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韓国では、「二人の著名人の死」に対する文政権の対照的な動きが注目されている。お一人は、ソウル市長の朴氏である。もうお一人は、朝鮮戦争で北朝鮮軍の猛攻撃を少ない兵力を率いて撃退し、韓国を北朝鮮占領から守ったペク将軍の死である。現在、ソウルでは約900メートル離れた場所に、それぞれの焼香所が設けられている。

 

文在寅大統領は、朴氏に「大統領文在寅」と書かれた花輪を送った。ペク将軍には無反応である。この極端な例の中に、文政権が政治(朴氏)を重視し、安全保障(ペク将軍)を軽視するという思潮がはっきりと浮かんでいる。

 

『朝鮮日報』(7月13日付)は、「ペク・ソンヨプ将軍を弔問するのは大韓民国大統領の義務だ」と題する社説を掲載した。

 

(1)「享年100歳でこの世を去った6・25戦争の英雄、ペク・ソンヨプ予備役大将に各界から弔問と哀悼の声が相次いでいる。ペク将軍がいなければ、今日われわれが享受している自由と平和と繁栄はなかったし、大韓民国そのものが存在しなかっただろう。70年前に破竹の勢いで押し寄せてきた北朝鮮軍の前で、洛東江に最後の防衛戦を敷いたペク将軍は、恐怖におののく兵士たちに「われわれが引き下がれば米軍も撤収する。私が後退したらおまえたちが私を撃て」と言って先頭に立って突撃した。ペク将軍は8000人の兵力で北朝鮮軍2万人の総攻勢を1カ月以上防ぎ、戦況をひっくり返した。奇跡のような出来事だった。ペク将軍は仁川上陸作戦成功後、米軍よりも先に平壌に入城し、14後退後のソウル奪還の際にも先頭に立った

 

ペク将軍は、韓国を共産主義から守った英雄である。文政権は、その英雄の死に対して、国民を代表して弔意を表わすこともなく無視している。一方では、セクハラ疑惑で命を絶った朴ソウル市長に花輪を送る。余りにも落差の大きいこの行動に、文氏の人間性が現れている。文氏の人権論が、虚しく響くだけである。

 

文大統領が、このような極端な行動に出ている背景は何か。朝鮮戦争が、北朝鮮による民族統一という「聖戦意識」で臨んでいる結果であろう。ペク将軍は奮闘せず、北朝鮮軍に敗北して貰った方が良かったという認識だ。これが、韓国大統領と与党「共に民主党」の共通の考え方と言える。

 


(2)「この偉大な護国元老が、自ら命懸けで守り抜いた祖国から晩年に受けた仕打ちを考えると、惨憺たる思いがするどころか信じられないほどだ。左派執権勢力は彼が日帝強占期に日本軍にいた記録だけを強調し、機会があるたびにあしざまに非難し罵倒してきた。ペク将軍は日帝治下で生まれた。その世代の人たちにとって、大韓民国という国そのものが想像もできないものだった。今の観点からその時代を裁き、ペク将軍を「独立軍を討伐した親日派」と呼んでいる。ペク将軍は「当時は中共八路軍とは戦ったが、独立軍など見たこともない」と語ったにもかかわらず、その言葉は聞こうともしない」

 

韓国進歩派は、ペク将軍が日本軍に属したという理由で排撃している。日韓併合時代に生きた朝鮮人が、日本軍に入隊するのは不可避的な選択であろう。その経験があったから、北朝鮮軍を撃退できたのだ。こういう因果関係を無視した議論は、空論である。韓国進歩派は、空論を好む。事実を無視して、「反日」という一点でペク将軍の輝かしい業績をマイナス評価する。この偏向した人々に対しては、話す言葉すら失うのだ。

 

(3)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領はペク将軍のような人物ではなく、南侵の功績で北朝鮮で重用された人物を「韓国軍のルーツ」と呼んだ。韓国与党・共に民主党はペク将軍の死去に哀悼の声明は一言も出していないが、これはどう考えても異常だ。ソウル市長の自殺について「過は過、功は功」として美化する人間たちが、国を救ったペク将軍の「功」からは顔を背け、「過」ばかりを無理やりつくり上げ歪曲しているのだ」

 

韓国進歩派政権が誕生して、満3年が経った。この間の行動原点は、「親中朝・反日米」である。この単純な図式で、あらゆるものを評価している。恐ろしいほどの「没理論」的な振る舞いである。ここまで日本と対決して、何の利益が得られるだろうか。日本への「甘え」は、もはや限界を超えている。

 


(4)「韓国政府はペク将軍を12万人の6・25(朝鮮戦争)戦友が眠るソウル顕忠院に埋葬するよう求める各界の求めを無視した。「場所がない」というあり得ない理由で大田顕忠院に埋葬するという。しかも与党の一部議員らは「親日派破墓法」の成立を推進しているのだから、後になって何が起こるか分からない。左派団体からは「ペク将軍が行くべきところは顕忠院ではなく靖国神社」という言葉まで出ている。国と民族のために命をささげた英雄の安息の地である顕忠院にペク将軍が入れないのなら、一体誰が入るのか。金元鳳(キム・ウォンボン)のような人物を移葬するのだろうか。今の大韓民国を存在させた護国英雄の最後の道が、このような論争の対象になるのは恥ずかしいことだ。全ての国民を代表する公職者であり、韓国軍統帥権者である大統領がペク将軍を弔問するのは最も基本的な義務だ」

 

韓国を共産主義から守った英雄に対して、朝鮮戦争の戦友が眠るソウル顕忠院に埋葬しないという文政権の「仕打ち」は、人間として理解し難い行動である。人間の心を持たない文政権が、韓国の民心を一つにまとめられる訳がない。文氏は、韓国大統領でなく進歩派の大統領に過ぎないのだ。