ムシトリナデシコ
   


コロナ禍が、米中対立を一段と激化させている。パンデミックに伴う世界経済混乱に乗じて、中国企業が先進国へ手を延ばすことへの警戒である。中国の周到に準備された戦術で、針の穴でも利用する貪欲さに対して、米国は同盟国へ最大限の警戒体制を取らせている。

 

『韓国経済新聞』(5月29日付)は、「日本・イスラエル、米同盟国が『中国たたき』に次々と同調」と題する記事を掲載した。

 

米国と中国の対立が深まる中、米国の同盟国も「中国たたき」に次々と加わっている。日本は省庁のほか公企業もファーウェイ(華為技術)など中国の情報技術(IT)機器を使用できないようにし、イスラエルは大型インフラ事業で有力候補だった中国企業を脱落させた。

(1)「日本政府は日本年金機構や産業技術総合研究所など96の公共機関および政府傘下の研究機関の運用指針を決め、中国の情報通信機器を事実上排除することにしたと、読売新聞が27日報じた。今回の新しい指針に基づき、96の公共機関は早ければ来月からコンピューター、通信回線装置、サーバーを購入する際、内閣サイバーセキュリティーセンターと相談しなければいけない。サイバーセキュリティーセンターは安全保障上のリスクがあると判断すれば、調達先の変更を要求することができる。調達先を決める際の基準も、価格だけでなく安保リスクまで総合的に考慮しなければいけない。外部勢力の個人情報窃取およびサイバー攻撃を防ぐためだが、ファーウェイやZTEなど中国IT企業を狙った措置と解釈される

これまで、ファーウェイ・スマホは、「バックドア」をつけていることが知られていた。米国では、販売禁止措置を取っている。ファーウェイは、次世代通信網「5G」にも「バックドア」を仕掛けている。豪州が、これを昨年1月に発見して、米国へ通報した。当初、米国も信じなかったが実証試験で確認したもの。愕然とした米国は、同盟国へ向けてファーウェイ「5G」導入の危険性を訴えている。

 

欧州では、ファーウェイ製「4G」が普及しており、次世代通信網「5G」もファーウェイ製導入は当然のこととしてきた。ここへ、「バックドア」問題が提示され、導入の可否に揺れている。英国もその一つである。だが、今回のパンデミックに伴う中国疑惑で、ファーウェイ製「5G」導入拒否に向けて態度を一変させている。

 

日本が、ファーウェイ製拒否に舵を切っている背景も上記の通である。ファーウェイ製「5G」を導入すると、北京で相手国の情報をすべて聴取でき、戦争状態に入った場合、インフラ機能を不全にできるという事態が予知されている。



(2)「イスラエルも世界最大規模の海水淡水化プラントの入札で、予想を覆して中国企業を脱落させた。イスラエル財務省は海水淡水化プロジェクト「ソレク2」の業者に自国企業のIDEテクノロジーを選定したと26日(現地時間)、発表した。このプラント事業は計15億ドル規模で、2023年の完工が目標。これまでは中国系のCKハチソンウォーターインターナショナルが無難に落札すると予想されていた。香港の富豪・李嘉誠氏の息子が運営するCKハチソンは資金力があり、イスラエル以外でも淡水工場を運営するなど経験も豊富だからだ」

 

中国は、米国が技術漏洩に厳重警戒体制を取っていることから、イスラエルに技術窃取の焦点を絞ってきた。中国企業が、イスラエル企業に合弁計画を持ちかけ、技術情報を開示させたうえ、合弁計画を立ち消えにさせる、あくどいやり方が表面化している。イスラエルは、これまで中国との接触が少なく、「中国音痴」であった。その虚を突かれて、重要技術が漏洩している。米国は、同盟国中でも日本と並んで親密なイスラエルが、まんまと中国の術中にはまっていることに業を煮やしている。そこで、ポンペオ米国務長官がイスラエルに乗り込んだものである。

 

(3)「ポンペオ米国務長官が13日にイスラエルを訪問した後、雰囲気が変わった。ポンペオ長官は当時、イスラエルのネタニヤフ首相に会い、「CKハチソンのプラント投資は米国の安保に脅威となる」と述べ、中国企業の排除を要求したという。入札の結果発表直後、イスラエル財務省は「IDE側が提示した価格条件が良かった」と説明したが、ウォール・ストリート・ジャーナルは「米国と中国の対立に巻き込まれないための決定」と分析した」

ポンペオ国務長官のイスラエル訪問について、次のように報じられている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(5月18日付)は、「米イスラエル関係を阻害する中国問題」と題する寄稿を掲載した。筆者のダグラス・フェイス氏は、米ハドソン研究所のシニア・フェロー。2001~05年に国防総省の政策担当次官を務めた。

 

(4)「マイク・ポンペオ米国務長官は5月13日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とエルサレムで会談し、イスラエルと中国の経済的結び付きがさらに強まれば、米イスラエル関係に害を及ぼすと警告した。米国の現政権はイスラエルに対して過去のどの政権よりもずっと友好的な姿勢を示しているだけに、このメッセージには強い影響力がある。ポンペオ氏は、世界が中国との関係で新たな時代に入っていることを強調した」

 

(5)「オバマ政権下でも、中国の敵対的行動に対する反発は一部で見られたが、トランプ政権になってからはさらに反発が強まり、それは超党派的な動きになった。中国への反撃は今や米国の政策であり、11月の米大統領選挙で誰が当選しても継続するとみられる。イスラエルの主な関心事は依然としてイランなど周辺地域の状況だが、世界にとっての新たな重大戦略課題を無視することはできない」


イスラエルのネタニヤフ首相は、以上のような状況をポンペオ米国務長官から聞かされたとすれば、中国警戒に転じるのは当然のことだ。これで、中国の「イスラエル攻略」計画は、封じられることになろう。こうなると、中国は再び日本へ「ニーハオ」とにこやかに笑ってくるに違いない。

 

日本では、6月7日から海外資本がトヨタやソフトバンクなど日本の主要上場企業の株式を1%以上取得するには日本政府の事前審査を受けなければいけない、という法改正に踏み切っている。財務省は最近、こうした事前審査対象企業518社を選定した。事前審査基準を出資比率10%から1%に大幅に強化した改正外為法(外国為替及び外国貿易法)が、昨年9月成立によるものだ。日本政府は、中国への技術漏洩防止体制を強化している。