ムシトリナデシコ
   

5月22日開幕の全人代で、李首相の報告で注目されたのは「中国製造2025」という言葉が聞かれず、代わって「新インフラ」が頻繁に登場したことだ。これを聞いた専門家からは、前記のハイテク計画が米国から監視されているので、代わって「新インフラ」に変えたという指摘が出ている。中国が、米国の覇権へ挑戦するにはハイテク計画は不可欠。「中国製造2025」をお蔵にいれたのでなく、名称変更に過ぎないというのだ。この程度の小細工で、米国の目を欺けると見ている辺り、中国は大甘といえる。

 

『大紀元』(5月25日付)は、「中国、全人代で『新インフラに言及』、専門家『中国製造2025そのもの』」と題する記事を掲載した。

 

全国人民代表大会(全人代、国会相当)は522日、開幕した。同日、李克強首相が政府活動報告を行い、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」計画の代わりに、「新インフラの整備」に言及したことが注目された。

 

(1)「李首相は、政府活動報告の冒頭で、新型コロナウイルスのパンデミックと世界経済の不確実性を理由に、2020年経済成長率の数値目標を「設けない」と表明した。当局は、昨年に挙げた雇用や金融システムなどに関する「6つの安定(六穏)」政策を再強調した。また、食料・エネルギーの安全や産業・サプライチェーンの安定を守るなどの「6つの保護(六保)」政策方針を提示した。雇用市場を守ることが今年の最優先任務だと示した」

 

今年の最優先政策は、雇用優先としている。コロナ禍と米中貿易戦争で、中国の製造業は壊滅的な打撃を受けている。大都市へ戻ってきた農民工は、仕事がないため農村へUターンする始末だ。これでは、今年のGDP成長率目標など立てられるはずがない。

 


(2)「
首相はさらに、「新インフラの整備や建設を強化する。次世代の情報ネットワークを発展させ、第5世代移動通信システム(5G)の応用、充電スタンドの整備や新エネルギー自動車の生産を拡大していく」などと発言した。「中国製造2025」については触れなかった。専門家は、中国当局の「新インフラ建設」計画は、実質的に「中国製造2025」計画そのものであるとの見方を示した

 

「新インフラ建設」が、新たな中国の目標になっている。専門家によれば、「中国製造2025」の別称にすぎないという。米国を油断させるためだと言うが、この程度のことで米国が騙されるはずがない。米国は、ファーウェイへの輸出禁止範囲を拡大しており、すべての半導体輸出を禁じる徹底的な技術防御策に出ている。中国ハイテク計画の進捗阻止である。

 

(3)「時事評論家の李林一氏は大紀元に対して、「中国当局のハイテク産業振興策である『中国製造2025』に対して米政府が警戒しているため、中国当局は政策の呼び名を『新インフラ』に変えただけで、中身は変わっていない」と述べた。同氏は、ハイテク産業における中国共産党政権の世界覇権の野心は変わっていないと指摘した」

 

米国の技術を盗んで米国を倒す。この「のどかな」覇権奪取計画を聞いていると、古代の話に聞える。始皇帝が、ライバルを打ち負かすため相手の技術を盗んできたのか、と思うような寓話だ。これでは、米国を出し抜くことは困難だろう。愚かな夢を見ているものだ。

 


(4)「中国国家発展改革委員会は4月20日に開いた記者会見で、「新インフラ」の範囲について、情報のインフラ、統合のインフラ、革新的なインフラの3方面があると初めて示した。このうちの情報インフラには、5G網やモノのインターネット(IoT)を含む通信ネットワーク・インフラや、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングを含むコンピュータ情報処理・インフラなどがある。同じく5G通信網、ビッグデータ、AI、無人生産工場などの発展を提唱する「中国製造2025」に重なる」

 

このパラグラフに掲載の技術インフラには、高度の半導体技術が不可欠である。中国には、その技術がないのだ。これまでは、米国半導体輸入でカバーしてきたが、すでに米国の輸出禁止処分になっている。中国は、身の丈に合った技術計画をもつべきであるのに、米国技術の窃取という「泥棒行為」を前提に、米国へ挑戦する計画を立ててきた。なにやら、盗賊社会を連想させる話に見えるのだ。この非現実的な夢の実現は、米国が「超無警戒」でなければ不可能である。国際社会において、こういう僥倖は現れないのだ。