用いて、患者血清中からIgG抗体を検出する。感染既往歴が判定できるのも特徴。今後、市内の病院などと協力し、症例数を積み上げると同時に、関東化学と連携し、臨床現場で使える試薬キット化を目指す」

 

関東化学は、国内有数の試薬品メーカーである。横浜市大は、この関東化学と提携して、臨床現場で使える試薬キット化を目指すという。

 

(5)「梁教授が開発したコムギ無細胞たんぱく質合成システムを利用し、抗体検出に必要な抗原を作成できるようにしたのがポイント。中国が発表した新型コロナウイルスの遺伝子情報に基づき、バイオインフォマティクスの手法で同ウイルスに特徴的なたんぱく質を突き止めた。新型コロナウイルスの患者に由来する検体6例すべてで陽性を確認した。PCR検査などの方法と比べ、特別な装置もいらず、そのまま診療現場で使えるのが特徴だ。抗体の有無で判断するため、肺炎患者らを対象に新型コロナウイルスかどうかを迅速に診断できる。感染既往歴が分かることから、疫学調査での利用も見込む」

 

抗体検出は現在、一般化しているPCR検査に比べ特別の判別装置が要らず、診療現場で使えるという。防疫専門家が指摘する夢の判別法として、「リトマス試験紙」のようなものになるのだろうか。とすれば、革命的な検査法となる。感染既往歴が分かることから、疫学調査での利用も見込むという。

 

(6)「検出条件のさらなる最適化を図り、早ければ今年夏ごろにも研究用試薬として提供し、体外診断用薬として展開。併せて、関東化学とともに量産体制の構築も検討していく。今後の課題として、梁教授は「少ない抗体量でも検出できる精度向上が必要だ」と語った。竹内教授は、臨床医の立場から「どのタイミングで使うのが最適かといったマニュアルの作成が欠かせない」と指摘した」

 

早ければ今年夏ごろにも研究用試薬として提供する。体外診断用薬として幅広く展開すると言う。3月9日の記者会見は、横浜市役所で行なわれた。横浜市が全面的な支援体制を取るのであろう。