a0960_008532_m
   

米国トランプ大統領は18日夜、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長に書簡を送った。書簡の中で、トランプ氏は30日間の期限を設け、その間にWHOに「本質的な改善」がみられなければ、何百万人もの命を危険にさらすことになり、アメリカは脱退すると書いている。トランプ氏はこの日、WHOは「中国の操り人形だ」と持論を展開。中国が新型ウイルスのアウトブレイク(感染症)を隠そうとし、WHOも中国の隠ぺいを支援したと非難した。

 

中国は、トランプ氏のこうした非難に繰り返し反論し、自分たちは新型コロナウイルスと感染症「COVID-19」について情報を、「オープンに、透明に、責任ある形で、適切なタイミングで出してきた」と主張している。

 

中国は、果たして「オープンに、透明に、責任ある形で、適切なタイミングで出してきた」だろうか。この主張を覆す報道が表れて来た。

 

『大紀元』(5月19日付)は、「中国本土感染者が64万人以上、軍関連ウェブマップが示唆」と題する記事を掲載した。

 

米誌『フォーリン・ポリシー』によると、中国軍が関わるデータベースでは、中国国内の中共ウイルス(新型コロナウイルス)の感染者が64万人以上いると示された。

 

米誌『フォーリン・ポリシー』(5月13日付)は、中国当局が内部参考に使うとみられるデータベースを取り上げた。情報筋によれば、中国湖南省長沙市にある国防科技大学がこのデータベースを作成した。同大学は中国共産党中央軍事委員会の管轄下にある。データベースは「戦疫復工大数据(感染症と戦い、生産の再開に関するビックデータ)」と呼ばれるウェブ・マップ・サービス・サイトにまとめ、インターネット上で公開されていた。

 

(1)「報道によると、同サイトは公開されていたが、それほど知られていない。データベースには、少なくとも中国の230都市に関する64万件以上の感染者情報が入っている。1件のデータには、感染が発生した場所の経度や緯度、感染確認件数、日付などが表示されている。日付は2月初めから4月下旬までとなっている」

 

 

中国軍のデータベースには、少なくとも中国の230都市に関する64万件以上の感染者情報が入っている。これは、感染者総数が少なくも64万人以上あることを示している。公表の感染者数は、約8万3000人弱である。実態の13%しか公表していないのだ。これで、「オープンに、透明に、責任ある形で、適切なタイミングで出してきた」とは、真っ赤なウソは明らかである。こういう噓八百を平気で言いふらす中国とは、底なしの粉飾国家と言うほかない。

 


(2)「台湾メディア『上報』5月15日付は、同サイトにアクセスし、感染データを表示する各地のマップをクリックし検証した。多くの都市のマップには、同地域の各団地における感染者数、感染疑いのある住民の人数、死亡者数、無症状感染者の数などが細かく表示された。ただ、一部の地域のマップには、「感染が発生したことがある」だけが提示され、具体的な情報がなかった。マップの左下側にはこのデータベースを開発した研究チームの名前が示され、マップは各省・市の衛生健康委員会、騰訊(テンセント)などのデータに基づいて作成されたという。データは正確なものではない可能性があり、「正しく理解してデータを使用するよう」との注意書きもあった。同サイトには現在アクセスできない」

 

正確なデータでないと断り書がついているが、事実を反することが記録されているはずはない。政府発表の感染者数8万3000人よりは、真実に近いデータである。感染者数、感染疑いのある住民の人数、死亡者数、無症状感染者の数などが細かく表示されていることが、それを証明している。

 

(3)「英紙『メール・オン・サンデー』は3月末、同国の科学者は中国の感染者数について、中国当局の公表の「15~40倍」にのぼる可能性が高いと英政府に警告したことを報道した」

 

英紙『メール・オン・サンデー』は、感染者数について公表の15~40倍と推測していた。実際は、公表の8倍弱である。それにしても、これほど事態を隠蔽した罪は重い。パンダミックを招くのは当然である。トランプ氏が、冒頭で指摘したWHOに当てた書簡では、次のような点を指摘している。

 

英放送『BBC』(5月18日付)は、「トランプ大統領、WHOに最後通告、新型ウイルス対応を批判」と題して次のように伝えた。


トランプ氏は書簡で、WHOは中国からの「独立性が危険なほど欠けている」と批判した。また、武漢で新型ウイルスが12月上旬かそれ以前から広がっていたという「信頼できる報告書」と呼ばれるものを、WHOは「一貫して無視していた」と指摘した。このほか、トランプ氏は次のようにWHOを批判した。

 

1)WHOが中国の習近平国家主席からの圧力で緊急事態宣言を遅らせたと、複数の都市が報告している。

2)中国の検閲や国際協力の欠如に関する報告がある中、WHOは中国の「透明性」を評価した。

3)中国国内で起きたとされている新型ウイルス関連の人種差別についてコメントを出さなかった。

4)SARS(重症急性呼吸器症候群)流行の際にWHO事務局長を務めていたグロ・ハーレム・ブルントラント氏のように、テドロス事務局長が動いていれば、「多くの命」が助かったはずだ。

5)総括としてトランプ氏は、テドロス氏とWHOが「繰り返し間違った判断した」せいで「世界中に大きな負担がかかった」としている。

6)その上でWHOに対し、30日以内に「大きな本質的改善」をするよう求めた。ただし、改善の詳細については明確にしていない。

7)変化が見られなかった場合は、アメリカは一時的に停止しているWHOへの資金拠出を恒久的に止め、「加盟について再考」するとしている。

 

以上の7点の米国の要求に対してWHOは、どう回答するのか。中国の「ウソ発表」を認めるような回答すれば、米国はWHOを脱退しかねないのだ。