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中国は、コロナ発症の地である。世界に向かって無傷を装う必要がある。そこで編み出されたのが「国産品奨励」である。外国品を買えば売国奴のレッテル張り。愛国精神を込めた国産品奨励という苦し紛れの話である。中国経済の置かれた立場の苦しさを、適格に伝えるニュースである。

 

『中央日報』(5月17日付)は、「外国製品使えば売国奴、中国に吹く『愛国消費』熱風」と題する記事を掲載した。


5月10日に中国中央テレビ(CCTV)ニュースオンライン生放送に看板アンカーの朱広権が登場した。「まだ外国製品を使っていますか? 国産品もいまは良くなりました。国産品使用で愛国しましょう」と発言。これは、確実にWTO(世界貿易機関)違反だ。「非関税障壁」に該当するはず。WTO違反の常連国である中国のやりそうなキャンペーンだ。

(1)「新型コロナの衝撃は中国も大きかった。1-3月期の経済成長率はマイナスだ。半世紀ぶりのことだ。それでも輸出は回復が見込めない。世界が感染症防疫でそれどころではないからだ。それでも期待できるのは内需と考えているようだ。最近中国で活発なのが新国産品を意味する「新国貨」「新国品」の購入運動であるためだ。国産品復興で低迷した景気を回復させようということだ。外国製品を使えば売国奴扱いされる雰囲気だ

 

国産品奨励運動は、裏返せば外国製品購入者を売国奴扱いする危険なシグナルである。何が、グローバル主義の保護国であるか。散々、自由貿易擁護を宣伝していた習近平氏が、ついにこの体たらくである。背に腹はかえられないのだ。

 

(2)「政府があおって有名電子商取引企業などが呼応する様相だ。中国国務院は2017年から5月10日を「中国ブランドの日」に定め、政府次元の国産品購入奨励運動をしている。今年もCCTVと人民日報など国営メディアが先を争って国産品購入運動を先導する。朱広権と李佳琦のコンビは先月6日にも新型コロナウイルス被害が最も大きい湖北省の商品販売番組を行った」

 

国営メディアは、コロナ被害が甚大であった湖北省(武漢が省都)の商品販売を宣伝しているという。


(3)「特に若い世代に(は政府の愛国消費運動が)しっかり通じる。中国製品選好傾向は20代が独歩的であるためだ。中国科学技術専門メディアのカンチャイドットコムは「1995~2004年生まれのZ世代は中国文化に対する高い自負心を持っている。最近の国産品消費に大きな力になっている」と評価した。中国の若い世代の国産品消費傾向が始まってから少し過ぎた。中国市場調査機関のアイメディアリサーチが昨年実施したアンケート調査によると、「90後」(90年代生まれ)は国産ブランド製品消費の35.64%を占めた。国産品購入の主力軍が彼らの世代ということだ」

 

習近平氏が、国家主席になった時期と成長期の重なる世代ほど、中国文化に対する高い自負心を持っているという。こういう世代に向けた愛国消費奨励と外国品消費(売国奴)排除という宣伝がストレートに効いているという。

 


(4)「愛国主義消費は年齢が若いほど強まっている。90後よりZ世代が強いという話だ。Z世代とは「95後」と「00後」だ。Tモールによると昨年Tモールで95後は中国の醤油ブランドの海天醤油を58万人が購入した。最近の新国産品販売運動でも彼らの活躍が光を放っている。
しかもZ世代は中国が大国の地位を確保した世界で育った。中国の成長過程を見守ってきたそれまでの世代とは違う。しかも2013年から習近平時代に強化された愛国主義教育をまともに受けた初めての世代だ。新型コロナウイルス以降中国政府の愛国主義強化基調に同調する確率が高い

 

愛国主義消費とは、切羽詰まった中国経済の状況を100%示している。ここまでやらなければ、景気が持たないという深刻な状況へ追い込まれているのだ。2013年から習近平時代に強化された愛国主義教育をまともに受けた初めての世代は、銃を取れと命令されれば、戦場に赴くのだろう。恐ろしい軍国主義と表裏一体である。危険なことだ。

 

(5)「愛国心にだけ頼るのでもない。中国ブランドの品質競争力もある程度上がってきた。KOTRA瀋陽貿易館は昨年の報告書で「90年代以降生まれの世代が消費市場の主流として登場し、コストパフォーマンスを重要視する消費パターンが明確になっている。『適正価格+優秀な商品(平價優品)』を主張するローカルブランドが若者の心をとらえている」と分析した」

中国製品も次第に品質が上がってきている。外国製品のとの質的差が縮まれば、中国品の価格差がプラスとなって、国産品消費の上昇のきっかけになろう。それにしても、個人消費の対GDP比は40%前後である。この低い実態を隠すために、ただ「消費」と言って民間+政府の消費を合算して「約60%」と粉飾をしている。愚かなウソを重ねている国なのだ。