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文氏は7月に入ってから再び、日本非難の「アジ演説」を始めた。日本が昨年7月、対韓国輸出手続き規制強化をしたことを批判しているもの。「韓国は、日本の輸出規制をはね返して、無傷であった」と言いふらしている。日本は、輸出手続き規制強化をしたが、輸出量規制は一切、行なっていない。だから、韓国は無傷であって当然である。自慢する話でないのだ。

 

文氏は、アジテーターである。針小棒大、誇大宣伝などいくつかの形容詞がすぐに浮かぶほどだ。この調子で、韓国の産業自立化を叫んでいる。一国経済の効率性を考えれば、得意の分野を伸すのが理に適っている。「比較生産費原理」である。これを無視して、日本の得意分野へ挑戦しようとしている。コスト高を招き、成功するはずがないのだ。

 

『中央日報』(7月9日付)は、「日本の輸出規制から1年…文大統領『日本とは違い、世界サプライチェーン安定に寄与する』」と題する記事を掲載した。

 

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9日、日本の輸出規制から1年が経過した中、「大韓民国は危機をむしろチャンスとし、『グローバル先端素材・部品・装備強国』に飛躍していく」と述べた。

(1)「文大統領はこの日午前、京畿道利川(キョンギド・イチョン)のSKハイニックスを訪問し、「先端産業世界工場へ飛躍するための素材・部品・装備2.0戦略」を発表しながら、こうした考えを明らかにした。文大統領は「日本の輸出規制措置の中でも、官民の協力で核心素材を国産化するなど危機を克服してきた」とし「我々の経済に大きな打撃になるという懸念があったが、政府と企業と研究者が力を合わせ、これまで1件の生産支障もなく危機をうまく克服してきた」と強調した」

 

下線部は、全くの事実誤認である。日本は、輸出量規制を行なわず、輸出手続き規制の強化を行なっただけである。それを、さも輸出量規制を受けたようにすり替えている。「アジテーター」である。その昔、学生運動の先頭に立って、こういうウソを本当のように言いくるめる「話術」を磨いたのであろう。

 

素材の国産化は、簡単にできるわけでない。韓国の製造技術は、ほとんど日本企業の特許やノウハウを導入しているはずだ。韓国は、OECD(経済開発協力機構)の中で、技術貿易収支の赤字が最大の国である。それだけ、技術輸入が多いことを表わしている。日本は、米国に次いで技術貿易収支の黒字2位の国だ。韓国が、日本から技術導入していることを示唆するものだ。その韓国が、独自技術を生み出すことは容易であるはずがない。

 

(2)「文大統領は、「何よりも『為せば成る』という自信を得たのが大きい」とし「この自信がコロナ危機の克服でも大きな力になっている」と話した。続いて「我々は日本とは『違う道』を歩む」とし「グローバルサプライチェーンの安定に寄与し、国際社会と協力していく。これが我々の進もうとする『韓国の道』」と明らかにした」

 

下線部は、文氏の大風呂敷である。日本が半導体主要3素材の輸出手続き規制強化をしたのは、WTO(世界貿易機関)でも安全保障関係で認められた手法である。なんら、韓国から非難されるいわれはない。韓国を「ホワイト国」から外した問題も、日本の内政である。現に、EU諸国は韓国を「ホワイト国」扱いにしていないのだ。日本が、韓国を優遇し過ぎたのである。日本の「ホワイト国」扱いは、すべて「親日国」である。韓国のような「反日国」は、一ヶ国も含まれていないのだ。

 

韓国は、先端産業の世界サプライチェーンになると力んでいる。だが、コロナ後の世界経済は、大量生産に基づくサプライチェーン形成が、下火になると予測されている。第4次産業革命で、少量生産でもコストアップにならない生産方式を樹立したのだ。この分野では、ドイツが先駆けになっている。韓国は、こういう新しい製造業の方向について情報不足に陥っている。

 

韓国は、世界動向について先端情報を持たないで、韓国ニューディール事業を始めるという。多分、「ニューディール事業」という言葉に酔っているのだろう。政府が旗振りするよりも、民間の創意工夫を生かすべきだが、それを怠っており「規制大国」である。

 


『中央日報』(7月9日付)は、「
文大統領が直接発表する韓国版ニューディール『100兆使うなら100兆の効果は出さなければ』」と題する記事を掲載した。

 

政府から「韓国版ニューディール」計画案の報告を受けた文在寅大統領は、「短時間でグランドプランをしっかり作り上げた」との評価だ。新型コロナウイルスが雇用市場を強打すると政府は、当面の雇用を回復する対策とともに「ポストコロナ時代」の長期的な経済の柱を悩み始めた。

 

(3)「文大統領は7月13日、韓国版ニューディールの総合計画を直接発表する。4月に文大統領が「政府が特別な使命感を持って出てほしい」と注文してまだ3カ月も過ぎない時点だ。韓国版ニューディール事業には、今後5年間に100兆ウォン以上が投じられる見通しだ。当初計画より24兆ウォン以上増える。まず2022年までに、雇用55万件を作るのがニューディールの大きい目標だ。デジタルニューディールとグリーンニューディールを2本の軸として雇用セーフティネットを強化し、雇用を後押しするという構想だ。8日に青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)は「文大統領は最近まで韓国版ニューディールの詳細な内容を直接指揮した」と説明した」

 

2022年までに雇用を55万件増やすという。強引な最低賃金の大幅引き上げによる雇用喪失を回復させるに過ぎない。そのための予算措置として、今後5年間で100兆ウォン(約8兆円)以上を投じる。無謀な最低賃金の大幅引き上げをしなければ、出さずに済んだ財政支出である。無駄なことをしているのだ。

 

(4)「デジタルニューディール事業には、第5世代(5G)国家網拡散とクラウド転換、農漁村へのブロードバンドネット網と公共施設Wi-Fi構築などが盛り込まれる。グリーンニューディール分野では、親環境技術企業を支援し古い公共インフラを補修するグリーンリモデリング事業などを行う計画だ」

 

デジタルニューディール事業と、グリーンニューディール事業があるという。何か言葉遊びをしている感じだ。デジタル事業では、遠隔医療が医師会の反対で棚上げされているが、これを実行すれば済むこと。グリーンニューディール事業では、太陽光発電による膨大な土地の占有を止めて緑を復活させ、原発を元通りに稼働させれば済む話だ。既得権益集団の思惑で、無駄なことばかりやっている政権である。