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韓国輸出産業の一つであるテレビが、インドネシアへ移転することが分かった。西側諸国では、コロナ禍に伴い製造業の国内回帰(リショアリング)の動きが盛んである。文大統領は、「K防疫の完璧さで世界の企業が韓国を注目する」と胸を張っているが、現実は国内企業の流出という逆の結果を招いている。

 

理由は、国内での製造業を取り巻く環境悪化である。最低賃金の大幅引き上げ、週52時間労働制、強い労組。これら「3点セット」が揃えば、韓国企業が海外へ逃げ出すのは当然であろう。すべて、文政権が「反企業」で行なった政策が招いたもの。「K防疫」だけでは、切り札にならないのだ。

 

『中央日報』(5月24日付)は、「国内企業も守ることができない韓国の現実」と題する記事を掲載した。

 

LGエレクトロニクスが慶尚北道亀尾(クミ)のテレビ生産ライン2本をインドネシアに移転することにした。OLEDテレビなど高付加価値製品も含まれている。移す理由は自明だ。莫大な移転費用を考慮しても移す方が有利であるからだ。残念なことだ。新型コロナウイルス感染症が韓国に投資誘致機会をもたらすと考えられる時期であるだけになおさらだ。

(1)「いま世界は生産施設の再配置を始めている。新型コロナがこうした流れを呼んだ。核心は脱中国だ。米国は中国などを離れて自国に戻るリショアリング(reshoring)企業に莫大な支援を約束した。このため250億ドル規模の「リショアリングファンド」設立を推進している。日本政府はすでに脱中国リショアリングファンドを設立すると発表した。欧州連合(EU)各国も「産業主権」と「国内生産」を叫んでいる」

 

日米欧の世界3極は、リショアリングで国内への回帰策を打ち出している。米国が打ち出した米中デカップリング論は、コロナ禍で自然に強まる動きを見せている。当然、韓国へも回帰が期待されているが、現実は逆の動きである。それを阻む国内要因があるからだ。



(2)「グローバル企業の動きも現実化している。本国に戻るリショアリングだけではない。巨大な中国市場をターゲットにしながらも、リスクを分散するために隣接国に生産施設を移転し始めた。アップルはほぼ全面的に中国に依存していたiPhone・AirPodsの生産施設をインドやベトナムに分散するという海外の報道があった。中国に隣接する韓国には投資を誘致して雇用を増やす機会だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任3周年の演説で「我々には絶好の機会」とし「韓国企業のUターンはもちろん、海外の先端産業と投資を誘致するために果敢な戦略を推進する」と述べた背景だ」

 

文大統領は、韓国が世界の先端産業の工場になる」とぶち上げている。それを実現するには、ふさわしい国内体制を整備しなければならない。現実は逆である。労組の主張する「反企業」に乗っかかり、規制を厳しくしているだけだ。

 

(3)「しかし今のままでは不可能だ。国内企業さえも離れていくのが韓国の現実だ。LGエレクトロニクスだけが海外に出ていくのではない。昨年、韓国国内の設備投資は7.6%減少した半面、企業の海外投資は619億ドルと過去最大だった。「投資エクソダス」「投資亡命」という新造語までが登場した。一方、昨年、外国人の韓国国内投資は前年比21%減少した(全国経済人連合会の調査)。OECD各国は投資誘致が平均6%増えたが、韓国は大幅に減少した。硬直した労働市場と融通性のない週52時間勤務制、険悪な労使関係、規制のジャングル、反企業・親労働組合一辺倒などの政策がもたらした結果だ」

韓国企業ですら、国内での設備投資を渋り海外に回すほど。それは、国内投資では採算が合わないためだ。そういう阻害要因をつくっているのは文政権である。韓国の労組は、世界の動きと逆走している。賃金を上げるには生産性向上が前提である。労組は、この前提を拒否し、「働かないで高賃金実現」という倫理的にも許されない要求を重ねている。

 

(4)「政府はいわゆる「K-防疫」に期待しているようだ。感染病から相対的に安全な国という認識が広がったため、それだけ投資誘致に有利になると考えている。しかしこれは我田引水式の解釈だ。人口が韓国の2倍のベトナムは新型コロナ感染者が324人にすぎない。韓国の30分の1にもならない。死者は一人もいない。人件費は韓国に比べ20-30分の1にすぎない。グローバル企業がどこを選択するかは明らかだ」

韓国政府の独り善がりの態度は、ここにも現れている。「K―防疫」を自画自賛しているが、ベトナムは、韓国よりも防疫効果では好成績を上げている。賃金も韓国の5~6%の水準だ。これでは、労組天国の韓国が敵うはずがない。

 

(5)「韓国が強い情報・バイオ分野は規制に縛られている。正常に運営されていたライドシェアサービス「タダ」事業まで法を変えて閉鎖に追い込んだ。このままでは文大統領が話す「絶好の機会」はないだろう。解決策はビジネス環境が一日も早く国際的に認められる道しかない。労働市場を柔軟化し、規制を革新することが急がえる。すでにグローバル生産施設再配置は始まっている。もたつけば国内外の企業は離れていく。時間はない」

 

規制改革の前に立ちはだかる労組と市民団体は、既得権益集団である。広い視野からの反対でなく、自らの組織にプラスかマイナスかで判断する狭量な集団である。韓国政治を動かすこの二大集団が存在する限り、韓国経済の正常化は不可能である。衰退が待ち構えているのだ。