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韓国与党「共に民主党」は、15日の総選挙を前にした失業者の急増に危機感を強めている。与党は、これまで新型コロナウイルスの感染者数が減少に転じたことで、総選挙に有利と踏んでいた。だが、世論調査結果で有権者が最も重視するのは経済状況である。新型コロナウイルスは、二番目のテーマということが判明。肝心の経済は、失業者が1日平均6100名に及び、最悪事態へ向かっている。与党は大慌てである。いくら「反日」を煽っても、効果は薄れるばかりであろう。

 

『中央日報』(4月6日付)は、「総選挙に最も影響を与える懸案、民生経済43.1%、新型肺炎21.5%」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中央日報が世論調査会社エムブレイン・パブリックに依頼して3、4日両日間全国満18歳以上男女1000人を対象に「今回の総選挙で最も影響を及ぼす懸案」を質問し、次のような結果が出た。

    雇用など民生経済 43.1%

    新型コロナウイルス感染症 21.5%

    検察改革 12.7%

    災難支援金 4.6%

    外交 4.0%

    南北関係 3.1%

    比例代表用衛星政党 2.1%」

 

これを見ると、経済問題が1位である。日々の生活に影響する経済問題を解決できない政権を支持する国民はいない。経済問題が、総選挙の争点になることは、各国とも同じである。韓国与党は、「韓日戦」と称して、反日を前面に上げているが、外交は5位に止まっている。情勢判断を誤った。

 

肝心の経済問題では、失業問題が焦眉の急となっている。

 

『中央日報』(4月7日付)は、「韓国、1日の失業者6100人、毎日大企業1社分の雇用が消える」と題する記事を掲載した。

 

新型コロナウイルスが実体経済を襲い失業の高波が押し寄せてきた。1日6000人以上の労働者が失業している。毎日アモーレパシフィック(従業員6002人)やSKテレコム(従業員5377人)に相当する労働者がいなくなる計算だ。過去最悪の失業規模だ。それでもまだ最悪ではない。4~5月ごろ失業がピークに達するだろうという見通しだ。

 

(2)「雇用労働部が3月失業し失業給与を新たに申請した人を暫定集計した結果、19万1000人であることがわかった。これは前年同期より6万6000人増えた数値だ。実に53%増加した。2009年に関連統計の作成を始めてから増加人数と増加率とも過去最高値だ。これまでは最低賃金が16.4%急騰して雇用市場が直撃弾を受けた2018年1月に前年同期より3万7000人増加したのが最高値だった。当時より2倍近い規模で失業者が増えた」

3月の失業給付金を申請した人たちは、前年比53%増と過去最高になった。4~5月にはさらに増えそう。現在の失業者は1日当り6100人と計算されている。まさに、未曾有の「失業時代」が到来する。

 

これに驚いた韓国与党は、コロナ支援金を所得に関係なく、全国民へ支給すべきという大盤振る舞いを提案する事態となっている。

 

『中央日報』(4月6日付)は、「韓国与党代表『緊急災難支援金、所得関係なく全国民を保護すべき』」と題する記事を掲載した。

 

韓国政府が新型コロナ事態で明らかにした緊急災難支援金をめぐり、あいまいな基準が論争を呼んで不満世論が強まるため、与党からも給付対象を拡大すべきだという趣旨の見解が出ている。

(3)「与党・共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表は6日午前、釜山(プサン)の民主党釜山市党で開かれた民主党・共に市民党合同選挙対策委員会会議に出席し、冒頭発言を通じて「緊急災難対策では地域に関係なく、所得に関係なく、すべての国民を国家が保護していることを見せることが重要だ。総選挙が終わった後、すべての問題を党が綿密に検討し、国民全員を国家が保護しているという確信を持てるようにする」と述べた。政府は所得下位70%の世帯に緊急災難支援金を給付することにしたが、李代表は「すべての国民」に言及して給付対象を拡大すべきという趣旨の発言をしたと分析される

与党は、総選挙対策で国民全員に支援金を分配するように主張している。大盤振る舞いである。政府は、所得下位70%の世帯に支援金を給付することにしているが、これを上回るものだ。ただ、冒頭の総選挙に当り関心を持つテーマで、「災難支援金」は4位に過ぎない。これでは、与党の得票に結びつかないであろう。以上のような状況を見ると、与党には厳しい選挙情勢に見えるが、総選挙の結果はどうなるか。