テイカカズラ
   


韓国では、進歩派がすべてを牛耳る異常社会である。進歩派の行為はすべて正しく、保守派は邪悪な存在というのが、通り相場となっている。中でも、進歩派の牙城は市民運動である。そのゴッドファーザーとも言うべきソウル市長の故・朴元淳(パク・ウォンスン)氏が、自らのセクハラ行為を告発されて死を選ぶ驚天動地の事態に陥っている。

 

進歩派は、朴市長が自ら死を選んだ理由について語ることなく、ただその死を悼み壮大な「ソウル市特別葬」を営むとの発表に、反対論が殺到している。これを見ると、韓国社会にもまだ「常識」が残っていたのかという安堵感を与える。家族だけで静かに送ってあげるのが、健全な社会のあり方であろう。

 

『朝鮮日報』(7月11日付)は、「わずか15時間で反対請願30万、論争に火が付いた『朴元淳ソウル特別市葬』」と題する記事を掲載した。

 

極端な選択をした故・朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の葬儀手続きを「ソウル特別市葬、5日葬」とすることに反対する青瓦台(韓国大統領府)国民請願がアップされ、わずか一日で30万人以上の同意を得た。ソウル市が10日午前9時に関連方針を発表してから、わずか15時間でのことだ。

 

(1)「10日午前に青瓦台ホームページにアップされた「朴元淳氏の葬礼を5日葬、ソウル特別市葬とすることに反対します」というタイトルの請願は、翌11日午前0時15分現在でおよそ30万人の同意を得ていた。青瓦台(注:大統領府)の国民請願は、20万人以上が同意したら政府や青瓦台関係者などが公式答弁を行わなければならない。これに先立ちソウル市の金泰均(キム・テギュン)行政局長は10日午前9時ごろ、緊急のブリーフィングで「朴市長の葬儀はソウル特別市葬で執り行う。ソウル大学病院葬礼式場にて5日葬として執り行いたい」と発表した。ソウル特別市長が在職中に亡くなるケースは初めてで、ソウル特別市葬も初めてだ」

 

韓国では、大統領府の国民請願という制度がある。この請願に対して20万人以上が同意すれば、大統領府は何らかの回答を迫られる。大統領府にとっては、同じ与党の有力政治家の葬儀反対論だけに、難しい対応を迫られよう。強行すれば、一層の反対論を呼び起こすからだ。

 


(2)「青瓦台の請願掲示板に、「ソウル特別市葬として行ってはならず、静かに家族葬で執り行うべき」という請願がアップされた。請願人は「朴市長の死亡でわいせつ疑惑は捜査もされないまま終結したが、だからといってそれが潔い死であったと確信できるか」とし、「わいせつ疑惑で自殺に至った有力政治家の華麗な5日葬を、韓国国民は見守らなければならないのか」「静かに家族葬で執り行うのが適切だと思う」と主張した」

 

国民請願に掲げられた反対論は、まさしく正論である。公務執行中の死亡事故であれば、手厚く葬儀を行なうべきだろう。だが、今回のケースは全くの逆である。職場であるソウル市の部下に当る女性へのセクハラ事件が発端である。公務とは無関係である。こういう常識論が通用しないほど、進歩派の思考形式は唯我独尊スタイルである。驚くほど非常識である。

 

(3)「ソウル市関係者らの説明を総合すると、今回の葬儀をソウル市葬として進める根拠は、行政安全部(省に相当)が作った政府儀典便覧に出てくる「機関葬」だ。同便覧は、機関葬について「機関の長が在職中に死亡した場合や、機関業務の発展に特別な功績がある公務員が死亡したときに挙行することが一般的」と定義する。機関葬の対象には「現職の長・次官」を含めており、ソウル市長が「閣僚級」だということを考慮した-というのがソウル市側の説明だ」

 

ソウル市側の説明は、完全な形式論である。中身を問わず、現象だけを見て判断している点に決定的な間違いがある。このソウル市特別葬に賛成したとされる家族が、先ずこれを撤回すべきである。社会から奇異な目で見られる葬儀に耐えられるだろうか。

 


『韓国経済新聞』(7月11日付)は、「死は気の毒だが、真実を伏せるべきでない、ソウル市長の極端な選択」と題する社説を掲載した。

 

(4)「突然の死の前で側近の心情は十分に理解できるが、省察が不足した哀悼も憂慮される。李海チャン共に民主党代表は葬儀委員長を自ら務めながらも、セクハラ疑惑に対する言及は全くなかった。党役員や与党内外の有力者も同じだった。こうした姿は被害者に対する2次加害をほう助する結果になりかねない。遺族の同意の下で公開された遺書でも朴市長は「苦痛ばかり与えてきた家族に申し訳ない」としながらも、被害者に対する言及や謝罪はなかった。被害者は朴市長の極端な選択で苦痛から抜け出すどころか、もう一つの苦痛を受けることになった」

 

公開された遺書では、被害者への謝罪の言葉はなかった。被害者は、今回の告発が朴氏の死に繋がった点で、大きな苦痛を受ける立場だ。進歩派では、この被害者を捜し出すと広言するほど。韓国進歩派のおぞましい姿が余すところなく暴露されている。韓国女性市民団体からは、こういう被害者を公表する動きに一斉に反対している。

 

(5)「こうした状況でソウル市が家族葬ではなく葬儀期間が5日間のソウル特別市葬を決定したのも論議を呼ぶ。在職時の死去であり当然な礼遇というが、公務中の死ではなく個人の件で自ら命を絶ったというのにソウル大病院の葬儀場のほかソウル市庁舎の前に焼香所まで設置し、市民の大規模な弔問まで受けることにも批判が出ている。2002年に出版した本にあらかじめ書いた遺言状で、朴市長は「訃報も多くの人に知らせないのがよい」として生前に素朴な葬儀を望んだ。5日葬が果たして故人のためなのかも問わざるを得ない」

 

一連の騒ぎは、韓国民主主義の未成熟さを示している。進歩派を名乗るが、実態は単なる既得権益集団である。文政権は、こういう狭量な集団に支持されている政権だ。対日政策が行き詰まっても、何らの解決策も見出せないで時間を空費している。恐ろしく、無為無策の政権である。今回の国民請願に対して、どのような回答を寄せるか。