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韓国の民主政治がどういうものか、第21代国会の開会でその惨状が曝け出されている。与党「共に民主党」は、6割の絶対多数を占めて横暴な国会運営に乗り出している。政権支持メディアの『ハンギョレ新聞』までが呆れるほどだ。

 

1987年の民主化以来、与野党の議席数によって常任委員長を配分してきた。ところが、与党はこの慣例を無視して、国会常任委員会の独占を決めた。民主化によって成し遂げられた30年以上続いた国会の原則と伝統が、民主化勢力を自認する政権によって崩壊した。国会は今後、与党出身の国会議長と副議長だけで運営されることになる。国会議長が、野党議員を勝手にどこかの常任委員会に振り分け、強制割り当てを行うという事態も再び起こった。軍事独裁政権もやらなかったことだ。『朝鮮日報』(6月30日付)は、以上のように社説で憤っている。

 

この体たらくの韓国政治が、日本批判をやっている。『聯合ニュース』によると、大統領府高官は6月29日、韓国のG7昇格に日本が反対しているとの報道に対して、「隣国に害を及ぼすことに慣れている日本は、誤りを認めたり反省したりすることのない一貫した態度にこれ以上驚くこともない」というのだ。はなはだ不遜な発言である。先の国会運営の混乱と合せて、韓国政治の低俗性に嫌気がさすのだ。



文政権支持メディアの『ハンギョレ新聞』(6月30日付)は、「『三権分立への脅威』与党に負担、補
正予算処理後に国会正常化か」と題する記事を掲載した。

 

(1)「『毒入りの聖杯を持った』。6月29日、『共に民主党』が常任委員長の全ポストを独占することになったのを受け、内外ではこのような評価が出ている。思い通りに常任委員会を動かすことはできるが、権限と同じだけの責任が伴い、負担もより大きくなるのは避けられない。与党はこれまでの「野党による足の引っ張り」から脱して責任政治を行うと意気込んでいるが、専門家らは立法府が行政府と司法府を牽制する「三権分立」の原則が第21代国会で崩れることがありうるという懸念を示している」。

 

韓国与党ほど、言行不一致の政党は珍しい。口では、教科書のような立派なことを言い、やっていることは下劣そのもの。議長・副議長・常任委員長全ポスト独占など、野党の入り込む余地のない与党独占国会である。これが、韓国民主主義の掛け値なしの姿であろう。

 

(2)「常任委員長の選出を強行した背景には結局、巨大与党の「自信」が作用したと分析される。亜洲大学のカン・シング政治外交学科教授は「野党がぐずぐずしているから我々(与党)が強く出ても国民は悪く言わないだろうという立場が作用したようだ」と述べた。しかし、今のような巨大与党独走体制を長く続けていくのは、民主党にとっても負担が大きい。「野党真空」状態では、些細なミスでも与党には大きい負担にならざるをえない」

 

与党「共に民主党」は、絶対多数の議席を背景にして、やりたい放題の政策を行なうだろう。経済政策は失敗し、南北問題も破綻した。文政権は、何一つ成果を上げられぬまま、国会で数を頼んだ議会運営を行い、さらに失敗するであろう。

 

(3)「西江大学のソ・ボクキョン現代政治研究所研究員は、「民主党の立場としては、危険な状況になったといえる。経済や南北関係を管理できなければ、100%大統領府、政府、与党の責任となる」とし、「民主党の立場としては、こうなったら徹底的に制度と法を守っていかなければならない。一歩でも曖昧に通り過ぎれば、ただちにバックラッシュ(反発)が途方もなく強くなるだろう」と指摘した」

 

今回の総選挙で大勝したが、ひとえに「コロナ勝利」であった。選挙民は、コロナの襲来で国難意識が高まり、激流で馬を乗り換えるリスクの大きさを避けただけとも言える。経済政策も外交政策も失敗しているだけに、勝てる要因はなかったのだ。まさに、「コロナ勝利」に尽きる。

 

こういう偶然の勝利を誤解して暴走すれば、選挙民が呆れることは当然であろう。次回大統領選で、与党は野党に転落する危険性が大きいのだ。そういうリスクの存在になんら気付かずにいるところが、幼稚と言えば幼稚な振る舞いに見えるのである。

 

「今やわが国は、形は選挙の行われる民主主義国家のように見えるが、実際の国家運営は一党独裁と何ら違いがない。おかしな国になりつつある」(『朝鮮日報』6月30付社説)と、嘆いている。私は韓国進歩派の本質について、「保守退嬰」と規定してきた。これが、間違っていないことに一段と確信を深めるのである。