a0960_008399_m
   

韓国文大統領は、新型コロナウイルスを「征服」したと自画自賛した。「K防疫」と称して鼻高々だった。現在は、「コロナ2期」の状態で悪戦苦闘中である。何ごとも、早とちりで自慢したがるというのが、文氏の性癖だ。

 

この早とちりは、外交面でも顕著だ。ジョン・ボルトン前米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の回顧録は、文大統領の朝鮮半島非核化構想を「統合失調症患者のような考え」と低俗な表現で批判した。現在の南北関係悪化の原因は、文氏の早とちりを北朝鮮の金正恩国務委員長が鵜呑みにし、「米朝会談成功」という予断を持ったことである。文氏は、大統領になるべき人でなかったことが、ますます顕著になっている。

 

『中央日報』(6月23日付)は、「『K防疫』という危険な自画自賛」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のナム・ジョンホ論説委員である。

 

(1)「これまで韓国政府は「K防疫」うんぬんしながら韓国が新型コロナ遮断の模範国だと自画自賛してきた。米国、イタリア、フランスなど防疫に失敗した西洋の先進国と比較し韓国を優等生と描写してきた。果たしてそうだろうか。周辺を見よう。韓国から近いアジア太平洋地域には北朝鮮を除き21カ国が属している」

 

文大統領は、韓国の「広報マン」である。一方では北朝鮮の「代理人」の役割もする。広報マンとしては、「K防疫」とまで命名して世界宣伝に使った。北の「代理人」では、北の立場を世界で広報して歩いた。今になって見れば、「広報マン」も「代理人」も失格した。実態にそぐわない、「誇大宣伝」であったからだ。

 

(2)「ここで人口比の感染者を数えると韓国の防疫成績はあまりにみすぼらしい。21カ国中16番目、下から6番目だ。22日現在で韓国の100万人当たり感染者数は241人。これより多い国はシンガポールの7212人、ブルネイの336人、オーストラリアの296人、マレーシアの270人、フィリピンの267人程度だ。それなのに文在寅大統領は「韓国は防疫で世界を先導する国になった」と自慢する。さらに当局は1200億ウォン(約106億円)に上るK防疫広報予算まで組んだ」

文氏は、4月15日の総選挙目当てに「K防疫」なる言葉を使ったことが分かっている。国民も世界も一瞬、惑わされたに過ぎなかった。折から、日本の感染者が増加し始めていたので、これと対比して「成功談」に仕立てたのだ。この辺りのセンスは、立派な「広報マン」であろう。しかも106億円もの広報予算を組んでいる。PR会社顔負けの早業だ。

 

(3)「こうした虚勢が言葉で終わればまだ幸いだ。だが誤った宣伝は国民を危険に陥れる。政府と与党は4月の総選挙直前に新規感染者が20人以下に減るとすぐに新型コロナ遮断に成功したと宣伝し始めた。これにより国民の緊張とソーシャルディスタンスが緩んだのは当然だった。今月初めに防疫専門家らが「前半戦も終わっていないのにK防疫を輸出しようというのはシャンパンをあまりに早く開けたもの」と警告したが効果はなかった。結果はどうだったか。最近目撃しているように1日の感染者が70人近くに増え第2波を心配することになった。外信の見方も冷たくなった。数日前に「ウイルスの復活が韓国の成功談を脅かす」というAP通信の記事が配信されると多くの海外メディアが先を争って掲載した」

文大統領の「K防疫」宣伝は、総選挙で与党を大勝させたが、国民に気の緩みを生んだ。これが、現在の早すぎる「コロナ第二波」を生んだ背景である。外国通信社からは、韓国の成功談に疑問符をつける報道が始まった。みっともない話である。これが、韓国の実相と言うべきだろう。

 


(4)「韓国政府の性急な判断と騒がしい宣伝で損なわれるのは国民の健康だけではない。南北問題も同じだ。韓国政府が誤った認識を広めたために南北関係と非核化問題は崖っぷちに追いやられた。韓国政府は朝鮮半島に平和が来たかのように絶えず宣伝してきた。2018年9月の青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)元老会議で文大統領は「北朝鮮は核・ミサイルをさらに発展させ高度化させる作業を放棄した」と主張した。北朝鮮はしかし北朝鮮版イスカンデルミサイルなどの発射実験を継続してきた。米国が心配する潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)実験も近く行われそうだ」

 

文大統領は、社会派弁護士出身である。弱者の言い分をそのまま法廷で代弁して勝訴してきたのであろう。外交問題では、そういうセンスが邪魔になる。相手の意図を探らなければならないのだ。それは、弁護士よりも検事のセンスが光る局面であろう。文氏には、そういう「眼光紙背に徹する」という冷徹な面がゼロである。お涙頂戴の社会派では勤まらないのだ。

 

(5)「韓国国民だけでない。文政権は北側に誤った情報を入力して交渉をだめにした可能性が大きい。朝日新聞によると、金正恩は昨年2月のハノイでの米朝首脳会談の際に文大統領のアドバイスを信じて寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄を提案しメンツをつぶされたという。当時金正恩は「寧辺さえ閉鎖すれば米国が制裁を解除するだろう」という話を信じたということだ

 

文氏に検事のセンスがあれば、こういうミスを冒すはずがない。これが、南北関係を決定的に悪化させた。文氏の言葉を鵜呑みにした、正恩氏にも甘さはある。だが、南北融和という世紀の大事業に対して準備不足は明らか。日本との情報交換もしないで、ふんぞり返っていた咎めが出たものだ。

 

(6)「このように文大統領から冷静な現実の代わりに甘言式希望事項ばかり並べたために南北だけでなく米朝関係悪化に南北連絡事務所爆破のような惨事が起きたのだ。韓国政府が北朝鮮の欺瞞的非核化主張を見抜きその本音をしっかりと知らせたなら170億ウォンの連絡事務所が作られただろうか。政権が甘い話ばかり並べていては迷夢から目覚めた国民の憤怒と審判を避けることができなくなる」

韓国メディアは、文氏による「甘言式希望事項を並べ立てる」ことを、「希望的拷問」と呼んでいる。希望だけ持たされて、後に裏切られることが拷問に等しいと言うのだ。文氏は、大統領就任以来、ずっとこの「希望的拷問」を続けてきた。最低賃金の大幅引き上げによる韓国経済好転説や南北統一事業も、すべて希望的拷問である。世にも珍しい大統領である。