ポールオブビューティー
   

中国経済が、相当の窮迫に見舞われている。本欄は、一貫してこの立場から中国情勢を観察している。万年強気で有名な王毅外相が、久しぶりに低姿勢になった。米中対立が、限界を超えているからだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(7月9日付)は、「中国外相、対米関係『最も深刻な試練』関係改善探る」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の王毅(ワン・イー)外相は9日、北京市で講演し、対米関係について「国交樹立以来、最も深刻な試練に直面している」と述べた。「中国は米国に取って代わったり対抗したりする意思はない」とも語り、関係改善を探る考えを示した」

 

下線を信じる者は誰もいまい。米国へ公然とスパイ活動を行い、技術窃取を続けている。周辺国の領土は略奪するなど、「盗賊行為」そのものだ。これだけ遣りたい放題のことを行い、不利になると豹変する。これが、中国共産党の「七変化」と言うべきだろう。

 

(2)「王氏は米国批判を抑え、「中米関係は世界で最も重要な2国間関係の一つだ」と訴えた。524日の記者会見では「米国の一部政治勢力が中米関係を人質にし、新冷戦にもっていこうとしている」と危機感をあらわにしていた。王氏が強調したのは中米間の対話の継続だ。「交流してこそ誤った判断を避けられる」として政府間だけでなく、民間企業や留学生など各分野での交流を続けるべきだと主張した」

 

王毅外相の524日の記者会見では、米国を批判する経済的なゆとりがあった。「米国の一部政治勢力が中米関係を人質にし、新冷戦にもっていこうとしている」と言ってのけたのである。今は、そんなふんぞり返ったことを言える立場でないのだ。米国が、これ以上「過激」にならぬことを祈る立場になっている。

 


(3)「中国が、歩みよりをみせている理由の一つとみられているのは、米国の中国への制裁案だ。
米上下院本会議は「香港の自治」の侵害に関わった中国共産党員や金融機関への制裁を可能にする「香港自治法案」を可決した。同法案は自治の侵害に関与した中国や香港当局者、関係機関への資産凍結やビザ(査証)発給の停止といった制裁に道を開く内容だ」

 

米国の香港制裁法によれば、「香港国安法」導入に奔走した人物の米国入国ビザを発給しない、となっている。王毅外相もその制裁に数えられているのだ。これは、一大事である。米国による制裁が、かなりダメージを与えているのだろう。だが、香港国安法を撤回しないで、米国制裁を緩めてくれとは言い難いこと。妥協を求めるなら、中国も案を出すべきであろう。

 

(4)「ポンペオ氏は、中国チベット自治区への訪問を妨害した中国当局者などにもビザの発給を止める措置も打ち出している。米国に子弟らを留学させるなど、米国とつながりを持つ中国共産党関係者は複数いるとされ、制裁が実行されれば脅威になるとの見方がある。実際に中国は米政府が中国人留学生らの受け入れ制限を検討していることに猛反発している」

 

中国最高指導部は、子弟を米国へ留学させるほか、資産も持込んでいる。米国の制裁案では、香港国安法成立に努力した人物の資産も凍結されるリスクが出てきた。これで大慌てしているのだろう。

 

(5)「中国教育省の報道官は612日、「正常な留学交流を政治問題にして汚名を着せることに断固反対する」と発言。この直前に中国政府は関係が悪化しているオーストラリアへの留学をやめるように国内に注意喚起を出していた。米国と豪州で正反対の対応をみせている。中国は南シナ海や東シナ海で強硬姿勢をみせて周辺国との摩擦を強めている。インドとも国境沿いで両軍の兵士がにらみあう緊張状態が続く。中国政府が香港への統制を強める香港国家安全維持法を巡り、EU(欧州連合)や日本も反発を強めている。米国との緊張を少しでも緩和し、対中圧力の強化をかわしたい思惑がすける」

 

中国は、苦しい立場へ追い込まれている。周辺国とすべて紛争の種を抱えているからだ。この上、米国と衝突したならば、逃げ道がなくなる。正面突破は不可能であるからだ。米国は、この状態を続けて中国経済の基盤にひび割れを起こさせるべきである。手を緩めてはならない。