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中国は、国内市場を外資に開放すると言いながら、政府調達では外資系製品を入札から外す動きに出ている。2018年後半からだという。米中貿易戦争が始まると同時に開始した、国内市場保護策である。これは、WTO(世界貿易機関)のルール違反である。中国にとって、ルールは破るためにあるようなもの。この無法国は、恐れを知らない振る舞いを行なっている。

 

『日本経済新聞 電子版』(5月21日付)は、「中国、IT国産化推進へ『秘密組織』」と題する記事を掲載した。

 

中国がパソコンや印刷機、複写機などIT(情報技術)機器の政府調達で、外資企業の製品を少しずつ締め出している。取材を進めると、IT国産化に向けて産官学が集まった「秘密組織」の存在が浮かんできた。「おかしい。絶対に何か起きている」。多くの日本企業が異変を感じたのは昨年夏のことだった。上海市などの印刷機の政府調達で落札できない例が増えた。複写機やパソコンも日本や米国の企業の落札が難しくなっていた。

 

(1)「ある日本企業は長年取引があった大手国有企業から「御社の複写機を買うことはできない」と告げられ、理由として「(情報を抜き取る)『バックドア(裏口)』がついているのではないか」と指摘された。「安全面は絶対に大丈夫だ」と説明しても取りあってくれなかった。複数のメーカー関係者は「外資排除のカギは『安可』だ」と明かす。正式名称は「安全可靠(かこう)工作委員会」。政府系組織「中国電子工業技術標準化協会」の傘下にひっそりと存在する、産官学でつくる会議体だ

 

下線のような外資系製品排除の政府系組織が作られている。略称は「安可」である。

 

(2)「2016年の設立当初の団体規約によると、安可は「安全で信頼できるハード、ソフトのコア技術の研究、応用をする非営利の社会組織」。運営費は「会費、利息収入、政府支援など」と記し、税金が投入されていることが分かる。理事会員はアリババ集団系や華為技術(ファーウェイ)系を含む企業、工業情報化省の研究所など政府機関、さらに北京航空航天大学と北京理工大学という産官学が名を連ねる」

 

安可は、民間企業の組織だが、税金がつぎ込まれている。実態は、産官学の合同組織である。

 


(3)「『安可』という名前を外国人が知っていてはいけない」。安可の職員は接触した外国人にこう告げる。外資の警戒を招きやすい「安可」に替え、最近は「信創」という前向きな響きの名前を使うことが多いようだ。複数の関係者によると、安可は会員企業の商品を集めた「安可(信創)目録」の案をつくり、工業情報化省が審査する。地方政府などは目録から調達商品を選ぶ。メーカー関係者が記者に見せた目録には、印刷機、複写機、ウイルス対策ソフトなど商品ごとに企業名や型番、価格まで書いてあった。基本はすべて安可の会員企業の商品だ」

 

安可は、会員企業の商品を集めた「安可(信創)目録」の案をつくり、工業情報化省が審査する。地方政府などは、目録から調達商品を選ぶシステムである。WTOは、こういう非公開の入札システムを禁止しているが、中国政府は型破りにお構いなしである。こういう国を、国際組織に加盟させてはいけないのだ。

 

(4)「購入目録に載るには5つの条件を満たす必要があるとされる。「非外資」「中国で生産」「中国で設計・デザイン」「自社で製品機能を試験できる」「アフターサービスができる」。5条件はさらに細かな点検項目がある。「非外資」ならば外資比率20%以下、社長もその配偶者も中国籍、中国での3年以上の販売実績など。点検項目は全部で100を超し、外資企業の商品はまず採用されない」

 

購入リストに載る条件は5つ。

非外資

中国で生産

中国で設計・デザイン

自社で製品機能を試験できる

アフターサービスができる

 

前記の5項目は、純然たる中国国産を要求していることが分かる。中国が、ここまでWTO違反をやっているのだから、いっそのことWTOから排除すればよい。そうすれば、目を覚ますであろう。

 

(5)「これらの条件は工業情報化省の担当者が口頭で伝え、紙は渡さない。目録の登録審査では工業情報化省の担当者34人が企業を訪れ、工場などに2週間ほど滞在して調べるとされる。口頭で質問し、口頭で答えるやり取りを100項目にわたって続けるという。検査機器の領収書まで調べる念の入れようだ。外資排除は18年後半から始まったようだ。ちょうど米中の貿易戦争が起きた頃で、習近平(シー・ジンピン)国家主席は18年9月に「自力更生」を国民に呼びかけた。建国の父、毛沢東が唱えた言葉で、外国に頼らず自力で困難な状況を切り開くとの意味だ。政府の情報機器を国産化する動きと符合する」

 

中国は、秘密裏にやっている積もりだが裏が割れている。こういう違法行為が、制裁も受けずに長期に続くはずがない。必ず、懲罰を受けるであろう。

 

(6)「中国の業界試算では政府や共産党のすべての情報機器やソフトの更新需要は総額2兆元(約30兆円)。一部の日本企業は安可会員の中国企業にOEM(相手先ブランドによる生産)供給し、規制を乗り切る方針のようだ。当面は問題がなくても、規制の過渡期が終われば、最終的にはOEMも含めて外資が排除されかねない」

 

中国の業界試算では政府や共産党のすべての情報機器やソフトの更新需要は、総額約30兆円に及ぶという。これを、外資に渡さないという意図である。

 

(7)「在中国の米企業でつくる中国米国商会は、4月末の年次白書で「中国は暗示的、未公開もしくは内部指針を使い、米国など外国製品の代わりに国産製品を利用するよう要求するのをやめるべきだ」と批判した。中国は外資企業の投資を保護する「外商投資法」を20年1月に施行したばかり。同法16条は「外資企業が公平な競争を通じて政府調達に参加することを保障」と明記し、安可の動きは同法違反が疑われる。北京の日本大使館は法律を所管する中国商務省に水面下で懸念を伝えたが、回答は「安全保障の問題なのでどうしようもない」だった」

 

下線部は、外商投資法違反である。20年1月に施行したばかりの法律違反を堂々と行なっている。中国政府を信じろと言われても信じられないのだ。こういう「噓八百」を繰返している理由は何か。いつの日か、自由主義諸国を屈服させるという政治的意図に外ならない。ここまで、その意図が見通せる以上、「先制攻撃」で経済的な包囲網を徹底化させて、中国が根をあげるまで縛り上げること。容赦はしないことだ。相手が悪意を持っている以上、妥協は禁物である。