a0960_008779_m
   

中国最大都市・重慶が洪水の危機

主要経済指標に復活の兆候はなし

4~6月期のGDPマイナス成長

習氏は愛国心強調で領土拡張戦略

 

新中国になってから、「9」の付く年は不思議に不幸が襲っている。この10年周期の「不運」の裏に、景気の落込みがあった。10年周期の景気停滞は、設備投資の10年周期(ジュグラー・サイクル)を裏付けるものだ。この現象は、正常な経済環境で起こるものである。

 

現在の中国には、さらなる経済攪乱要因が加わっている。米中経済対立、新型コロナウイルスの発症、異常現象などが襲っている。異常気象では、モンスーンが例年より強く中国南部を中心にして大洪水をもたらしている。24省が、すでに洪水被害を出しているのだ。

 

中国最大都市・重慶が洪水の危機

最も警戒すべきは、揚子江(長江)の氾濫である。中国南部の重慶市は、当局から「史上最大規模」の洪水に見舞われるという警告が出た。重慶市は、人口3100万人以上(2018年)の中国ナンバー・ワン都市である。中国政府直轄4大都市(北京・上海・重慶・天津)の一つだ。その巨大都市が、「史上最大規模」の洪水となれば、被害のほどが想像できるであろう。

 

人口ナンバー・ワン都市が、大洪水に見舞われるとはどういうことか。重慶市の下流にある世界最大規模の「三峡ダム」建設による被害である。中国の清華大学水利学教授であった故・黄万里氏が1992~93年に、江沢民国家主席へ三度にわたって、三峡ダム建設中止の嘆願書を提出した。その理由の一つが、三峡ダムを破壊しない限り、重慶の大洪水は収束しないと指摘したことだ。その「魔の予告」が、いよいよ現実化する恐怖が迫っているのである。

 

三峡ダムは、6月21日までに警戒水位を「2m」も上回っている。三峡ダムが頑丈な構造であれば、自然崩壊は起こらず、破壊によらなければならない。人民解放軍兵士が4600人以上、警戒のために派遣されたとインターネットでは報じている。

 


中国の首都・北京では、コロナの第二波が起こっている。6月11日、食品卸売市場で新型コロナウイルスの集団感染が確認されたのが、きっかけである。北京市政府は、今後の感染拡大に備え、臨時医療施設やPCR検査実験室の建設工事を加速させることを計画している。『大紀元』(6月23日付)が入手した内部資料で明らかになった。輸入サーモンを感染原因に擦り付けている。これについて、専門家は首を傾げているが、「悪いことは外国が原因」という常套手段によるものだ。こういう無責任な態度だから、コロナ感染が続くのであろう。

 

北京市当局は6月23日、11~22日まで市内の感染者が計249人となったと発表した。北京関連の感染者は、浙江省、遼寧省、河北省、四川省、河南省と天津市で確認されている。当局は、市民に対してPCR検査をさらに強化する方針を示した。北京市内では、一部で封鎖が始まっている。武漢市と同じスタイルである。この影響がどこまで広がるのか。見当がつかないのだ。

 

コロナ禍で、すでに末端経済は疲弊しきっているのだ。先進国では、国民へ現金を支給して急場を凌ぐ対策を取っているが、中国政府にその動きはない。せいぜい、庶民に「露店経済」や「屋台経済」を復活させて、自活の道を授けるだけだ。この李首相のアイデアは、習主席直系の地方政府幹部やメディアの反対で立ち消えである。これでは一体どうするのか。中国南部ではモンスーンによる大洪水で、生活そのものが成り立たなくなっている。本来ならば、こういうニュースは一般メディアで報じられるはずだが、情報統制でブロックされている。

 

主要経済指標に復活の兆候はなし

中国には、こうして底知れぬ「ウミ」が溜まっていると見ざるを得ない。その実態を、僅かな統計数字で読み解くほかない。

 

中国の5月の鉱工業生産は、2カ月連続で増加した。5月は前年同月比4.4%増加。4月(同3.9%増)から見れば、伸び率が加速している。昨年12月以来の高い伸び率だ。「これで一安心」と行きたいところだが、そういう楽観論は成り立たない。次の理由による。

 

鉱工業生産が伸びた裏には、3月以降の鉄鋼生産拡大という事情がある。鉄鋼は、産業の大黒柱である。その二大需要先は、公共投資と自動車・電気製品の民需である。公共投資には鉄筋需要が、民需ではコイル(鉄板素材)需要が増える。現在は、鉄筋=公共投資需要が主力で、コイル=民需は依然として下火である。この鉄鋼需要の中身に従えば、公共投資は大洪水で工事ストップとなる。その後の復興需要があるとしても、需要回復には、タイムラグを生じるのだ。(つづく)