caedf955
   

中国経済は、予想以上に追い込まれている。パンデミックの影響と米中貿易戦争で、輸出が想像以上の停滞局面に落込んでいるからだろう。政府高官が世界貿易の循環から外れて、国内14億人市場での内循環経済=自給自足経済を言い出したのは、ただ事でない。本欄は、一貫して中国経済警戒論を貫いている。それにしても、ここまで追い込まれているとは、想像を超える事態だ。

 

この「内循環経済論」という言葉を耳にすると、思い出すのが「長征」である。中国共産党の紅軍が1934年10月に江西省瑞金を出発してから約1年間をかけて、翌35年10月に陝西省の呉起鎮(1937年から延安に移る)に到着するまでの行軍である。「2万5千里の長征」といわれ、現在もなお中国共産党の歴史として語り継がれている。この間、蔣介石の国民党軍の攻撃を受けながら大河や雪山を越え、紅軍は初めの8万6000の兵力が、最後にはわずかに8000に減少したという、苦難の行軍とされている。これは、中国共産党にとって不利ならば、あえて「敗走」も厭わないという戦術である。

 

「内循環経済論」が、この長征を意図するとすれば、中国経済の受けた打撃が極めて大きいという象徴的な事態が起こっているのだ。

 

『大紀元』(7月8日付)は、「中国高官『経済の内循環』『ドルと切り離す』と発言、鎖国を示唆か」と題する記事を掲載した。

 

米中関係は、新型コロナウイルスや「香港国家安全維持法」などの問題で悪化している。中国政府の高官は最近、米国と経済・政治の切り離しを示唆した。トランプ米大統領も6月18日、「中国当局との完全なデカップリング(切り離し)という政策オプションを維持している」と明言した。

 


(1)「中国共産党機関紙『人民日報系』の環球時報は73日、党中央対外連絡部の元副部長(次官)、周力氏の評論記事を掲載した。周氏は、中国と各国の関係、特に米中関係が悪化し、対立が激化する恐れがあるとして、「外需の激減、産業チェーン・供給チェーンの寸断」や、「ドル覇権からの脱却、人民元とドルの切り離しの実現性が徐々に高まってくること」に備えるべきだと唱えた。劉鶴・副首相も6月18日、上海で開催された経済フォーラム「陸家嘴論壇」の中で、「国内循環を主とした、国際と国内が相互に促進するデュアル・サイクル発展の新構造を形成している」との認識を示した」

 

中国経済は、外需の激減、産業チェーン・供給チェーンの寸断や、ドル覇権からの脱却、人民元とドルの切り離しの実現性が徐々に高まってくる。中国高官が、こう発言しているのは、いずれ顕在化する事態を事前に予告しているのであろう。最悪の事態では、中国経済がこのような状態へ追い込まれるはず。決して、「絵空事」ではないのだ。

 

劉鶴・副首相が、国内循環を主とした、国際と国内が相互に促進するデュアル・サイクル発展の新構造を形成しているとも発言している。これは、国際経済と国内経済を切断するという構想である。名ばかりの市場経済を廃して、国内は計画経済に戻すということだろう。中国が、ここまで決断せざるを得ないとすれば、経済は相当な悪化というべきだ。

 

(2)「中国金融学者の司令氏は76日、米『ラジオ・フリー・アジア』(RFA)に対して、劉鶴副首相らの発言について、「中国当局が、今までのように米国からうまい汁が吸えなくなると意識しているのではないか」と指摘した。同氏はまた、世界の基軸通貨である米ドルと人民元の切り離しは非現実的だとした。中国当局が周力氏を通して、「国民の不安を払拭する狙いだ」という。当局者の発言は、中国国内インターネット上で議論を巻き起こした」

 

中国はいざとなれば、14億人の国内市場で食いつなぐという決意を示した。だが、GDPに占める個人消費比率は40%を割っている。これに見合う固定資産投資であれば、マイナスに落込む。膨大な失業者が出るだろう。その失業者は、国が職場を割り当てるという悲惨な事態に陥るだろう。中国共産党の威厳と信頼は地に墜ちるはずだ。その不満は、監視カメラでチェックするというのか。呆れた話である。そこまでして、習近平氏の責任を回避して、国民に負担を背負わせるというのだ。

 

(3)「中国版ツイッターの微博では、「#経済内循環」に関する投稿が相次いだ。あるユーザーは、「上(指導部)は最近、経済内循環という新しい単語を作った。疫病のまん延で、地球村のすべての友達を失ったので、仕方なく一人で遊ぶしかない。これがいわゆる、経済内循環だ」とコメントを書き込んだ。別のユーザーは、「内循環とは何か?最新の医学用語の解釈によれば、患者がしゃべれなくなり、食事も水分もとれなくなって、点滴も外された時、医者は患者の家族に対して、患者が内循環(最期)に入ったと告げるだろう」とした」

 

内循環=巣ごもり経済であろう。パンデミックをもたらした罪は大きい。その咎を受けないはずがないのだ。輸出で外延的は発展を遂げてきた中国経済が、はたとその動きを止めるとなれば、国内経済への影響は計り知れない。すべては、習近平氏の民族主義による傲慢と無計画がもたらした災いである。習氏が、国家主席を辞めて再出発すべきなのだ。