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けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

逆走する韓国の働き方改革

失業者増加は不可避の時代

反日煽動で失う潜在成長力

日本へ来る韓国余剰労働力

 

韓国は、文在寅政権が発足以来、就業構造が崩壊した。自営業が、韓国経済の末端を支え、雇用の場を提供してきた。サラリーマンは、定年や中途の退職後に「自分の店を持つ」のが夢だった。その理想郷が、最低賃金の大幅引上げと週52時間労働制で存在不可能になった。

 

自営業には、過去2年間で約29%もの最低賃金大幅引上げに耐えられる収益力がなかった。また、週52時間労働制は、残業時間も含むもので、支払い賃金総額は大きく膨れあがった。こうして、先ず自営業から労働者の解雇が始まり、この波は中小企業にまで広がっている。韓国は、「失業半島」に変わったのだ。

 

逆走する韓国の働き方改革

もちろん、最低賃金引上げ、労働時間短縮は「働き改革」で実現すべきテーマである。だが、短兵急な実現は弊害を伴うもの。賃金支払い側が、それに見合う体制を整えられない段階で、罰則を伴う実現を迫ったからである。最低賃金引上げと労働時間短縮には、企業の諸規制を撤廃し、労働市場の流動化という環境整備が前提になる。

 

文政権は、反企業主義の立場である。資本家は労働者を搾取するという、「マルクス主義」の見方である。労働者の敵である資本家が苦しむのは、当然の報いという認識である。これでは、生産性引上げなど不可能であり、文政権になって失業者が増える結果となった。だが、これを隠すために、公費による短時間アルバイトを大量に雇って、失業者増加をカムフラージュしてきた。やることが全て、正統派経済政策からかけ離れていたのである。

 

過去、3年に及ぶ文政権の経済政策は、企業を圧迫するものばかりだ。これが、大企業を中心に海外転出へ拍車をかける結果となり、産業空洞化を引き起こしている。ここへ降って湧いたのが、新型コロナウイルス禍である。文政権が当初、感染終息に向けた楽観論を流したことが仇となり、爆発的な感染者急増をもたらした。感染者累積数は、1万人を超えている。文政権は、意図せざる結果とは言え、韓国経済を徹底的に脆弱化させる方向へリードしてしまった。

 


この損失のリカバリーは、もはや不可能であろう。もともと、国民の半分は改革に反対の層である。労働者の利益だけに固執する進歩派政党支持の党派性が、国民全体の利益増進理念を排除する欠陥をもたらした。その根底には、「資本家は敵」という前世紀の遺物が牢固として根付いている。ここからの脱却は、不可能と言えるほど強固だ。仮に、保守派が政権へ復帰しても、改革は不徹底にならざるを得まい。韓国経済は、衰退局面から脱し得ないままに、後退過程を辿るほかないと見る。

 

安定的な雇用の受け皿は、製造業の発展に依存する。その製造業の好不況を端的に示す指標として、PMI(購買担当者景気指数)がある。これは、50以上であれば「好況」、50以下であれば「不況」と解釈されている。韓国製造業PMIの推移を見たい。

 

2020年3月 44.

     2月 48.

     1月 49.

 19年12月 50.1★

    11月 49.

    10月 48.

     9月 48.

     8月 49.

     7月 47.

     6月 47.

     5月 48.

     4月 50.2★

     3月 48.

     2月 47.

     1月 48.

 18年12月 49.

    11月 48.

    10月 51.0★

     9月 51.3★

     8月 49.

     7月 48.

     6月 49.

     5月 48.

     4月 48.

     3月 49.

     2月 50.3★

     1月 50.7★

(出所:韓国 日経製造業購買担当者景気指数、★は50以上を示す)

 

前記の数値で★は、50以上を示すが数えるほどしかない。それだけ、韓国製造業の景況が悪化している証拠である。雇用削減が、進んでいることを示唆するのだ。OECD(経済開発協力機構)において2008~18年の間に、韓国の青年(15~29歳)失業者は28.3%増加したが、OECD平均では13.9%減少したという結果が出ている。これは、韓国製造業の景況感が悪化している結果である。(つづく)