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韓国は不思議な国である。総選挙は、経済政策で失政続きでも、与党が6割の議席を獲得した。コロナ対策が上手くいったというのが理由だ。アフター・コロナは、コロナ禍で痛んだ韓国経済の立直しが最大の課題である。だが、経済政策はいたって不得手である。どう乗り切るのか。

 

『朝鮮日報』(5月22日付は、「経済面で文大統領支持2%」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙の洪永林(ホン・ヨンリム)世論調査専門記者である。

 

韓国総選挙で与党が勝利して以降、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は高いまま推移している。韓国ギャラップなどの調査で60%を記録している。朝鮮王朝時代に王室を礼賛した歌集「竜飛御天歌」のように、与党からは文大統領を太宗、世宗にたとえる「文飛御天歌」が休みなく鳴り響いているという。政府・与党はウキウキしてばかりいるのではなく、国民が大統領を支持する理由も見据えながら、国政の方向をチェックする必要がある。

 

(1)「先週のギャラップによる調査で、文大統領の支持者に「どんな点で文大統領はうまくやっているか」と質問したところ、「新型コロナウイルスへの対処」(49%)が半分を占めた。それ以外の回答は「分からない」(9%)、「全般的によくやっている」(7%)、「熱心にやっている」(5%)など理由が具体性を欠いた。支持理由を見ると、コロナ後に大統領の支持率を下支えする素材が何かは見えてこない。特に大統領を支持する理由のうち、「経済政策」と「雇用創出」はそれぞれ1%にとどまり、「経済問題にうまく対処している」との回答は2%にすぎなかった」

 

文大統領の高い支持率は、コロナ対応の結果である。これが49%の支持率を稼いでいる。経済問題になると、たったの2%に過ぎない。コロナ「様々」である。コロナが去った後の支持率はどうなるのか。経済本番において、はなはだ心配になる事態だ。

 

(2)「今回に限らず、現政権発足以来、ギャラップが毎週、累計で140回実施した調査でも、大統領を支持する理由が「経済政策」との回答が皆無か12%にすぎないケースが129回に達した。「雇用創出」との回答も02%だったのが113回に上った。国政運営に対する評価に経済が与える影響が大きかった過去の政権とは異なる基準が適用されていることを意味する。積弊清算、韓日対立、朝米・南北首脳会談、新型コロナウイルスなどが大統領の支持率にプラス効果をもたらし、経済の失政が浮き彫りとなる機会が少なかったからだ」

 

現政権発足以来、ギャラップが毎週、累計で140回実施した世論調査では、大統領を支持する経済関連項目では次のような「落第」の結果が出ている。

「経済政策」 皆無か1~2%にすぎないケースは129回

「雇用創出」 0~2%のケースが113回

この結果を見ると、文大統領への経済面での支持派ほとんど0~2%という惨憺たる結果である。それでも全体では高い支持率である。韓国国民は、霞でも食って生きているとしか思えないのだ。

 


(3)「その間に行われた選挙も同様だ。2017年5月の大統領選は朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領の弾劾政局に始まり、18年6月の地方選挙はシンガポールでの朝米首脳会談の1日後に行われた。今年の総選挙は予想外の新型コロナウイルス流行による影響が大きかった。経済問題が影響を与えにくい条件下で毎回選挙が行われていることになる。一部からは「文在寅政権は運が良い」と指摘する声も聞かれる。しかし、運を実力と錯覚してはならない。幸運が能力を偽装することを警戒し、リスクに備えなければならない点は株式投資や企業経営だけでなく、政治にも当てはめられる。政府・与党が総選挙での勝利と大統領支持率に酔いしれ、経済の活力を取り戻すことに全力を尽くさなければ、状況は深刻化しかねない」

 

文大統領は、自身の大統領選挙(2017年5月)、地方選挙(2018年6月)、総選挙(今年4月)と勝ち抜いてきたが、いずれも幸運が味方している。その要因を順番に上げれば、朴大統領弾劾、米朝シンガポール会談、コロナ禍である。次は、次期大統領選(2022年5月)だ。この時も、神風は吹くだろうか。吹かなければ、悪化する経済が大きな壁になって立ちはだかるであろう。

 

(4)「世論調査専門家は、「コロナ後に押し寄せる最悪の経済危機にしっかり対処できなければ、国民の評価は異なってくる」と指摘した。幸運が働いた結果を自賛し、文飛御天歌を歌っている場合ではないという話だ。永遠に続く幸運はない」

 

確かに、永遠に幸運は続かない。いつかはメッキが剥がれる。その時、韓国は経済悪化という中でどういう政治を選ぶのか。韓国の現在は、仮装行列の最中にある。誰も、その深刻さに気付いていないのだ。