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三峡ダムは、研究者によって大洪水による危険情報が出ている。その後、警戒水位を2mも上回っていることが判明した。上流の重慶市では、史上最大規模の大洪水で避難警告が出ている。緊急情報ゆえ、2日連続で三峡ダム関連記事を掲載する。

 

『大紀元』(6月23日付)は、「重慶市『史上最大規模の洪水』を警告、三峡ダムは警戒水位2m超」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国四川省重慶市の水利当局は6月22日午前11時50分、最高級の洪水紅色警報を出した。市は、豪雨や長江水系の河川である綦江(きこう)の上流側での急激な増水により、重慶市の綦江の部分で、今後8時間内に「史上最大規模の洪水」に見舞われると警告した。中国メディアによると、1940年に設置された重慶市水文監測総站が「洪水紅色予警」を発令したのは、開設以来のことだ。市内江津区にある綦江の五岔站の水位は、警戒線より5.7メートルから6.3メートル上回ると予測した。市民4万人は避難したという」

 

かねてから、重慶の下流にある三峡ダムができれば、重慶市に大洪水が起こると建設前に警告されてきた。それが現実化する懸念が強まった。「史上最大規模の洪水」という警告が、これを物語っている。最悪の場合、三峡ダムを爆破しない限り、重慶市を大洪水から救えない、と前記の警告が発した結論である。詳細は、後で取り上げる。

 


(2)「重慶市南川区気象局は6月22日早朝3時50分、大雨警報にあたる「暴雨橙色予警」を発令した。同日午前8時までに、南川区の雨量が129.mmに達し、冠水が発生したという。集中豪雨の影響で、重慶市の南万高速道路(南川区から万盛区)の一部が崩壊した。中国水利部(省)の最新発表では、全国各地の198本の河川の水位が警戒線を超え、洪水が発生した」

 

揚子江(長江)が、大洪水を引き起こす「舞台」である。三峡ダムは、この中流に建設された。大河の真ん中にある山峡ダムだから、この上流と下流に被害が及ぶ構図である。重慶市は、三峡ダムの上流になる。

 

(3)「中国国営中央テレビと中国紙『北京青年報』は21日、湖北省宜昌市の三峡ダムの水位が引き続き上昇していると報道した。長江上流での豪雨の影響で、21日までに、同ダムの水位が147メートル上昇した。三峡ダムを運営する三峡集団によれば、ダムの洪水防止最高警戒水位は144.99メートル。現状では、警戒水位を約2メートル超えた。中国中央気象台によると22日、22日から25日にかけて、長江中下流の地域では引き続き大雨になると予想される

 

長江中下流の地域では、22~25日にかけて大雨の予想となっている。三峡ダムの水位は、すでに警戒水位を約2メートル上回った。危険である。

 


『看中国』(6月19日付)は、「三峡ダム危機、最悪の場合、中国の4分の1が水没」と題する記事を掲載した。

 

三峡ダムは、中国政府が「百年の大計」として鳴り物入りで建設した世界最大規模を誇るダムである。四川省重慶市から湖北省宜昌市まで長江の中流域においても、とくに水流が激しい「三峡」と呼ばれる場所に16年の歳月をかけて建設され、竣工したのは2009年だ。

(4)「最近、中国南部では大規模な洪水が多発しており、148の河川が警戒レベルを超えた。こうした中、長江中流にある三峡ダムは変形という深刻な問題を抱えている。 三峡ダムに詳しい専門家王維洛博士が以前、三峡ダムは金城鉄壁(きんじょうてっぺき)ではなく、動かされていることを明らかにした。もし崩壊した場合、その下にある宜昌(イーチャン)は70万人の命が奪われるだろう。また、黄万里研究基金会の司会者である黄小路氏は、三峡ダムが破滅的な特大災難を招く恐れがあると警告している」

 

三峡ダム建設がもたらす被害は、すでに学者から警告されていた。三峡ダムが崩壊した場合、下流にある宜昌(イーチャン)では、70万人の人命が奪われるとしている。

 

(5)「中国共産党水資源部の関係者は6月11日記者会見で、中国本土は現在洪水シーズンに入っていると述べた。 今年の降水量は例年よりも6%多くて、計19回の激しい降水記録が更新され、148の川が警戒レベルを上回る洪水が発生した。

6月11日、三峡ダム上流の重慶市は、非常に激しい雨に見舞われ、当局は大雨特別警報を発表した。

6月17日、三峡ダム下流にある四川省丹巴県堰塞湖のダム崩壊により、周辺の村が全部水没され、大きな被害を受けている」

 

三峡ダムの上流にある重慶市では大雨に見舞われている。下流では堰塞湖のダム崩壊が起こっている。三峡ダムについても楽観はできない状況となった。

 


(6)「中国の水利専門家で清華大学の水利教授であった故・黄万里氏は、1992年から1993年にかけて3回にわたって国家主席江沢民に手紙を出し、三峡プロジェクトの建設に反対した。黄氏は三峡ダムがもたらす12種類の壊滅的な結果を予測した。

1)より低い長江の主な堤防の崩壊

2)航海の妨害

3)移住問題

4)土壌汚染問題

5)水質悪化

6)発電不足

7)気象異常

8)頻発する地震

9)住血吸虫症の蔓延

10)生態系の悪化

11)上流の深刻な洪水

12)最終的には三峡ダムを爆発させざるをえない」

 

清華大学の水利教授であった故・黄万里氏が、三峡ダム建設による12の被害を計測して、当時の国家主席の江沢民氏に当てて、三度の手紙を出すほどの危機感を持っていた。政府は、これを無視して強引に完成させた。国威発揚が狙いで反対論を封じた。こういう経緯があったので、政府の中枢が竣工式に1人も出席しない異常さを見せ、話題になったほどだ。

 

すでに、1)~10)は現実の問題になっている。残るのは、11)上流の深刻な洪水、

12)最終的には三峡ダムを爆発させざるをえない、の2点である。いよいよ、これが中国の最重大課題として登場してきた。この不幸な事態に見舞われない保証はどこにもないのだ。