テイカカズラ
   

米中が対立を深める中、さらに紛糾すると見られる判決が、カナダ上位裁判所で下った。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟被告に対する裁判で、米国側に有利な判決が出たからだ。今回の判決で、孟被告の米国への身柄引き渡しの可能性が高まったと予想されている。中国は、これまでカナダ側へ数々の嫌がらせをして、孟被告の釈放を実現させるべく圧力を加えてきた。カナダ裁判所は、これに屈せず、法律に従い米国への引き渡し判決を下した。

 

米国の要請で、カナダ当局が2018年12月に逮捕し、保釈中の孟晩舟被告の米国への身柄引き渡し可否の本格的な審理が、今年1月20日に始まった。裁判は、秋まで続く日程が組まれていた。判事は、これより早く判断を下し孟被告釈放の可能性も取り沙汰されていた。こういう事前の予測は、完全に外れた。

 

『東亜日報』(5月29日付)は、「ファーウェイCFO、米への身柄引き渡し有力、米中対立の新たな雷管に浮上」と題する記事を掲載した。

 

カナダ・ブリティッシュコロンビア州の上位裁判所のヘザー・ホルムズ判事は27日、「米国の犯罪人引き渡し要請が、カナダの法律の要件を満たした」と明らかにした。米国で起訴された孟被告の容疑が、カナダでも犯罪と認定されたということだ。

 

ファーウェイの創業者、任正非氏の娘である孟被告は、米国の要請で2018年12月、カナダのバンクーバー空港で逮捕された。米国は、孟被告が対イラン制裁を破ってイランと装備を取り引きする際、金融会社をだました容疑で起訴し、カナダに犯罪人引き渡しを請求した。任氏と最初の妻の孟軍氏の間に生まれた孟被告は、有力な後継者とされている。

 


(1)「被疑者を犯罪人引き渡し条約によって請求国に引き渡すには、容疑が被請求国でも犯罪と認められなければならないという「双罰性」の要件が、孟被告の裁判の核心争点だった。弁護人側は、「カナダにイラン制裁関連法がない。容疑はカナダで犯罪にならない」と主張した。しかしカナダ検察は、「詐欺容疑はカナダの現行法にも抵触する」と対抗し、裁判所がこれを認めた

 

孟被告は米国の対イラン制裁を逃れるため、ファーウェイとイランの子会社との関係について2007年ごろから金融機関に対し虚偽の説明を行ったとして、銀行詐欺などの罪で米国が起訴した。米国は、カナダとの間で結ぶ犯罪人引き渡し条約に基づき引き渡しを求め、中国は釈放を求めてきた。

弁護人側は、「カナダにイラン制裁関連法がない。容疑はカナダで犯罪にならない」と主張した。しかしカナダ検察は、「詐欺容疑はカナダの現行法にも抵触する」と対抗し、裁判所がこれを認めたものだ。

 

(2)「米商務省は5月15日、米国の技術を活用する海外企業がファーウェイに半導体を供給できないようにするなどファーウェイに対する制裁を強化し、中国はこれに反発している。このような時に出た今回の判決に、駐カナダ中国大使館の報道官は電子メールの声明を通じて、「強い不満と断固たる反対を表明する」と明らかにした。そして、「米国の引き渡し要請はファーウェイなど中国の先端技術の企業を倒すための試み」とし、「カナダが米国と共謀してこれを代行している」と主張した」

 

弁護側の主張には、かなりの無理があった。米国の違法性が、カナダでも違法として問えるかどうかが争点のはずである。中国は、そういう法理論を外し、「米国の引き渡し要請はファーウェイなど中国の先端技術の企業を倒すための試み」という感情論で対抗したところが、そもそもピンボケである。そんな争いを仕掛けても、水掛け論で負けになるのだ。

 


(3)「カナダと中国の関係も悪化が予想される。中国は孟被告の逮捕後、自国内のカナダ人2人を拘束した。肉類やキャノーラ油などカナダ産の農産物に対する輸入も停止した」

 

ここら当りの中国の嫌がらせは、子どもじみている。法律論で対抗できない弱味を、嫌がらせという感情論で押し潰そうとした。これが、カナダの裁判所で見破られた理由であろう。

 

カナダは、中国と妥協するために次世代通信網「5G」で、ファーウェイ製を購入するなどと報じられたこともある。こういう「取引」で孟被告の米国引き渡しをするという憶測である。「5G」は、米国政府の強い購入拒否要請が行なわれている。

 

ファーウェイが4月、カナダに数百万枚のマスクを寄付した。ファーウェイは、カナダの5G市場参入を狙っていることから、今回の医療品の寄付は、中国共産党の下心があるとの見方もされている。カナダのトルドー首相は、寄付を受け入れる一方で、5G配備を含む政策決定には影響しないと強調した。また、医療品は基準に適しているかどうかを検査すると発言した。今後も、いろいろと情報が錯綜するであろう。