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これほど皮肉な話はあるだろうか。聖人君子ぶって元慰安婦の人たちを支援する名目で始めた市民団体リーダーが、裏では自腹を肥やす違法行為を繰返していた疑いで検察のメスが入った。具体的な容疑は、集めた寄付金や政府からの補助金でマンションを買ったり、娘を米国の大学UCLAへ留学させていたことだ。寄付金を受ける銀行口座名は、市民団体のリーダー個人名で、家計と一緒にする呆れた「丼勘定」であった。横領は、日常的に行なわれていたのだろう。

 

このリーダーは、文政権と組んで日韓慰安婦合意を破棄させる主役であったことも判明。文大統領は、とんだ人物に唆されたことになる。韓国のお涙頂戴の「感情社会」が、今回の一件で浮き彫りになっている。

 

『日本経済新聞 電子版』(5月22日付)は、「元慰安婦女性が斬り込んだ韓国社会のサンクチュアリ」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙の峯岸博編集委員である。

 

社会・政治改革を掲げて反保守政権の大衆デモを先導し、革新系大統領誕生後は巨大な利益集団に姿を変える――。革新政権下の韓国で日本と大きく異なる1つが市民団体の政治力だ。支援団体に絶縁状を突きつけた元慰安婦女性の訴えは韓国社会の「サンクチュアリ(聖域)」に一石を投じた。30年の歴史を持つ元慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)に20日、捜査のメスが入った。

 

(1)「市民団体のカネの流れが不透明なのは、「強すぎる」といわれる政治への発言力の大きさにも原因があるとみられる。韓国で市民団体の数は2万を超えるといわれる。軍事独裁から民主化への移行を機に人権、労働、社会・福祉など様々な分野の社会運動が組織化された。ときに全国規模の反政府運動を率いて「第4の権力」の異名を持つ」

 

市民団体が、「第4の権力」となっていることに韓国の特殊性が窺える。ポピュリズム政治に陥る原点である。こういう書き方をすると、市民団体を敵視するイメージだが、その実態は決して褒められるべきものでない。原発反対も、福島原発事故をねつ造し国民に恐怖感を持たせて、太陽光発電に誘導した。その際の補助金が、市民団体に流れている。韓国では、市民団体が既得権益集団に成り下がっている。これが、問題点なのだ。

 

(2)「特定地域で特定分野の活動を中心とする日本の市民団体とは様相が異なる。2016年秋から17年春にかけて毎週土曜日に繰り広げられた朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)の退陣要求デモでは約1500団体が結集し、企画・立案から、ろうそく、プラカードなどの備品づくりや当日の舞台設営、進行まで一手に担った。メディアを巻きこみながら「民心」といわれる世論の大きなうねりをつくり上げて政治を動かすプロ活動家集団である」

 

韓国の市民団体は、プロの活動家集団である。これで、生活している人たちである。この集団の代表が、韓国大統領府に入り込んでおり、仲間を政府の公益機関の役員に就職させて社会問題になった。

 

(3)「大規模な運動を支えるのが潤沢な資金だ。政府機関から補助金を受けている団体が多く、「官製団体」と皮肉られる。「被害者中心主義」を政治信条に掲げる文在寅(ムン・ジェイン)大統領誕生後は革新系の市民団体が権勢を振るっている。同じ革新系大統領でも金大中氏が自らの側近を政治家で固めたのに対し、文政権は元市民活動家の重用が際だつ。青瓦台(大統領府)には市民団体と大統領を結ぶ市民社会首席秘書官というポストもあり、「政府の提言よりも市民団体の要請の方が大統領への影響力が大きい」(韓国政府関係者)といわれる」

 

このパラグラフこそ、韓国のポピュリズムがいかに政治を毒しているか。その背景を説明している。民主主義に名を借りた独裁的な動きをさせる要因である。最低賃金の大幅引き上げでも、労組と組んで主張した「正論」が、大きな落とし穴になっている。

 


(4)「市民団体が政策決定の「拒否権」を握っているかたちで、日本との交渉でも市民団体の意向を意識せざるを得ない、と韓国政府関係者は嘆く。「韓国社会で市民団体が強くなってから政府が戦略的な外交を進めるのが難しくなった」(有力シンクタンク幹部)。日韓外交の停滞には構造的な問題が横たわっている」

 

今回の裏金事件で検察のメスが入った、30年の歴史を持つ元慰安婦支援団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」は、日韓慰安婦合意を破棄させる原動力になった。これを許す社会的な背景が、韓国には存在するのだ。


(5)「日本統治時代の女性の人権問題を扱う団体にはおのずと政府の監視の目も行き届きにくくなる。正義連と、前身の韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)が統合後も別々に寄付金を集め、さらに国の補助金も受け取っていたという「二重受給」の実態も明るみに出た。韓国最大紙の朝鮮日報は社説で「市民団体は被害者が日本から相応の謝罪と賠償を受けるという全国民的願いを口実に、ある瞬間から『問題解決』よりも『問題維持』と私欲を満たすことの方により力を入れるようになった」と断じた。「(支援団体に)利用されるだけ利用された」という李さんの思いもここに凝縮されているように思える」

 

元慰安婦支援を名目にしながら、集めた募金の大半は他に流用し、会計報告はデタラメという惨状である。ここから推し量るに、他の市民団体も同じようなことをしているのでないか。韓国民主主義は、既得権益集団が勝手に動き回れる土壌をつくっているという意味で未成熟の一語に尽きる。