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文大統領にとって、南北交流促進を狙った大胆な「北朝鮮専用人事」を行なった直後の7日に、驚天動地の判決がソウル中央地裁から出た。

 

裁判所が、朝鮮戦争当時、北朝鮮に連行され、強制労働に服した2人の元韓国軍捕虜に対する北朝鮮と金国務委員長の賠償責任を初めて認めたのだ。これを契機に、多くの告訴が予想される。韓国軍捕虜だけでなく、哨戒艦「天安」爆沈など、北朝鮮による違法行為で被害を受けた韓国国民が北朝鮮を相手取り、損害賠償請求などの訴えを起こすことが今後相次ぐと観測される。『朝鮮日報』(7月8日付)が報じた。

 

元韓国軍捕虜に対する北朝鮮の賠償責任を認めた判決は、日本の旧徴用工賠償判決と同じ判例である。文大統領は、旧徴用工問題に対しては「司法の判断」の一点張りで政治的解決を忌避してきた。今回の元韓国軍捕虜に対する北朝鮮の賠償責任は、「司法の判断」で逃げれば、北朝鮮がいかなる恫喝をしてくるか分からない。南北交流など、夢のまた夢である。文大統領が窮地に立たされた。

 

『中央日報』(7月8日付)は、「『日本強制動員賠』判決と類似、脱北国軍捕虜判決、南北関係に大きな波紋呼ぶ可能性」と題する記事を掲載した。

 

(1)「7日、ソウル中央地方法院は国軍捕虜出身の2人が北朝鮮と正恩氏を相手取り起こした損害賠償請求訴訟で原告勝訴の判決を下した。損害賠償認定額はそれぞれ2100万ウォン(約189万円)。2審の結果と大法院の判決まで見守らなければならないが、北朝鮮の反人道的犯罪に対する記念碑的な判決という評価だ。特に、正恩氏が控訴できない状況でこの判決が確定する場合、南北関係に別の変数として作用する場合があるとの見方が支配的だ

 

旧徴用工賠償判決で文政権は、すべて「日本の責任」としてわれ関せずできた。今回の北朝鮮の賠償責任で、同じ態度を取れるだろうか。南北関係にとっては「核爆弾」が落ちたようなものである。となれば、南北関係改善という文政権の立場から、政府が介入せざるを得まい。旧徴用工賠償判決も同じ判例であるから、文政権が国内問題として処理せざるを得まい。大逆転劇である。

 

(2)「まず、国軍捕虜の追加訴訟が予定されている。今回の国軍捕虜訴訟をサポートした市民団体によると、身元が確認されている韓国内の国軍捕虜は合計80人になる。生存者23人のうち2人が今回訴訟を起こして勝訴した。市民団体は残りの生存者21人をはじめ、故人になった57人の国軍捕虜遺族の意思を確認した後、追加訴訟を進める方針だ」

 

今回の判決では、2人の原告に対する判決である。追加訴訟として80人が加わると見られる。これも同様の判決だろう。

 


(3)「今回の判決は先月の朝鮮戦争勃発70周年に合わせて提起された北朝鮮による韓国人拉致被害者損害賠償訴訟にも影響を及ぼす展望だ。韓国戦争の拉致被害者とその子孫13人がソウル中央地方法院に届出た北朝鮮に対する損害賠償請求額は約3億4000万ウォンだ。訴訟の支援を行っている保守指向弁護士団体イ・ホン弁護士は「追加訴訟を起こしたいという連絡が相次いで入っており、2次訴訟を準備中」と明らかにした」

北朝鮮による韓国人拉致被害者の損害賠償訴訟にも影響が出る見通しが濃くなってきた。

 

(4)「最近、北朝鮮が一方的に爆破した開城(ケソン)工業団地内の南北共同連絡事務所に対する被害補償を受け取る道も開かれたとみることができる。今回、国軍捕虜訴訟を進めたキム・ヒョン弁護士は「(原則的に)今回の判決で統一部が北朝鮮政府に対する損害賠償訴訟を国内裁判所に提起して被害の賠償を受けることができる道が開かれた」と説明した。今回の判決で国内裁判所を通した損害賠償の可能性の道が開かれたのだ。南北共同連絡事務所には工事費および改・補修費用、運営費として約300億ウォンの血税が投入された。また、9000億ウォン余りの財産を残したまま開城(ケソン)工業団地を離れてきた開城(ケソン)工業団地入居企業のほか、金剛山(クムガンサン)観光50年事業権や土地開発権など9229億ウォンを投資した現代峨山(ヒョンデアサン)なども訴訟が可能だ。約3万人に達する脱北者も訴訟が可能だというのが法曹界の見方だ」

 

北朝鮮が、先に爆破した南北共同連絡事務所に対する被害補償を受け取る道も開かれたと見られる。南北共同連絡事務所には、約300億ウォンの血税がつぎ込まれた。このほか、開城(ケソン)工業団地を離れてきた開城工業団地入居企業のほか、金剛山(クムガンサン)観光50年事業権や土地開発権などの賠償問題も持ち上がる可能性が出てきた。

 


(5)「2018年に大法院(最高裁に相当)は強制動員被害者に対して日本戦犯企業が損害賠償をしなければならないという確定判決を下した後、文在寅政府は「司法府の判断には政府が介入できない」という基本立場を守ってきた。これに伴い、北朝鮮政権および正恩氏に対する損害賠償責任を明示した今回の裁判所判決にダブルスタンダードを突きつけるのは難しそうな展望だ。このような事情で、最近南北関係で北朝鮮が問題視している「ビラ」とは比較できない「台風の目」になるのではないかとの分析も出ている」

文政権は、北朝鮮がらみの賠償判決に対し「司法の判断」として逃げられない立場だ。南北交流促進の題目を実現するには、韓国政府が「代位弁済」の形を取らざるを得まい。日本の旧徴用工賠償判決も「代位弁済」としなければ、バランスが取れなくなる。文氏は、最大の難問にぶつかった。