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北朝鮮は、これまで韓国を軍事脅迫してきたが突然の中止となった。米海軍が、3隻の空母を太平洋へ終結させたことに驚いた結果であろう。米空母の朝鮮半島接近は、北朝鮮にとって最大の軍事リスクに転化するからだ。

 

北朝鮮が、韓国へ軍事挑発すれば取り返しのつかない事態を迎える。金正恩氏も、実妹の跳ね返り行動を抑えざるを得なかったのであろう。改めて、「力には力を」という政策の必要性を示したと言える。相手の脅迫には、時に軍事力で対抗することも必要なのだ。

 

米インド太平洋司令部によると、「セオドア・ルーズベルト」と「ニミッツ」が6月21日、フィリピン海で作戦活動に入った。米海軍は、これら空母が第7艦隊に配備されると説明した。第7艦隊は、朝鮮半島を含む太平洋西側を作戦区域としている。第7艦隊はすでに横須賀を母港とする「ロナルド・レーガン」を保有している。その「レーガン」は、太平洋で訓練中だ。これに、「ルーズベルト」と「ニミッツ」が加われば、計3隻が朝鮮半島へ移動できる態勢だ。

 

北朝鮮は、米海軍の空母三隻の出撃態勢で、韓国への脅迫にブレーキを踏まざるを得なかった。軍事的暴走を仕掛けさせた主因の深刻な経済危機は、未解決のままだ。

 

『朝鮮日報』(6月25日付)は、「北朝鮮で内部引き締めショー、平壌まで3カ月間食糧供給が途切れ、市民の怒り爆発直前」と題する記事を掲載した。

 

北朝鮮が対北朝鮮制裁と新型コロナウイルスの長期化による影響で平壌市民に3ヵ月以上にもわたり配給を行えず、一部大都市で餓死者が出るなど最悪の経済難に直面していることが24日までに分かった。

 


(1)「専門家は北朝鮮が韓国に対する挑発に出た背景には「平壌のエリート層」の民心まで揺らぐほどの経済難で内部の動揺が高まり、状況悪化の責任を韓国に転嫁するためだと分析した。北朝鮮消息筋は同日、「黄海道から供給されていた首都米(平壌市に供給される食糧)の在庫が減少したほか、今年初めに中国との貿易が中断し、4月から平壌市民に3カ月間配給を行えない状況だ」と指摘した。また、平壌では6月初めから新型コロナウイルスが再び拡散し、市場が閉鎖され、住民の移動が規制されているという。食料価格が高騰する兆しを見せると、北朝鮮当局は食料価格を値上げした場合、食料を没収するといった強硬な価格統制措置を取っているとされる」

 

平壌のエリート市民すら4月から食糧配給がゼロである。経済制裁とコロナ禍がダブルパンチとなった。この危機感の原因は、韓国の「裏切り」にあるというこじつけであろう。

 

(2)「北朝鮮と中国の貿易に詳しい筋は「北朝鮮当局が食糧輸入を最優先し、貿易会社に食糧輸入を積極的に奨励している」と指摘した。北朝鮮当局はこれまで政権を支える党、政府、軍の核心階層が集まる平壌市を特別管理してきた。「平壌共和国」と呼ばれるほどだ。消息筋は「平壌での配給まで途絶えると、住民の間では『核のせいで制裁を受けている』とする不満が爆発し、金正恩(キム・ジョンウン)の政策に対する不信の声まで出ている」と話した。

 

北朝鮮のエリートは、「金ファミリー」の近衛兵のような役割を果たしている。この親衛隊が、不満を漏らす事態になって慌て出したのであろう。底の浅い北朝鮮経済である。

 


(3)「金正恩氏が67日、労働党の中核組織である政治局会議で「平壌市民の生活保障のための当面する問題」を話し合ったのは異例のことで、平壌の経済難を反映しているとみられている。幹部出身脱北者のAさんは「金正日(キム・ジョンイル)は苦難の行軍の時期に平壌市民と軍隊さえあれば体制を守れると考え、平壌に特別供給を行った。金正恩は平壌の民心まで失うのではないかと焦っているのではないか」と分析した。地方の状況は平壌よりもさらに深刻だ。金正恩氏が51日に開所式に出席した順川リン肥料工場も現在は稼働をストップし、労働者の給料も払えない状況だという。対北朝鮮消息筋は「平壌はもちろん、清津、咸興をはじめとする一部都市で餓死する人が出始めた」と指摘した」

 

順川リン肥料工場も現在は稼働をストップし、労働者の給料も払えない状況だという。現在は、田植えの時期であろう。肥料は必要不可欠。それにも関わらず稼働ストップである。農作物の収穫に大きな影響が出て当然だ。経済は、ますます逼迫化してゆく。餓死者が出始めているのだ。

 

(4)「特に新型コロナウイルス流行以降、今年15月の対中貿易はほぼゼロに近いとされる。国策シンクタンク関係者は「経済活動に必要な必需物資の輸入が途絶えるなど北朝鮮経済がまひする危機に陥っている」と述べた。現在の事態が長期化した場合、早ければ年内にも北朝鮮が保有する外貨が枯渇し、通貨危機が起きるとの見方もある。統一研究院のチョ・ハンボム上級研究委員は「最悪の経済難のせいで北朝鮮住民の不満が苦難の行軍当時の水準まで高まった。今回の韓国への挑発は経済悪化の責任を外部に転嫁する一方、中国と韓国から大規模支援を引き出すための脅迫目的だ」との見方を示した」

 

現在の経済状況(コロナ禍による貿易激減)が続けば、年内で外貨準備は底を突く見込みという。ここまで追い込まれても、なお、核開発を続ける北朝鮮とは何か。単純に、食糧贈与すれば済む問題でないのだ。