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韓国は、他国との比較を好む習性がある。科挙(かきょ)の国だけに、すべてを試験=点数に結びつけたがるのだ。科挙とは、儒教文化圏の中国と朝鮮の官僚登用試験である。合格するまでは、浪人生活を何年しても構わないという、激烈な競争が行なわれてきた。その代わり合格すれば、一生、「左団扇」の生活が保障された、夢のライフプランである。韓国では今でも公務員試験で、就職浪人は当り前という科挙の伝統を引き継いでいる。何も変わらない社会なのだ。

 

こういう「競争社会」ゆえに、韓国のGDPランキングが上がっても下がっても大騒ぎするのは致し方ない。ランクが上がれば大威張りする。下がれば、肩を落として落胆する。2019年のOECD(経済協力開発機構)で、韓国の名目GDPランキングが、カナダとロシアに抜かれて10位になったと落胆している。ランキング落ちの中に、将来の韓国経済退潮を予告する大きな意味が含まれているのだ。

 

『中央日報』(5月27日付)は、「韓国、GDP順位下落し10位日本は?」と題する記事を掲載した。

 

(1)「OECDが27日に明らかにしたところによると、2019年の韓国の名目GDPは1兆6421億8000万ドルで、OECD加盟国と主要新興国など38カ国のうち10位を記録した。2018年の8位から2段階の下落だ。韓国の名目GDPの順位が落ちたのは金融危機当時の2008年に12位から14位に下落してから11年ぶりだ」

 

先ず、基本的なことをおさらいしておきたい。名目GDPは、市場価格で評価された付加価値である。市場価格が上がれば、名目GDPも増える。市場価格が下がれば、名目GDPが減る計算だ。韓国は、2019年の名目GDPランキングが下がった。これは、韓国の市場価格が下がったことを意味する。つまり、経済が不調であったことだ。GDPデフレーターがマイナスである。

 

物価が下がる経済は、需要不足が原因である。韓国は、需要不足経済であると理解をしなければならない。問題は今後、この需要不足経済が慢性化するだろうと見られることである。この点が、もっとも深刻である。

 

その理由は、韓国経済が人口動態において、「人口オーナス期」に入っていることだ。人口に占める生産年齢人口(15~64歳)の比率が下がっていること。潜在成長力が下降状態にあるのだ。これをはね返すには、制度的イノベーション推進が不可欠である。だが、これを阻止する大きな勢力が存在している。

 

韓国の労組と市民団体が阻害要因である。巨大な既得権益集団と化している。イノベーションをストップさせる役回りを演じているのだ。韓国の政治的保守層(経済界)は、制度的イノベーションを実行しようとしても、前記の二大既得権益集団が政治的進歩派(文政権)と組んで阻止役に回っている。韓国経済の将来が、絶望的である理由はここにある。

 

韓国メディアは、名目GDPランキングが2ランク下がったと嘆いている。一方、この回復策について、なんら提示していないのだ。「果報は寝て待て」というように、努力もせず都合のいいことは起こらない。韓国有権者は、経済問題に無関心である。南北問題や中国関係の改善という政治要因に多大の関心を向けている。霞を食って生きている集団のような振る舞いである。

 

(2)「名目GDP1位は21兆4277億ドルで米国となった。2位は中国で14兆3429億ドルだった。継いで日本が5兆818億ドル、ドイツが3兆8462億ドル、英国が2兆8271億ドル、フランスが2兆7080億ドル、イタリアが2兆12億ドルの順だった」。

 

数字が羅列されているだけだ。記者が、書くことがなくて「穴埋め」に書いている感じである。ここで記憶すべきなのは、OECD内のランクでなく、世界ランクを見ることである。世界全体の2018年名目GDPランキングで、韓国は10位であった。11位はカナダ、12位がロシアである。韓国との差は、カナダが80億1000万ドル、ロシアとは631億9900万ドルに過ぎなかった。韓国はいわば、僅差で世界10位であり、いつ、カナダとロシアに抜かれても不思議はない位置である。

 

韓国の市場価格が下がれば、簡単にカナダとロシアに抜かれるという関係にあった。過去の世界ランクで韓国の最高位は、2004年と05年の10位である。2018年も前記のように10位であった。それが、昨年は12位へ後退している。このことから言えるのは、世界10位が韓国の最高位であって、今後はズルズルと下がるに違いない、という点である。

 

その理由は、2つある。

1)生産年齢人口比が、2014年の73.41%がピークである。2018年は72.61%と微減だが、最近の合計特殊出生率「0.9」は、世界最低記録であることから見て、これから急カーブで下落する。

2)労組と市民団体が、一段と既得権益集団となって制度的イノベーションの阻害要因になることだ。経済成長を罪悪視する風潮をつくりだし、経済成長よりも南北統合を優先する運動を始めるだろう。文政権を支える与党「共に民主党」の隠れた党是でもある。韓国経済が、こういう状態である以上、発展する希望は皆無なのだ。