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北朝鮮が、南北合同連絡事務所を爆破するなど破壊的な行動に出ている裏で、過去に例のない経済危機に直面していることが分かった。経済制裁と、コロナ禍による中朝国境の封鎖が、北朝鮮経済を根本からひっくり返した。

 

悪いことに、文大統領は北側へ実現の難しい話を、さも実現可能のように言った節がある。金正恩国務委員長は、それを真に受けたのだ。その怒りも加わっている。南北のトラブルは、簡単に収まりそうにない。文氏がライフワークとした南北問題は、未解決のままに終わるだろう。日韓問題もダメ。南北問題もダメ。国内経済問題もダメ。文大統領は、「三つのダメ」で、「落第」が確実となった。

 

『ハンギョレ新聞』(6月19日付)は、「今年の朝中貿易90%減、北朝鮮 制裁とコロナ禍で『経済危機』が深刻」と題する記事を掲載した。

 

この記事は数字が多い。これが苦手な方は、私のコメントだけ読んでいただいただけで、北朝鮮経済の最悪事態が把握可能と思われる。

 

(1)「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態発生後の朝中国境封鎖などにより、今年15月の北朝鮮の中国に対する輸出と輸入がほぼゼロになっていることが明らかとなった。北朝鮮に対する経済制裁が本格化した2017年以降、朝中貿易がほぼ崩壊状態となっていた上、コロナ禍まで重なる二重の複合危機に見舞われ、北朝鮮経済は経済活動に必要な必需物資の輸入が途絶えるなど、麻痺の危機に陥っているという分析が出ている」

 

2017年以降、北朝鮮への経済制裁が始まってすでに3年経過した。今年1~4月の中朝貿易は、ほぼゼロである。主要物資の過半を中国へ依存している。貿易ゼロは、北朝鮮経済への「死刑宣告」に等しい。

 


(2)「18日に韓国貿易協会と中国海関(関税庁)の資料によると、北朝鮮製品の中国市場への輸出額は、今年12月に1070万ドル(前年同期比-71.7%)3月に60万ドル(-96.2%)4月に220万ドル(-90.0%)と大幅に減少している。すでに北朝鮮の対中国年間輸出額は2016年の26億3440万ドルから、経済制裁が本格化した2017年には16億5070万ドル(-37.3%)まで減少。2018年には1億9460万ドル(-88.2%)、2019年には2億850万ドルに減少し、2016年に比べて10分の1以下となっている。2017年以降、輸出が年々大幅に減少していたのに続き、今年に入って国境封鎖により完全に遮断されたかたちだ。ハンギョレ新聞が韓国国内の複数の北朝鮮経済専門家に聞いたところ、今年5月の対中国輸出はほぼゼロ水準を記録したことが分かった」

 

北朝鮮製品の中国市場への輸出額推移

今年12月 1070万ドル(前年同期比71.7%減)

3月   60万ドル(同96.2%減)

4月  220万ドル(同90.0%減)

 

2016年     26億3440万ドル

2017年     16億5070万ドル(37.3%減) 経済制裁が開始

2018年      1億9460万ドル(88.2%減)

2019年      2億0850万ドル

 

上記のデータを見れば、北朝鮮経済が極貧状態に追い込まれていることが分かる。

 

(3)「北朝鮮経済の全体的な活動や運営と関連し、さらに状況が悪いのは輸入のほうだ。北朝鮮の中国製品(原材料、エネルギー、食糧など)の輸入額は、2016年の319200万ドルから、対北朝鮮制裁発動後の20172019年には221710万ドル~332800万ドルと、輸出の急減に比べれば相対的に堅調だった。事実、対北朝鮮制裁が主に北朝鮮当局のドル確保の遮断に集中するなど、輸出制裁を狙っているため、民生経済と密接な関連のある商業的輸入は、原油をはじめいくつかの製品を除いては、強力な制裁の対象から外れている」

 

北朝鮮の中国製品(原材料、エネルギー、食糧など)の輸入額

2016年       31億9200万ドル

2017~2019年  22億1710万ドル~33億2800万ドル

 

対中国の輸入額は、経済制裁の始まる2017年~19年の3年間でそれほどの落込みではない。民生経済品目で制裁対象の対象でない結果である。

 


(4)「コロナ禍が発生した今年は急転。今年に入り、中国製品の輸入額は12(19720万ドル)で前年同期比-23.2%を記録したのに続き、3月には1800万ドル(-90.8)4月には2180万ドル(-90.0)を記録した。対中国輸出入総額は2019年に28億ドルと、2016(58億ドル)の半分以下に減少している」

 

北朝鮮の中国製品の輸入額

今年12月 1億9720万ドル(前年同期比23.2%減)

3月   1800万ドル(同90.8%減)

4月   2180万ドル(同90.0%減)

2016年 58億ドル

2019年 28億ドル

 

輸入額の減少は急激である。北朝鮮経済が正常に活動しないことを表わす。日常生活に事欠く状態であることを示唆するものだ。

 

(5)「韓国開発研究院のイ・ソク先任研究委員は、最近発行の「北朝鮮経済レビュー」5月号で、「2017年以降、経済制裁の影響で朝中貿易額はすでに急激に落ち込んでいる状態にあるうえ、今年に入って新型コロナによる国境封鎖で事実上両国の貿易はほぼ完全に遮断されている。特に北朝鮮の経済運営に必要な各種物資の輸入が遮断されていることに注目しなければならない」と指摘した」

 

2017年以降の経済制裁で、中朝貿易は縮小した。さらに今年に入ってのコロナ禍がトドメを刺した。

 

(6)「今年3月の北朝鮮の中国産製品の輸入上位5品目をみると、食用油、小麦粉、織物、タバコ、医薬品となっており、これら消費型製品の輸入額は前年同期比で-13.2%~-70.8%となっている。同研究院は「北朝鮮経済は経済運営に必要なほぼすべての基本物資を中国産の輸入に依存しているが、石油などのエネルギーから食糧、生産に必要な機械、原料、各種部品の輸入がほぼ途絶えている」とし、「対北朝鮮制裁と新型コロナのショックが同時に発生し、深刻な経済危機に直面している」と診断した」

 

今年3月に入って、石油などのエネルギーから食糧、生産に必要な機械、原料、各種部品の輸入がほぼ途絶えている。この状態では、国家崩壊である。金ファミリーは、八つ当たりしてどこかを血祭りに上げない限り、国内に説明がつかない状況へ追い込まれている。国内経済正常化には、コロナ禍の沈静化が前提だ。問題は、それがいつになるか、である。

 

ただ、韓国と全面衝突の形であるから、短期の収束は困難であろう。次期大統領の就任する2022年5月以降が、話合いムードが訪れるとしても肝心の北朝鮮経済がそれまで保つかだ。