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韓国は、徴用工補償をめぐる日本の強力報復予告にたじろいでいる。GDP3位の日本が、同12位の韓国へ「最大限報復」を示唆しているだけに、韓国側の危機感は相当なものだ。

 

先の韓国国会で廃案になった、議長提案の補償法案を潰した張本人は、尹美香(ユン・ミヒャン)氏と被害者遺族から名指しで非難されている。尹氏とは、元慰安婦支援団体の前代表(現国会議員)で、検察の捜査対象になっている「時の人」である。遺族側は、議長提案の受入れを表明していたのだ。

 

『中央日報』(6月5日付)は、「遺族、強制徴用の文喜相案『尹美香が反対して白紙に追い込んだ』」と題する記事を掲載した。

 

日帝強制動員被害者の遺族が4日、「強制徴用解決のための文喜相(ムン・ヒサン)案を尹美香(ユン・ミヒャン)氏が反対して白紙に追い込んだ」として与党「共に民主党」所属の尹美香(ユン・ミヒャン)議員の辞任を求めた。

(1)「日帝強制動員犠牲者遺族協同組合のイ・ジュソン理事長はこの日、国会疎通館で開かれた記者会見で「文喜相案が通過して韓日関係が(うまく)いけば自分たちの金儲けの手段がなくなるから尹美香がそれを一番先頭に立って反対した。慰安婦おばあさんに(日本が出した和解・癒やし財団の支援金)1億ウォン(現レートで約897万円)を受け取らないよう言ったのと相通じる脈絡」と主張した」

 

「文喜相案」を潰したのは、日韓慰安婦合意を破棄させた尹美香氏であると告発された。尹氏は、金銭問題で検察の捜査対象になっている。韓国の報道では、慰安婦問題を解決させず長引かせれば、寄付金集めで利益になるという意図が濃厚であったと指摘されている。こういう疑惑を抱える人物が、徴用工補償案にまで首を突っ込んで来たところに、韓国市民団体の政治屋的一面を見せている。



(2)「文喜相元国会議長は昨年末、韓日企業と両国国民の基金で記憶人権財団を設立して両国政府は直間接的に関与する「2プラス2+α」方案で徴用被害補償問題を解決しようと提案した。当時、日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯理事長だった尹氏は「とても恥ずかしい案」と批判した」


(3)「日帝被害者補償連合のキム・インソン会長は、「尹美香らは国会議長室に訪ねて行って、この法が日本に免罪符を与えるものだとして法案通過を邪魔した。尹美香が文喜相法と何の関連があるか」とし「尹美香を直ちに国会から追放し、政府と国会は文喜相法を再発議してわれわれ祖先の生命と血の汗のお金を返してほしい」と要求した。
これに先立ち文元議長は、先月中央日報のインタビューで「(文喜相案を)切実に望む人々は数万人になるが、市民団体代表や訴訟を引き受けた弁護士だけ反対している」と話した」

 

尹氏が、国会議長提案の法案すら潰すとは驚く政治力と言うほかない。元慰安婦支援団体は、反日の急先鋒として韓国社会を動かす力を持っていることを証明している。完全な既得権益集団と化していることに驚くのだ。

 

『ハンギョレ新聞』(6月5日付)は、「日本企業の韓国内資産の強制売却急ピッチで進む、韓日、再激突の危機」と題する記事を掲載した。

 

韓国政府が日本の輸出規制措置に対し、世界貿易機関(WTO)への提訴手続きを再開したのに続き、裁判所が強制動員被害者の賠償判決を履行しない日本企業の国内資産に対する強制売却の手続きを公式化したことで、韓日の対立が再び激化する見通しだ。日本政府は、現金化措置が行われれば、対抗措置を取ると反発している。

 

(4)「強制売却の手続きに入る現金化の対象は日本製鉄が20081月、ポスコと提携して設立した製鉄副産物リサイクル会社「PNR」の株式81075(額面価格5000ウォン基準、4537万ウォン)だ。これに先立ち、昨年1月、裁判所は新日鉄住金が日帝強制動員の被害者らに対する賠償判決を履行しなかったことを受け、これらの資産に対する差し押さえ申請を承認した」

 

韓国が、差し押さえている株式は、額面で4億537万ウォン(約3644万円)である。この1億円にも満たない金額で、日韓が激突するとは考えられない事態だ。韓国は、完全に反日で始めた「嫌がらせ」が、ここまで問題を大きくして途方に暮れているのだろう。文政権支持の『ハンギョレ新聞』が、感情を交えずに報道しているのは、韓国政府の困惑ぶりを示している。

 


(5)「日本政府は、実際に現金化措置が行われた場合は、対抗措置も辞さない方針を示唆した。菅義偉官房長官は4日、「韓国の司法手続きは明白な国際法違反」だとし、「日本企業の正当な経済活動の保護の観点から、あらゆる選択肢を視野に入れて引き続き毅然と対応していきたい」と述べた。日本製鉄側も「(強制動員の)問題は国家間で正式に合意された日韓請求権協定によって『完全かつ最終的に解決された』と理解している」とし、日本政府の対応と歩調を合わせる意向を明らかにした」

 

日本側は、韓国大法院判決が国際法違反と主張している。韓国メディアも、この事実に気づき始めているので、「絶叫型報道」が消えている背景だろう。すべての責任は、韓国政府にある。それを逃れて、日本へ責任転嫁しているのが現状だ。

 

(6)「問題は韓日関係が冷え込んだ中、強制動員問題がさらなる経済・安保対立に広がりかねないという点にある。聖公会大学のヤン・ギホ教授(日本学)は「公示送達の時点と日本の輸出規制に対する世界貿易機関(WTO)への提訴再開がほぼ同時に行われている」とし、「日本は(現金化措置が)国際法違反だと見ており、引き下がるわけにはいかないないだろうし、日本が報復措置を取れば、我々も対抗措置が取らざるを得ず、このままでは衝突が再燃しかねない」と述べた」

 

下線部分に、韓国が困惑している姿を読み取れる。文大統領の優柔不断さが招いた問題である。韓国側が差押物件を現金化したら、日韓関係は収拾がつかなくなるだろう。