あじさいのたまご
   

元慰安婦怒りの一石が波紋

新国会議員が疑惑の焦点へ

1人で牽引の支援活動騒動

慰安婦否定の理性派復活も

 

韓国は現在、一人の元慰安婦が、慰安婦支援団体の「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(「正義記憶連帯」)の前リーダー(先の総選挙で国会議員に当選)を告発する記者会見により大揺れである。その後、事態は急進展し市民団体の告発を受け、韓国検察は20日、家宅捜索に入った。ついに、事件化したのだ。

 

毎週水曜日、在韓国日本大使館前で開催している抗議集会で集められる募金が、元慰安婦の支援にほとんど使われていないと暴露したからだ。小学生まで動員される水曜日の抗議集会は、「国民行事」になった感すら与えてきた。その際、小学生は小遣いを貯めて募金に応じたのである。その浄財が、元慰安婦の下に届けられず、流用されてきたという告発である。誰でも聞けば、腰を抜かす話である。

 

元慰安婦怒りの一石が波紋

元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(92)は、5月7日に大邱(テグ)市内のカフェで記者会見を行い、慰安婦関連団体の運営がまともにされていないとした上で、「水曜集会をなくさなければならない」との考えを明らかにした。以下は、『中央日本』(5月7日付)の報道を要約した。

1)李さんは、水曜集会への義援金などを通じて調達された財源が被害者のために使われず、寄付金使用の透明性に対する疑問を提起した。

2)李さんは、参加した学生たちが出した義援金はどこに使うかも不明である。義援金や基金などが集まれば、被害者に使うべきなのに被害者に使ったことはない。
3)李さんは、来週から水曜集会に参加しない。集会は学生たちに苦労させ、わずかばかりの金を使わせ、まともな教育にもならない。
4)関連団体で出版した慰安婦の事例をまとめた本は、内容検証がしっかりされないまま出され販売されている。
5)第21代国会議員総選挙で「共に市民党」から比例代表で当選した尹美香(ユン・ミヒャン)前「正義記憶連帯」代表に対して、尹氏が慰安婦問題を解決しなければならない。尹氏は国会議員をしてはならない。この問題を(運動の現場で)解決しなければならない。
6)李さんは、これ以上どんな団体とも一緒に運動をやらない。水曜集会にも参加しないだろう、と繰り返し明らかにした。

 

92歳という高齢の元慰安婦が、水曜集会の実態を暴露し、水曜集会を主催した尹美香氏の国会議員進出を批判した記者会見が、韓国の進歩派を窮地に追い込んだ。ただ当初の反応では、与党「共に民主党」が尹氏を擁護し、「事態究明派」を親日派のあがきとして切り捨て、歯牙にも掛けない態度であった。

 

だが、その後に広がり始めた疑惑は、募金が私利私欲のために使われていたことが判明した。具体的な内容は、次のようなものだ。

 

1)元慰安婦の人たちのリクレーション施設目的に、時価の2~3倍で施設を購入した。

2)その施設は誰も、その存在を知らず、リクレーション施設として使用されなかった。

3)管理人名義で、尹氏の実父が住み給料まで支払われた。

4)先の記者会見で告発されると、翌日、時価の半額で売却した。

 

事態がここまで急展開し、同じ市民団体から刑事告訴された。さすがの検察庁も、大統領府の顔色を見ることなく受理、5月20日には捜査が始まる慌ただしさである。元慰安婦支援にまつわる募金流用問題はこれに限らず、他の団体でも内部告発され明らかになった。

 

日本でも、その名前が知られている「ナヌムの家」は、元慰安婦女性たち6人が生活している場である。この「ナヌムの家」を運営している社会福祉法人「大韓仏教曹渓宗ナヌムの家」が、職員によって告発されている。元慰安婦に使われるべき後援金が、流用されてきたのだ。ナヌムの家」で暮らしている元慰安婦に、まともな治療も受けさせず放置してきたという。しかも、元慰安婦が存命中に大型募金を行い、「ホテル式療養院」を経営する目的まで話合われていたという。元慰安婦を食い物にする「謀略」である。

 

こういう二つの事例は、元慰安婦問題がビジネスの種にされてきた忌まわしい事実を示している。韓国社会が、これに気付かずにいたことにも愕然とするのだ。

 

新国会議員が疑惑の焦点へ

韓国は、慰安婦問題が人権侵害の最大事例として、日本を糾弾し続けている。日本政府が2015年12月、日韓慰安婦合意に基づき10億円を拠出し、慰安婦問題は永遠に不可逆的な解決とした。だが、2017年の文政権の登場は、元慰安婦の同意を得ていないという理由で一方的に破棄した。その際、破棄に一役買ったのが、前記の尹美香氏である。日韓合意前、韓国外交部は尹氏に交渉内容を伝えていたとされる。尹氏は、知っていたのだ。

(つづく)