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5月13日、中国の習近平国家主席から韓国文大統領に電話がかかってきた。その後に発表された中韓両国の内容には、かなりの食い違いがあった。韓国は、習氏の年内訪韓を強調。中国は、習氏の指導によるコロナ克服を文氏が賞賛した、となっている。中韓それぞれが、自国に都合のいいことを発表した形だ。

 

ここから浮かび上がってくる姿は、中国の焦りである。習氏は、活発な「電話外交」を繰り広げて、習氏のリーダーシップの下にコロナ禍を乗り越えたという演出に余念がない。多分に、6月に開催される全人代を意識したものであろう。

 

習氏は、韓国に掛けた電話を安倍首相に掛けていない。日米関係が緊密であることから「電話外交」しても成果を上げられないと見ているのだ。その点で、韓国は米中間でフラフラしているので、クギを刺そうという算段に相違ない。韓国は、中国から甘く見られているのだ。

 

『中央日報』(5月15日付)は、「韓国は習近平主席の訪韓に精魂を込めているが『中国は外そう』本格的に圧迫する米国」と題する記事を掲載した。

 

新型コロナウイルス時代に米中間葛藤が本格化し、韓国の前には解決すべき歴代級高次方程式が置かれた。文在寅(ムン・ジェイン)政府発足以降、ただでさえ米中間で厳しい駆け引きをしてきた韓国としては苦悩が深まりつつある。韓国と中国は新型コロナウイルス感染症(新型肺炎)を輪にして密着した動きを見せている。13日、文在寅大統領と習近平中国国家主席は電話会談を行った。



(1)「会談で両首脳は5月1日始めた「韓中国ファストトラック(迅速通路)」の開設に重きを置いた。青瓦台は「両首脳が両国の迅速通路制度を新設したのは協力の模範事例ということで意見を一致した」とし、中国外交部も「ファストトラックが地域のサプライチェーンおよび物流チェーンの疎通のために必要」と紹介した。
ファストトラック制度は両国企業家に限り、14日間の義務隔離措置の緩和など例外入国手続きを適用することをいう。韓国外交部はファストトラックの新設を両国の新型肺炎協力の象徴としている。2016年高高度ミサイル防御体系(THAAD)問題で冷え込んだ両国関係を新型肺炎の協力で解決するということだ」

 

表向きは、中韓両国が協力しようという、薬にも毒にもならない上っ面をなでるような内容だ。ただ、さりげなく中韓関係を「模範事例」にしたいとしている。中国は、これで韓国を引留めたと見ているのだろう。韓国は、中国と手を切って逃げられませんよ、という思いが込められている。

 

(2)「画竜点睛」とされるのは習主席の年内韓国訪問だ。青瓦台(チョンワデ、大統領府)は習主席の要請で行われた今回の会談で「習主席が年内訪韓への固い意志は変わらない」と言及した事実を公開した。(中国外交部は発表文で「年内訪韓」に言及せず「韓中関係をより高い水準に引き上げるために戦略的なコミュニケーションを強化したい」という習主席の発言)である」

 

韓国は、習氏の年内訪韓意思は変わらないと発表した。中国は、中韓での戦略的コミュニケーション強化を強調している。ここで、両国の思惑が食い違っている。

(3)「米国が中国を追い詰めるのは、11月大統領選挙を控えてドナルド・トランプ米大統領が直接出て中国の新型肺炎事態に対する責任論を連日強調したことに続き、中国との関係断絶も口にしている。トランプ大統領は14日(現地時間)、フォックス・ビジネスニュースとのインタビューで「中国とすべての関係を切ることもあり得る」という発言を行った。同時に「中国との関係を切る場合、5000億ドル(約53兆円)を節約できるだろう」と話した。前日、「私がかつてから言ってきたように、中国を扱うのは費用がかかる。(米中)貿易合意にインクが乾く前に中国から始まった感染事態に世界がたたかれた」として中国を名指して批判したことに続き、この日は新型肺炎事態以降中国に対する最も厳しい発言を行ったわけだ」

 

米国は、明らかに中国を追い詰める強い姿勢を見せている。米中間の経済関係断絶まで口にし始めているのだ。こういう米国の対中強硬姿勢が、韓国に及ぼす影響を計算に入れなければならない状況である。ここで、韓国は間違った判断をすると、取り返しのつかないことになる。



(4)「トランプ大統領は発言は突然の暴言にとどまったわけではない。韓国は新型肺炎を契機にこれまで閉ざされていた中国のかんぬきを外すという構想だが、米国は正反対に中国遮断の決意を固めている。具体的に中国を除いた「友軍グループ」を強化しようとする動きに出た。
代表的に米国は現在、中国の排除に徹底して新しい世界市場の秩序を構築しようとする「大きい絵」を構想している。このような試みはすでに3月から感知された。米国はその間「世界の工場」の役割を果たしてきた中国とからまった各種産業のサプライチェーンを修正しようと試みている」

 

米国は、米中デカップリング論を具体的に行動へ移している。中国を除いた「友軍グループ」の強化である。ここで、韓国は戸惑っているのだ。米国の友軍グループに入れば、中国との関係が疎遠になることを恐れている。この米中いずれを選ぶかという問題は、韓国の命運を決める「サイコロ」である。

 

韓国国民の心情は、世論調査によれば8割が「親米」である。朝鮮戦争で、米国は韓国を共産軍から防衛してくれた同盟軍である。その米国へ親しみを感じるのは当然だ。中国は、北朝鮮と共に侵略軍である。

 

こういう原点に立ち返れば韓国が、米国の「友軍」であることを再確認すべきだろう。ここで、間違ったサイコロを振れば韓国は自滅する。米中、どちらが今後の世界史のリーダーにふさわしいか。そういう原点から将来を見通せば、答えは自ずと出てくるはず。韓国の対中輸出比率が、25%で1位というのはなんらの選択基準にならないのだ。