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ここ5ヶ月の世界は、中国によって完全に振り回されている。コロナによるパンデミックと領土拡張への野望である。同時に、コロナ禍で苦悩する先進国企業の乗っ取り戦術を進めている。西側諸国は、こうして中国への警戒姿勢を強めざるを得なくなった。グローバル主義は、はるか遠くに消えた。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(6月1日付)は、「世界で保護主義台頭、背後にコロナと中国の影」と題する記事を掲載した。

 

新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷や中国の影響力拡大を背景に主要国で外国からの投資を制限する動きが強まっている。

 

(1)「コロナ危機の発生以降、世界では自由市場を掲げる国が巨額の補助金を投入し、ハイテクや鉱山、製薬など、自国の有力企業を安値で買い上げようと狙う外国資本への防御策を強化している。これまで国外の投資家を受け入れてきた英国もここにきて、中国系企業による国内ハイテク企業の買収を阻止し、こうした保護主義的な動きに加わった。米国型の外資制限を導入するよう議会の要求が強まる中、ボリス・ジョンソン英首相は5月20日、「われわれは技術的な根幹を確実に守るための措置を必ず導入する」と述べた」

 

ジョンソン英首相は、新型コロナウイルスに感染し入院して以来、これまでの中国に対する寛容な姿勢が消えたといわれている。病床で、コロナの発症地が中国であることに怒りの炎を燃やしたのかも知れない。中国にとっては、貴重な理解者を敵に回すことになった。

 

(2)「米国は2月、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大。外資による買収だけでなく、少数株の取得も阻止できるようにした。また、対象セクターも広げ、不動産なども含めた。ドナルド・トランプ米大統領は4月、外国からの望まない投資を阻止するため、「チーム・テレコム」と呼ばれる連邦機関グループによる諮問組織を正式に発足させる大統領令を出した。その5日後、チーム・テレコムは中国国有の中国電信(チャイナ・テレコム)の米国内での営業免許取り消しを勧告した」

 

米国は連邦機関グループによる諮問組織が、国内で営業免許を持つ中国国有の中国電信(チャイナ・テレコム)に対し、免許取り消しを勧告した。米国にとって望まない投資であるという判断だ。すでに、既存投資ですら営業停止という強硬手段が取られている。米国が、中国企業のスパイ活動を警戒している証拠である。

 

(3)「日本やカナダ、オーストラリア、ドイツ、フランス、イタリアなどの先進国も足元、コロナ流行に伴う不況で敵対的買収を仕掛けられかねないとの懸念から、外資規制を強化している。各国政府は、対象セクターを広げたり、審査が必要となる外資の基準を引き下げたりしている。イスラエルも最近、米国からの圧力を受けて、国内最大の淡水化施設の建設計画で、香港の複合企業による入札を却下した。これまで保護主義的な措置に強く反対してきた欧州連合(EU)も、政府による企業救済を認めているほか、規模を問わず重要セクターが投げ売りされる事態に対して警鐘を鳴らしている

 

G7は、すべて中国の投資に警戒警報を出している。日本も同調した。従来の外資投資は、株式の10%以上について届け制であった。それが、何と1%以上と規制を下げ、水も漏らさぬ体制で「中国資本」排除姿勢を鮮明にしている。EUも従来の姿勢を変えて「中国警戒論」に転じるほど。中国は、毛嫌いされる存在に成り下がった。

 

(4)「こうした中、EUの執行機関である欧州委員会は、市場の定義に関する規定を見直しており、巨額の補助金を受けた外国企業からの買収を阻止できるようにする見通しだ。新規定は主に、中国を念頭に置いたものだとみられている。防御策はハイテク企業に限らない。フランスは3月、国家安全保障上の懸念を理由に、中国投資家への鉄鋼所の売却を却下した。同国はまた、政府が持ち分を握る上場企業70社を守るため、200億ユーロ(約2兆4000億円)の基金を創設した」

 

EUは、中国資本と名前を出さないまでも、「巨額の補助金を受けた外国企業からの買収を阻止」という名目で、撃退する体制を取る。中国資本が海外企業を傘下に収める夢は、もはや不可能になった。

 


(5)「中国による投資への反発が強まる中、保護主義も広がっている。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、経済規模の大きい世界主要10カ国のうち9カ国は2017年以降、外資を規制する新たな措置を導入した。少なくとも20の案件(合計およそ1620億ドル相当=約17兆4600億円)が2016~2019年に国家安全保障を理由に阻止、または撤回された。経済協力開発機構(OECD)によると、外国からの投資は今年、少なくとも前年比で3割落ち込む可能性が高いとみられている」

 

中国が、グローバル主義を壊した張本人である。世界主要9ヶ国は、中国資本の乗っ取りを防ぐために、外資を規制する新たな措置を導入した。これだけ警戒されている中国が、世界のリーダーになれるはずがない。中国は、そういう客観的な見方ができない状況で猪突猛進している。極めて危険と言うほかない。