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中国は博打が好きな民族である。古来よりすべてを投機対象にしてきた。コオロギから白菜までが金儲けの対象になる。賭け麻雀発祥の国らしい振る舞いである。

 

現在は、投機対象が半導体に移った。不動産バブルを見限って、バブル資金が半導体企業投機に移動しているのであろう。こうなると、不動産相場を支えた投機資金が姿を消せば、不動産暴落という最悪事態を迎える。中国最高指導部7人は雲隠れしている場面でなくなるはずだ。

 

『ロイター』(6月28日付)は、「中国半導体にバブル到来か、対米摩擦で政府が国産支援」と題する記事を掲載した。

 

米国が中国のハイテク企業に対する締め付けを強化し、この分野で米中の主導権争いが激化する中、中国の半導体産業が投資ブームに沸いている。株式価値は上場企業、ベンチャーが支援する企業ともに高騰し、バブルの域に達しつつある。

 

(1)「上場している中国半導体企業45社は、株価収益率(PER)が100倍を超え、株式市場で最も割高なセクターとなった。かつて消費者向けインターネット株に集中していたベンチャーキャピタルも半導体企業に関心を転換、未上場企業の案件に群がっている。ゼロ2IPOのデータによると、半導体セクターへのベンチャー投資は2019年までの2年間で220億元(31億1000万ドル、約3327億円)と、ほぼ倍増した。創業6年のワイヤレス充電用半導体メーカー、ニューボルタのジンビャオ・フアン共同創業者は「政府だけでなく、民間セクターも含め、中国ではだれもが半導体関連への投資を試みている」と言う」

 

中国半導体企業45社の株価収益率が、100倍を超えるという事態だ。米中冷戦を逆手に取って、半導体へ政府が資金を投じるだろうという期待先行の投資である。

 

(2)「多くのスタートアップ企業はまだ製品を製造していなかったり、長期的な企業価値を実証していなかったりするため、実態と比べた資産価格バブルを警戒する声もある。しかし、政府は国内育ちの半導体産業の支援をさらに強化しており、米中摩擦にも終わりが見えない中、投資熱は強い。半導体スタートアップ企業、ネクストVPUの創業者、アラン・ペン氏は「10年前であれば、中国の半導体投資家は2つのテーブルに収まっただろう。今では同じ2つのテーブルに数百人の投資家がひしめき合っている状況だ」と話す」

 

政府の半導体自給率目標は、2025年で70%である。実態は次のような低調である。2024年で20%そこそことされている。中国の半導体が育つには、資金よりも技術基盤がないことだ。米国は、ここを突いている。中国への技術流出にFBIを使ってまで目を光らせている。中国人留学生の動向にも最大限の注意を払っているのだ。その点では、米中は「開戦状態」である。こういう中で、中国の半導体が簡単に育つ期待は持ちにくい。

 

(3)「民間投資家は以前、資本集約的なセクターを敬遠し、インターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)や食品配送の美団点評など、急成長する消費者向けネット企業に好んで投資した。しかし、ネット業界の成長が頭打ちになるに従い、投資家は代替的な投資先を模索。米国が中国に関税を課したことや、通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)、その他の中国企業による米ハイテク品購入を米政府が国家安全保障の理由で制限し始めたのもきっかけに、受け皿となる新たな選択肢が開かれている」

 

中国投資家が、ファーウェイの発展性に疑問を持ち始めているという。米国のソフトや技術の輸入が大幅に制限される結果である。この読みは正しいが、ファーウェイの発展にブレーキがかかった背景は、そのまま半導体企業の発展にブレーキになるという連想ができないようである。ファーウェイが発展できずに、半導体企業の発展が可能になるはずがない。

 

(4)「この結果、中国半導体企業株のバリュエーションは急騰した。大半は世界的な知名度の乏しい企業だ。光学用半導体のスタートアップ企業、ノース・オーシャン・フォトニクスは、2017年にエンジェル投資家から資金調達した際、企業価値評価は数千万元だった。それが今年3月の直近の資金調達を終えた際には10億元を超えたのだ。「突如としてこのセクターに資金が押し寄せている」とベンチャー投資家は言う」

 

エンジェル投資家は、スタートアップ企業に莫大な資金を投じている。2017年に資金調達した際、ノース・オーシャン・フォトニクスの企業価値評価は数千万元であった。今年3月の直近の資金調達を終えた際には10億元を超えているという。金融緩和でだぶつく資金が、半導体投機に向かっている

 

(5)「上場企業の株価も急騰した。多くは中国版ナスダックと呼ばれる、上海証券取引所の「科創板(スター・マーケット)」で取引されている株だ。多くの企業は実績も欠いている。年内に科創板への上場を計画するAI用半導体企業、カンブリコンの目論見書によると、2019年決算は売上高が4億4400万元なのに対し、純損益は11億8000万元の赤字だ。同社はファーウェイがらみで事業を失い、今は売上高の約半分を1つの地方政府支所に依存する」

 

半導体投資の経験者は「彼らにこれといった実体的な顧客は存在せず、大きな赤字を出している。それでも政府がAIと半導体を支援したがっているために、彼らは上場審査を通ることできる」と語った。半導体製造装置のアドバンスト・マイクロ・ファブリケーション・エクイップメント(AMFC)の株価は1月から150%も上昇し、PERはなんと540倍に達したという。

 

にわか「半導体国家」を目指す中国である。基礎科学基盤を欠き模倣だけで生きて来た国である。世界覇権を握ると言い出した中国が、自力で技術開発する力が付くのはいつか。見通しはないのだ。