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ベトナムは親日国である。TPP11(環太平洋経済連携協定)復活では、日本と協力して米国が復帰できるように当初の条件をほぼ変えず実現に奔走した。理由は、中国嫌いであることだ。中国の影響をできるだけ薄めるには、TPP復活が最大の壁になると見たからだ。

 

こういう経緯から、今回の新型コロナウイルスが拡大するやいなや、いち早く中国との国境を閉鎖して被害を最小限に抑えた。6月16日時点で新型コロナの感染者数はわずか334人で、驚くべきことに死者はゼロである。こういう背景で、日本との人的交流を開始した。

 

日本からの臨時便が6月25日午後、ベトナム北部の空港に到着し、日本人駐在員や出張者およそ150人がベトナムに入国した。ベトナムへの臨時便は、26日と27日にも運航され、3日間でおよそ440人の日本人がベトナムに入国する予定だ。ベトナムは、日本における実習生の活動再開につなげる計画。お互いに「持ちつ持たれつ」の関係である。

 

ベトナムでは現在、およそ300人の実習生が日本への出国を待ちわびている。去年1年間に、ベトナムから海外に送り出された労働者は、15万人余りに上り、このうち半数を占めるおよそ8万人が技能実習生などとして日本に渡った。「日本人気」は高いのだ。

 


『ロイター』(6月17日付)は、「
ベトナムが脱コロナ『ひとり勝ち』感染抑制と成長両立」と題するコラムを掲載した。

 

ベトナムは新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込み、今年の経済成長率が世界最高水準に達しようとしている。世界的に貿易が落ち込む中で、サプライチェーンの「脱中国化」を進め、米中の政治的対立に巻き込まれたくない企業にとって、頼りがいのある国に見えるだろう。コロナ危機の最大の勝者は、ベトナムになりそうだ。

 

(1)「ベトナム政府による果敢なコロナ対応は功を奏した。中国と1400キロにわたり国境を接するが、世界保健機関(WHO)によると、6月16日時点で新型コロナの感染者数はわずか334人で、驚くべきことに死者はゼロ。しかもこの数字は信用できるようだ。グーグルの移動データによると、職場や住宅地の活動は、感染拡大前の状態に回復。5月の製造業活動は前月から改善し始めた」

 

ベトナムが、中国と1400キロにわたり国境を接するが、コロナ発症ニュースでいち早く国境を閉鎖したことが幸いした。それと、潜在的な「中国嫌い」であることが功を奏したと言えよう。韓国とは対照的な存在である。韓国は、未だに中国へ宗主国として対応するが、ベトナムは歴史的に中国と対抗してきたので「同等意識」が、非常に強いのだ。

 

(2)「グエン・スアン・フック首相は、今年の成長率について5%の目標を掲げている。昨年実績の7%には届かないが、コロナ感染の下では野心的な数字だ。観光業が国内総生産(GDP)に占める割合は10%以下に過ぎない。世界的に需要が低迷し、国境を越える移動は事実上、凍結されており、第2・四半期の成長率は過去10年で最低だった第1・四半期の3.8%から大幅に落ち込むだろう。だが、そうだとしても、ベトナムは2020年の成長率がプラスと予想される数少ない主要国の1つとして際立っている。世界銀行は同国の2020年成長率を2.8%と予想した

 

ベトナムは、GDPに占める観光業のウエイトが10%以下で、製造業のウエイトを高めている。世界におけるサプライチェーンの「脱中国」先の一つとして、受け皿になっている。賃金安も手伝い、これから急成長が望める新興国のホープに躍り出た。すでに、ベトナム戦争で戦った米国との関係も修復した。ベトナムの「脱中国」が、米国企業を引き寄せている。

 

(3)「若者層が多い人口構成や企業寄りの政策のおかげで、韓国のサムスン電子のような製造業大手が以前から進出している。ナティクシスのエコノミスト、チン・グエン氏によると、過去5年間の海外輸出におけるシェアの伸びは東アジア地域で最も高い。すでに過去最高水準にある外国からの直接投資額が、さらに加速するのは間違いない。新型コロナに鮮やかな対応を示したことで、製造業の誘致を望みながらコロナ対策に苦闘するインドなど他の国に対して、優位に立つだろう」

 

ベトナムが、コロナ禍をいち早く脱したことは大きな経済成長要因になった。新興国では、インドと経済的なライバル関係であるが、有利な立場を固めた。こういう中で、日本との関係強化はさらに後押しになろう。