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WTO(世界貿易機関)事務局長選が、波乱含みとなってきた。立候補者締め切り時間の直前、英国の前国際貿易相が立候補した。韓国にとっては、これ以上ない強敵の出現である。大統領府はこれまで、韓国の候補者が当選するような楽観論を流してきただけに大慌てである。日本に協力を求めたいような「口ぶり」すら漏らすほど。すっかり弱気になっている。日本は、これまでの日英関係から英国候補者を推すだろう。

 

今回の英国の候補者擁立には、日本などがWTO改革目的で推進した気配も感じる。米中貿易戦争の発端は、中国がWTOルールを無視していることにあった。WTOには、罰則規定がなく「やり得」という不公平さがつきまとっている。これを改善するため、日米欧の世界3極が、話合いをしてきた経緯がある。英国からの立候補は、その延長にあると見られる。

 

『聯合ニュース』(7月9日付)は、「WTO事務局長選の立候補締め切り、韓国・兪明希氏ら8人が名乗り」と題する記事を掲載した。

 

(1)「世界貿易機関(WTO)の事務局長選挙への立候補者受け付けが8日(日本時間9日未明)に締め切られ、韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長(次官級)をはじめとする8人の候補が出そろった。韓国とアフリカからの候補の対決になるとの見方もあったが、締め切りの数時間前に英国が候補者を立てるなど、結果の予想がつかなくなった。WTO加盟国・地域に対する各国の働きかけがこれから本格化する。兪氏以外の候補者の出身地は、英国、ナイジェリア、エジプト、ケニア、メキシコ、モルドバ、サウジアラビアとなっている」

 

英国からの立候補は、韓国にとって予想もしていなかったようである。WTO改革が迫られている以上、世界貿易における英国の重みは圧倒的である。英国が、締め切り時間ギリギリで立候補したという事情が興味深い。他国からの働きかけで立候補した「臭い」がするのだ。英国が自ら擁立するならば、もっと早い時間に届けたであろう。

 

(2)「韓国からの出馬はこれが3回目。中堅国の立場を強調し、支持を集めたい考えだ。利害関係が絡み合う米国、中国、欧州の間で中立的な役割を担うことができ、先進国と途上国間の橋渡し役にもなれるとアピールしていく。兪氏は25年間、通商一筋で歩んできた専門家であり、新型コロナウイルス対策で世界的に女性のリーダーシップが注目されていることも攻略ポイントに挙げられる。これまでWTO事務局長を女性が務めた例はない。一方、有力候補とされるナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相も女性で、アフリカからWTO事務局長が選出されたことがないという点でも有利とされる。ただ、アフリカ連合(AU)としての候補者一本化には至らなかった」

 

これまでは、ナイジェリア候補者が有利とされてきた。世界銀行専務理事も務めているからだ。英国候補者と一騎打ちになるのだろうか。韓国候補者は、そのキャリアで前記二国の候補者に比べて不利のように見える。

 

(3)「先進国の声を代表する欧州からは、モルドバのほかに、英国政府の推薦でフォックス前国際貿易相が名乗りを上げた。立候補者は15~17日のWTO一般理事会で所信表明演説をし、加盟国・地域からの質疑に応じる。候補者は徐々に絞り込まれ、全会一致方式で選出される。選出まで通常は半年ほどかかるが、現職のアゼベト事務局長が8月末に退任するため、選出を急ぐ可能性もある。兪氏は来週にも政府代表団とともにWTO本部を訪れる予定。韓国としては日本の対応も考慮する必要がありそうだ」

 

下線部のように、韓国は日本に協力を求めたい様子を滲ませている。しかし、WTO事務局長選挙では当初、日本へ高姿勢で臨んでいた。

 


「韓国青瓦台(大統領府)の金尚祖(キム・サンジョ)政策室長は7月1日、『兪本部長が(WTO)事務局長に就任すれば、韓国の利益を保護する重要な役割を果たすだろう』と述べ、『重要な選挙であり、十分に勝算はある』と自信をのぞかせた。『日本としては当然、韓国の候補がWTOの事務局長になることはうれしくないだろう』とも語った。日本が妨害工作を行うとの報道もあると指摘されると、『日本は自国の利益を守るため、さまざまな活動をするだろう。われわれも対応に総力を挙げる』と答えた」(『聯合ニュース』(7月1日付)

 

この発言を聞けば、日本をことさら意識していることが分かる。最初から、日本へ喧嘩を売っている感じである。ところが、先の記事では「韓国としては日本の対応も考慮する必要がありそうだ」と、トーンダウンである。日本に協力を仰ぎたいという意味か。「今さら」というのが、日本の言い分だろう。韓国は、実に外交が下手である。感情丸出し発言をして、後で困っているのが可笑しいのだ。