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予定通りであれば、きょう4月8日に武漢市は封鎖解除される。だが、この封鎖解除は、疫学的見地で決められたものでない。政治的威信回復の目的で決められた「政治ショー」である。武漢市内では、感染者ゼロと認定されていた団地が、すでに70カ所も取り消されているという。感染者が続出しているためだ。

 

中国指導部は、いかにこの「コロナ事件」を政治的に利用するか、鮮明になっている。国内外の信頼失墜をもたらした新型コロナウイルス問題が、「早期回復」というレッテルに張り替えられれば、それで形勢が逆転するという発想である。韓国の文大統領も同じ手法である。自らの判断ミスが招いた感染者激増を、「手際の良い沈静化」という評価に変えさせているのだ。中韓政府は、国民の目を欺く戦略では、同じ手法である。

 

『大紀元』(4月7日付)は、「武漢市70カ所の団地の『感染者ゼロ』認定取り消し、無症状感染者の増加で」と題する記事を掲載した。

 

湖北省武漢市政府はこのほど、新型コロナウイルス感染症の無症状病原体保有者の増加で、「感染者ゼロ団地」と認定された市内70カ所の団地に対して認定を取り消した。武漢市で新型コロナウイルスが依然として猛威を振るっているとみられる。

 

(1)「中国官製メディア『新華網』46日付によると、武漢市が新たに認定した「感染者ゼロ団地」の数は3日前と比べて45カ所減少した。70カ所の団地は、無症状の感染者が確認されたため、「感染者ゼロ団地」の認定を取り消された。これらの団地は再び封鎖される可能性がある。市政府の規定では、「感染者ゼロ団地」と認定された集合住宅の住民は、各家庭で毎日1人だけが、通行証を持って、生活必需品を購入することができる。毎回の外出時間は2時間内」

 

中国における都市封鎖の実態が、明らかにされている。「感染者ゼロ団地」に認定されれば、各家庭で毎日1人だけが、生活必需品を購入することができる。毎回の外出時間は2時間内という「牢獄」生活だ。ここまで徹底しても、感染者が根絶できない現状を見ると、新型コロナウイルスの感染力の大きさが改めて浮き彫りになる。一方、検査キットの品質にも問題のあることを指摘できる。

 


中国のコロナ感染調査キットは、海外に送られたものから判明した検査能力が、きわめて劣っていることを暴露した。通常、80%の検知能力があれば「合格」とされているが、中国製は30%以下である。この結果、海外からは「不良品」として返品されている代物だ。ブラジル政府の閣僚は、「中国企業は金儲け主義」と猛批判して物議を醸している。検査キットの不良品をヤリ玉に上げたものであろう。中国のこういう杜撰な検査キットでは、「陽性者」が巷にウヨウヨしているはずだ。これでは、感染者が続出して当然であろう。

 

(2)「湖北省政府は324日、武漢市の封鎖措置を48日午前0時に解除すると発表した。しかし、43日、武漢市当局は各区政府に対して、これまでの外出・移動規制をさらに強化するよう要求した。中国当局や武漢市当局はこのほど、武漢市での新規感染者が「ゼロ」になったと発表しているが、SNS上では、武漢市民や医師らは新たな感染者について情報を発信している」

 

武漢市は4月8日、封鎖解除すると発表した。だが、皮肉なことに4月3日、これまでの外出・移動規制をさらに強化するよう要求した。このチグハグな動きを見ると、武漢市の封鎖解除は政治ショーであることが、ますます明らかになってくる。

 

(3)「中国メディア『中国新聞週刊』325日の報道は、武漢市にある華中科技大学公共衛生学院の鄔堂春(ウ ドウシュン)教授が率いる研究チームの研究論文を引用した。論文は医学分野の国際プレプリントサービス『medRxiv』に掲載された。これによると、武漢市の感染者の56%の人は、無症状、または軽症であるために「気づかれなかった」という。国内外世論の批判を受けて、中国当局は41日から無症状病原体保有者の人数を公表した」

 

華中科技大学公共衛生学院の研究論文では、武漢市の感染者56%は、無症状、または軽症であるために「気づかれなかった」という。これは、前述の通り検査キットの精度が著しく落ちる「調査ミス」によるものだろう。「武漢市の感染者56%は、無症状、または軽症」という指摘は、責任逃れの「ウソ発表」と断じるほかない。無症状者が余りにも多すぎるからだ。中国の医療レベルの一端を物語っている。

 

(4)「武漢市のネットユーザーの間では、最近、上海市医療支援チームから得た情報を相次いで転載している。支援チームの医師は、武漢市の現在の感染状況は都市封鎖措置を実施し始めた当時よりも深刻で、「病院で毎日、新しい感染者が確認されている」「(外出時)地下鉄やバスなどを利用しないで」と警告したという」

 

武漢市における感染状況は現在、都市封鎖措置を実施し始めた当時よりも深刻とされている。この状態で、中国政府は封鎖解除するというのだ。ため息が出るほど杜撰な防疫体制である。中国が、このまま武漢市の封鎖解除をすれば、中国全土は、「感染第二波」に巻き込まれであろう。