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韓国は、日本の半導体輸出手続き規制の撤廃を要求している。その回答期日が、6月1日であった。日本が回答しなかったため、韓国はきょう態度を表明する。GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)の破棄などをちらつかせている。日本は、旧徴用工補償案を韓国で成立させることに期待しており、この問題が解決しない限り、規制撤廃には応じない姿勢だ。こういう日韓の方針食違いから、また騒ぎが起こりそうである。

 

『韓国経済新聞』(6月2日付)は、「韓国の輸出規制撤回要請に返答しない日本」と題する記事を掲載した。

 

日本から輸出規制の解除を引き出そうとしていた韓国政府の圧力戦略が無に帰した。日本に要請した輸出規制解除の期限が過ぎたが、日本側の立場には変化はなかった。韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)効力停止、世界貿易機関(WTO)提訴など報復措置が考慮される中、韓日関係にまた荒波が押し寄せるのではという懸念が出ている。

(1)「韓国の産業通商資源部は1日、「日本側から輸出規制措置原状復旧に関連して明確な返答を受けることができなかった」と明らかにした。産業通商資源部は5月12日、日本が問題視する点を補完しただけに日本が韓国に取った3大品目輸出規制とホワイト国(輸出管理の優遇対象国)除外決定を緩和する立場を5月末までに明らかにしてほしいと日本側に通知した」

 

日本が、半導体輸出手続き規制を行なったのは、韓国の半導体3品目の管理状態が緩いためである。その後、韓国は日本の要求通りに管理組織を強化したから、輸出手続き規制を撤廃せよ、と迫っているものだ。この問題は、管理組織を強化したから「明日から大丈夫」という安易なものでない。高度の専門性ゆえ、習熟するまでにかなりの時間を必要とする。日本が、韓国の要求通りに輸出手続き規制撤廃をできない理由だ。

 


もう一つ重要な点は、この半導体輸出手続き規制が半導体輸出にブレーキとならなかったことである。韓国政府が胸を張って発言しているとおり、何らの損害も発生していない。実損が出ていなければ、韓国が日本に対抗措置を取る理由はないはずだ。韓国国内でのメンツの問題だけであろう。

 

日韓で暗黙の了解事項されているのは、旧徴用工補償案を韓国が独自で成立させることである。前国会議長の文氏が、補償案を上程した狙いはここにあった。廃案になったため、この問題は宙に浮いている。韓国は、先ずこの旧徴用工補償案を成立させるべきである。日本側は、補償案が成立すれば輸出手続き規制を撤廃すると内々で伝えている。

 

韓国は、自らのやるべきことを行なわないで、輸出手続き規制の撤廃だけを要求するのでは、実現が遅れるであろう。それに伴う実損はなんら出ていない以上、韓国の要求の意味は薄いのだ。


(2)「強硬論者の間では政府がGSOMIA効力停止を通じて日本に対する圧力の程度をさらに高めるべきだという声が出ている。韓国政府は昨年11月、日本の輸出規制問題を解消するために韓日対話の突破口を開く条件でGSOMIA終了決定を一時的に延期しただけに、名分があるという主張だ」

 

韓国は、GSOMIAの効力停止を再び行なう動きもあるという。昨年10月末の期限前、効力停止か継続かで、米韓は鋭い意見の対立を見た。米国防長官らの首脳が、相次いで訪韓して説得した問題である。最後は、米国の圧力でGSOMIAを継続することになったが、「いつでも打ち切る」という前提条件付きである。韓国は、この前提条件を実現すれば良いという主張で、米韓対立の再燃は必至だ。米中対立が深刻化している現在、GSOMIAの果たす役割は大きい。米国から「何を寝言いっているのか」と一喝されそうな話だ。

 

(3)「米中間の対立が深まる状況で外交戦に乗り出す場合、韓米同盟にまで影響を及ぼすという懸念もある。韓東大の朴元坤(パク・ウォンゴン)国際地域学科教授は「米国は貿易紛争をはじめ、新型コロナ対応、香港国家安全法問題などで中国と激しく対立していて、対中国包囲網を構築する状況で韓日米安保協力の核心であるGSOMIAの終了を望まないだろう」と述べた。政府は次善策として輸出規制をめぐるWTO提訴も検討しているという。しかしWTO提訴手続きを再開しても輸出規制の原状復旧に対する強力な圧力手段になるかは不透明だ」

 

韓国は、WTO提訴を復活させるとも言っている。だが、輸出手続き規制によって韓国への輸出が止まった訳でない。安全保障上の理由で輸出手続き規制を行なっただけである。WTOでは、安全保障は別格の扱いだ。こういう状況からみて、韓国のWTO提訴復活は、さらに意義が薄れるであろう。