ムシトリナデシコ
   

新型コロナウイルスに感染したかどうかを検査する方法は、PCRが一般的である。だが、検査に必要な人材や検査機器を必要とする。さらに、結果が判明するまでの時間は、3~5時間もかかり、大量検査には不向きである。

 

こういう壁を、国産技術が見事にクリアして秋にも登場可能という。唾液を2分加熱して30分で結果が判明し、特別の検査キットも人材も不用という。従来の検査手法に比べて優れており、「メード・イン・ジャパン」が、打ち立てた金字塔になりそうだという。

 

『日本経済新聞』(6月22日付)は、「技師・検出器不要30分検査 秋にも実用化」と題する記事を掲載した。

 

専門の技師や検出器を使わず、30分程度で新型コロナウイルスを判定する検査法が実用に向けて動き出す。日本大学の桑原正靖教授らがつくったウイルス検査で、月内に塩野義製薬と量産向け検査キットの開発でライセンス契約を結ぶ。インフルエンザのように病院で医師や看護師が検査してすぐ結果を知ることもでき、経済再開に向けた環境整備につながる。塩野義は検査キットが診断に使えると判断すれば、厚生労働省に薬事承認を申請し、今秋の実用化を目指す。

 


(1)「政府は夏から海外との往来を緩和する予定で出入国時のPCR検査を条件とする。検査能力が往来数の制約になるため、なかなか増えないPCR検査以外の手法を探していた。

今回の検査法が確立すれば空港で短時間に大量の検査ができると期待する。一般の病院でも検査が容易となれば、経済再開に伴う感染の「第2波」への備えともなる

 

PCR検査と同等の精度を持つという。PCR検査では、「サーマルサイクラー」という装置が必要だが、今回の技術では唾液を加熱する器具があれば済むという。特別な操作技術も必要ない。試薬さえ手元にあれば、それで結果が判明する。下線部のように、経済の本格再開に向けて弾みが付くのだ。韓国に、PCR検査が少ないと批判されてきたが、これからは、そういう批判を受けずとも済みそうだ。

 

(2)「新たな検査法は桑原教授らが考案した「SATIC法」を応用した。95度で約2分間加熱した唾液を試薬に入れると、新型コロナを検出した場合に2025分で変色する技術で、目視で感染の有無を判定できるという。PCR検査と違い高度な制御装置や検出器、練度が高い技師は不要になる。PCR検査は検体の採取から搬送、検査までで35時間近くかかるが、30分程度で済む」

 

桑原教授らが考案した「SATIC法」を応用したのが、今回登場の新技術という。オリジナルは、桑原教授であることを忘れてはならない。唾液を95度Cで約2分間加熱するから、ウイルスが他に感染する懸念もないのだろう。となれば、画期的と言って良いはず。日本技術の「勝利」と言える。

 


(3)「PCR検査はウイルス量の多い鼻や喉の奥の粘液を採取することが多い。発症から9日以内の場合は唾液の使用も認められた。新方式も採取が簡単な唾液を想定する。PCR検査は専用の機械と試薬でウイルスのRNA(リボ核酸)からつくったDNAを増やす必要がある。新方式はこの工程が不要で大幅に時間や手間を省けるという。研究は日本医療研究開発機構(AMED)などが助成する。日大と東京医科大は5月、共同で特許も出願した。政府の国家安全保障局(NSS)も利用法を検討中だ

 

日本政府上げての支援体制である。世界中に普及させられれば、「日本型防疫モデル」となろう。

 

(4)「国内のPCR検査能力は1日最大28千件。実施数は1万件を下回る。発熱などの症状があり医師が必要と判断した人を原則、対象とする。夏に緩和する海外往来も、当面はPCR検査体制の制約で最大でも1日250件だけだ。経済再開の規模をウイルス検査の能力が左右する恐れも指摘されている」

 

現在のPCR検査は1台当り最大で1日250件だけだという。今回登場の新技術では、「無限」となろう。これで、「三蜜」が立ちはだかったイベントも復活できる。定期的にこれで検査を受ければ、感染の早期発見が可能となる。まさに、画期的手法の発見である。